地元紙に掲載された記事を振り返って、ちょっとだけコメント付け加えています。
この連載は、Bridge〜異国で挑戦する夢追い人〜というタイトルで2018年6月にスタートしました。
追加コメント
現役時代や引退してからも、プロサッカー選手でしたと自己紹介するときまって
うちの子何歳からサッカー習い始めたらいいですか?うちの子はもうサッカースクールに通ってて。。
と尋ねられるのですが、その質問に対する僕の答えはいつも
お子さんが習いたいと言い出した時がいいと思います
です。
考えてみてください、大人だって興味のない本を読むときは苦痛でしかないのに、知りたいことなら自ら率先して本買いますよね。
好きこそもののうまかなれ
まさにこの言葉とおりなんです。
そしてやっぱり忘れちゃいけないのは、基礎運動能力(走る、跳ぶ、投るなど)
これなしスポーツは上手くなりませんし、上手くなったとしても、競技レベルが上がれば上がるほど、通用しなくなる可能性が大いにあります。
ここはサッカー習わせたいと考えているお父さんお母さんは一度勉強しておいた方がいいと思います。
ここから記事の本文です。
(編集部)まずは、樋口さんの幼少の頃のお話を聞かせてください。サッカーを始めたのは何歳ですか?
本格的にサッカーを始めたのは、小学校4年生からです。
Jリーグが開幕し、三浦知良選手のプレーにくぎ付けになっていたのを今でも覚えています。
学校へ行く時は必ずサッカーボールを蹴りながら通学していて、10分間の短い休み時間でも校庭で友達とサッカーをしていました。
ただ学校でのサッカーの練習は週に3回でしたし、サッカー漬けだったかというとそういうわけでもありません。
(編集部)その頃からプロサッカー選手を夢見ていた?
サッカーを始めた頃からプロサッカー選手になることが夢でした。
樋口家では、テレビゲームは一切買ってもらえず、その代わり外で遊ぶ道具は何でも与えてもらいました。
サッカー以外にも野球、バスケットボール、パターゴルフ、水泳、などたくさん運動を経験し、とにかく外で遊んでいました。
外で遊ぶことで基礎的運動能力がつき、練習することで上達していることを実感できサッカーが大好きになっていきました。
プロサッカー選手を目指す過程で辛いこともたくさんあります。
それでも夢を追いかけてサッカーを続けてこれたのは、上手くなっていることを実感でき、
I love soccer
になれたからだと思います。
樋口家の教えが現在の私を作ってくれたと言っても過言ではありません。
こっそり友達の家でテレビゲームをしていたことは内緒です。笑
noteでは、樋口大輝が世界戦に挑む中で感じたことを綴っています。
アジア、特に僕が活動しているタイでも、日本人指導者は活躍の場を求めて海を渡ってきたはいいが、理想と現実のギャップに敗れ帰国というケースも少なくありません。
指導力がなかったから?そうは思いません、皆さん素晴らしい指導者です。
語学力?それも大事、でも通訳いればその問題は解消できるよね。
性格の問題?それは知らない。笑
ここで少しマーケティングの考え方を取り入れて考えてみましょう!
サッカーの指導者がマーケティング?と思う人もいるかもしれませんが、ちょっと大事なこと言うよ。
一般的な考え方では、企業または個人事業主が自分の商品・サービスを提供して、顧客に満足してもらいその対価としてお金をもらいます。
顧客=お金を払う人です。
じゃあ僕たちサッカー指導者の顧客は誰ですか?
大体思いつくのは、サポーターかな。
確かに自分のサッカー哲学を浸透させたサッカーを展開し、試合に勝利してファンが増え、試合を見に来てくれる人が多くなればなるほどクラブにお金が落ちていくのは容易に想像できますよね。
でもちょっと考えてみて欲しいのは、ファンがお金を払っているのは指導者ではなく、クラブ、言い換えるとクラブのオーナーにお金を払っているわけだ。
僕たち指導者は、クラブに雇われている以上、お金の出所はオーナーになり、つまり指導者にとって顧客はオーナーになるんです。
あなたがもし自分の仕事をより快適に、より円滑に進めたいのであれば、”彼らを満足させること”ここを押さえておく必要があります。
タイサッカーの例
日本のスポーツは企業が支えていると言っても過言ではありませんが、タイではほとんどのクラブがオーナーによって所有され成り立っています。
例えばタイでこんなことがありました。
あるクラブのオーナーさんは親日の方で、選手との距離も近くとても優しい人物。
日本チームのような規律正しく献身的なサッカーを展開したいと、日本人指導者を招聘しました。
コーチも日本からわざわざ呼び寄せ、万全の体制で望んだシーズンの結果はまずまず。
来年も継続されるだろうと思われた日本人監督及びスタッフはみんなアウト。
何が問題だったんだろう?
たまたまそのチームと練習試合をする機会があり、中のスタッフ(日本人以外)に話をきてみたところ、こんな答えが返ってきました。
“確かにサッカーは良くなった。結果も悪くない。でも選手が日本人の指導についていけなくなっていて、オーナーそのことを話したみたい。それにオーナーが不満を持っているみたいだよ”
この場合、日本人指導者は、オーナーから日本式サッカーでお願いしますとオーダーされたわけだから間違ってはいないんだよね。
でもさ、タイ人のオーナーさんが、日本式サッカーがどうやって作られたかなんて知るわけないし、一朝一夕でできる訳が無い。
そこには血と汗と涙がたっぷり詰まっているわけですよ。(血と汗と涙がたっぷり詰まったサッカーを肯定しているわけではない。)
で最後にオーナーさんは、日本人ってこんなに厳しいんですか?だって。笑
日本式でお願いしますって言ったのあなたでしょ?
世界戦を前に
まず見間違えちゃいけないのは、僕たち指導者にとって顧客がだれなのか?ということ。
そりゃ哲学や理論も大事、それらを学ぶ・語れるのも指導者として当たり前なんだけど、どんなに素晴らしい哲学や理論を持っていても、結局ピッチでそれを表現するのは選手で、彼らが動かなかったら僕たちは無力なんだから。
日本では良かったものをそのまま取り入れる、これは考えることを放棄しているのと同じ。
外に出ればそれはまた違った課題を抱えているのだから、それを発見しないと勝てるもの勝てないよね。
まず顧客が誰で、何も求めているのかしっかり見極めることが、グローバルに働くための第一歩になる。
これらをグローバル基準の働き方と呼ぶことにしよう。