新必殺仕置人 念仏の鉄
演-山崎 努
仕置人の最終回で江戸を去っていたが舞い戻り、観音長屋で骨接ぎ師を営みつつ、寅の会に参加している。
表向きは骨接ぎ師を営む。
普段の鉄は、たいていは酒を呑んでいたり、岡場所で女郎を買っていたり、仲間の店の本を取っ散らかして本棚にゴロゴロ寝っ転がっていたり、ぐうたらな日々を送っています。
さらに仲間の目を盗んで売上の小銭をくすねたりと、享楽主義に磨きがかかっている。
そんな鉄であるから、仕置料はすべて遊興に浪費され、金のない時はまったくないという状態になる。
前作の仕置人からエネルギッシュさによりみがかきがかかり、男が憧れる最強の自由人としての鉄が描かれる。
裏稼業である殺しも、それ自体を楽しんでいるような節があり、困難な標的であっても嬉々として仕置に臨むこともあった。
月に一回は殺しをしないと、世の中に霞がかかったようになる、と語るほど。
相場よりはるかに下回る額の仕置料ででも平気で請け負うため、同業者からとがめられることが多い。
しかしながら、金さえ得れば誰でも殺すという外道な仕置は一切せず、悪人に率直な怒りを示す一面も持っているのですね。
仕置の技は前作と変わらず、親指、人差し指、中指を使って標的の骨を外してしまう「骨はずし」。
レントゲン映像は以前より鮮明になっている。
基本パターンは物陰などに潜み、突然標的の前に躍り出て、急所を一撃するというもの。
「主水シリーズ」において、裏稼業チームのリーダー役は、「仕事屋稼業」「仕業人」の2作品においては、中村主水が務めていました。
しかし、本作では旧「仕置人」同様に、鉄がリーダー格になっています。
裏仕事の競売が行われる「寅の会」の句会への出席も、主水ではなく鉄が行っているからですね。
しかし、作中の”殺し屋”としての技量の高さ、また人物の年代設定も、ほぼ鉄、巳代松、主水何れも同格の位置づけとして扱われています。