更新:2021年3月23日
こんにちは( ◠‿◠ )
今回は「バス運転士 プロの運転はここが違う!!」シリーズの7回目です。
プロの運転士として「何かが違う」とお客様に思われるような運転士になるための
一つのステップとして今回は「G」(加速度)についてのお話しをしようと思います。
今日はちょっと堅苦しい話しになってしまいますがご容赦くださいませm(_ _)m
G(加速度)について
「G」とは加速度のことで物理学の中では g [m/s^2]として定義されています。なんのことかと言うと、「単位時間あたりの速度の変化率」と言い換えることができます。
これを大文字のGで表す時は、g/9.81とします。
1G=9.81[m/s^2]
たとえば、バスが停止状態 から 40Km/h までの速度に達するのに10秒かかったとすると・・・。
距離= 111m
なので、加速度は
11.1/10=1.11 [m/s^2]
単位をGに直すと、
1.11/9.81=0.11[G]
もっとわかりやすくスポーツカーを例にすると、スポーツカーは時速100Km/hに達するのに3秒くらいしかかかりません。加速度は、0.94[G]になります。ほぼ1Gとなります。これは地球の重力と同じ力です。大雑把に言えば、バスはスポーツカーの1/10 くらいです。
以下にバスを運転する際にGを最小にするポイントについて説明します。
発進時のGを最小にする
バスが停車状態から発車する際のGがお客様へ大きな影響を与えます。これは速度0Km/h の状態から発車する訳ですからGがかかります。この時立ち客がいると大きなGの場合にはかなり踏ん張らないと転んでしまいます。なので、発車時のGを極力小さくすることが大事なことです。
ではどうやってGを小さくするのか?
マニュアル車であれば、ゆっくりクラッチを繋ぐことです。そして、アクセルはゆっくりジワジワです。ゆっくり繋ぐことによりお客様の揺れを最小にすることができます。
変速時のGを最小にする
マニュアル車であれば、2速から3速、3速から4速へのシフトチェンジの際が最もGの変化が現れるポイントです。変速タイミング、特に回転数とクラッチの使い方が重要になります。
時間を掛けて変速することにより変速時のGを小さくすることができるのです。
減速時のGを最小にする
巡航状態から減速する際はまずエンジンブレーキにより減速、場合によってはリターダーを入れてさらに減速すると言うように減速時のGがかからないように時間をかけて減速していきます。
停車時のGを最小にする
一番衝撃が大きくなりそうなのは停車時のGです。
目安として1g のGは相当強いブレーキです。と言うより車内人身事故を起こします。
0.3〜0.5g 超 は車内人身事故レベルのGです。
0.2g 以下が望ましいです。
0.05g 以下だとほとんどGは感じないレベルです。
乗用車でやっているようなブレーキの掛け方をしていては恥ずかしいし危険です。
最小のGになるよう普段から練習して身につけるしかありません。
ぼくの会社では教習車にG測定器が付いていて自分のブレーキの掛け方の癖を知ることが出来ます。これを初期研修で修得します。
大体どのくらい踏めば何Gかかるかというのを体験します。立ち客がいてお客様の体が揺れたり踏ん張ったりする光景が見られたらまだ強いブレーキや変速の時間が早すぎます。ブレーキも変速も時間がポイントです。
路線バスにおける車内事故の多くは、急ブレーキや急発進が原因です。上で説明した通りですが、時間をかければGは小さくなります。急ブレーキをかけないようにするためには、時間を掛けて減速するしかありません。時間を掛けながら減速しつつ車間距離(時間)を取ります。ブレーキをかける際は一定の踏力で減速します。
自分の運転癖のGを知る
中々自分の運転癖を客観的に知ることは難しいです。そこで、こんなアプリがあります。
このアプリの機能は以下のようなもので、簡易的なGの計測ができます。これである程度の目安や自分の癖を知ることができます。
G-Bowlは免許取りたてからモータースポーツまでカバーする運転技術向上を目的としたトレーニング&解析ツールです。 走行中に発生するGをボールの動きと音とグラフで表します。同時にGPS位置情報、速度、ヨーレート、躍度等の情報も記録されデータロガーとして運転解析にお使い頂けます。その他、診断機能、走行データの編集、データ共有など多くの機能があります。
(公式サイトからより詳しい製品情報、説明書、FAQがご覧いただけます https://ifulsoft.com/ )
■機能
・G計測(最大5Gまで)、GPS情報を含むデータロガー機能。
・速度、ヨーレート、躍度、G生データのグラフオーバーレイ表示。
・Gの軌跡表示、Gメーター表示、Gグラフ表示。
・Gの強さを音階で発音(画面を見なくても走行中のGが分かる)。
・指定のGを越えた際に警告音でお知らせ。
・指定の躍度を越えた際に通知音でお知らせ。
・オートポーズ(停車中は自動的に記録を中断します)
・ブレーキングG診断機能(停車後に診断結果を音声でお知らせ)。
・コーナーリングG採点機能(コーナー毎に点数を音声で読み上げ)
・走行データの記録、再生、分析、カット編集、2データ比較表示
・走行ルートの地図表示
・走行データの共有(メール送信、AirDrop、DropBox、GoogleDrive, etc)
・パソコン(Excel等)で読み込めるCSVフォーマット出力に対応。
・走行データグラフのイメージ画像保存(写真に保存)。
・横向き画面表示モード、印刷用表示モード、etc
参考:
https://www.td-media.net/report/recommend-apps-for-car-lovers-vol4/
今日はこの辺で。
どうぞ、これからもよろしくお願い致します。