私の根にあるのは不信だ、不安だ、そして、そして誰のことも嫌いになりたくないという傲慢だ
深夜2時、相手の顔色(顔は見えないが)を伺いながら私は人生で初めて自分の根っこにある部分を声に出して特定の人間、友人に話した。
家族へのコンプレックスが、ずっとあった。
「私の両親は仲が悪いのは前も話したよね。お父さんも、お母さんも私のために離婚しないと言っていたの。ずっと。でもね、それって私さえいなければ二人は嫌な思いをしないで済むってことでしょ?もちろんそんな意図はなかったのだろうけれど、私は、ずっとそう思っていたの。
二人がたくさん我慢して私のために家族という形をとるのならば、私もそれに協力しなければいけないでしょう?だから、どちらにも肩入れをしないように、どちらも嫌いにならないように、私の意思より、考えより、穏便に済む方法を優先しなければいけなかったし、公平でいなければいけなかった。ああ、壁打ちしてごめん。え、続けていいん?わかった。
それで私ね、二人が結婚した理由を何度も聞いたの、だって結婚さえしなければ父も母も、そして私も苦しい思いをしなくて済んだ。尋ねてみると二人とも自分がいかに可哀想なのか、外れくじを引いたのか、被害者なのか、言うんだよ。「俺は、私は」ってね。私が二人に大変だね、可哀想だねって同情したって、私に「苦しいね辛いね大変だったね」って同情してくれないの。それが当時の私からしてみれば「家族という形をとるのに娘であるお前が我慢することは当然のことだ」と言われているみたいだったんだよね。
ああ、でも私愛されてないわけじゃなかったんだよ、二人とも私に「お前に対してこんなにも自由にしている、こんなにいろんなものを買い与えている、こんなにも尽くしているのだから愛していないわけないだろう」って言ってたしさ。でも、私がしてほしかったのは愛していることの即物的な証明じゃなくて、やっぱり不安なことへの理解なんだよね。
オチがないね、どうしよっか、え?別になくてもいい?んーまあ、そうだなぁ、そんなこんなで私は愛は大きな自己犠牲を伴うことだと思ってんだよね、そういう愛され方しかしてこなかったし、そういう愛し方しかしてこなかったから・・・って感じ。
あーでも結局今した話も私が自分を正当化するための理由付けなんだとか思うと、どうしようもなく最悪な気持ちになっちゃうんだよねー、ほら「ひとのせいにしちゃいけない」からさ。あーあ!つまらない話して悪かったね、アナコンダに飲み込まれた話でもする?」
「しなくていいわ!お前って本当生きるの大変だな」
「やさしいからね」
「でも、まあ、そんなに正しく在ろうとしなくてもいいんじゃない?」
「あーそう、そうなんだろうねぇ・・・」
ふと、頭の悪い質問が浮かんだ。確かめようか、いいや、いいや、こんな質問はまるで私の欲しがっている答えを強要させるようなものだ。
「ねえ、気持ち悪い質問していい?」
「いいけど」
「私が正しくなくなっても友達でいてくれる?」
「お前が間違うんでしょ?まあ、そうだね、私が正せばいいし」
なんだそりゃ、正しくなくなっても私が正してやるからそんなに一生懸命正しく在ろうとしなくていいって?
「そういうことをサラリと言うなよ、私がメンヘラになったらどうすんだ」
「あーまあ、お前がやばいメンヘラになったとき考えるわ」
「まあ、私すでにメンヘラではあるからな、ってか手は放さないから安心しろって言えよ!」
「は?もとより放す気はないが?」
「は?やめろ!好きになっちゃうからやめて!!」
「(笑い声)」
「・・・はぁ、こりゃメンヘラにモテるよお前。でも、マジでメンヘラになったらちゃんと言ってくれよな、私だってお前に負担かけて話したくはないからさ」
「なんだよ、私のこと大好きかよ」
「は?大好きに決まってるだろ、お前だって私のこと好きだろ?」
「大好きだよ」
「なら何の問題もないでしょ」
「確かにね」
(今までのやり取りの気恥ずかしさに数分間のたうち回る二人)
「・・・深夜だからできる会話だな」
「わかる」
「てか、私だけ洗いざらい話して恥ずかしいわ、だってお前一枚も脱いでないのに私全裸みたいな状況だぞ今」
「(笑い声)」
「それも私が勝手に脱いだんだよな、ほら、人より厚着してるから一枚脱がされると『わかる、これ超暑いんだよね』って言ってするする脱ぎ始めるんだわ。途中で『待って、止めたほうがいい?』って聞いてもお前『脱いじゃえよ~!』って言って止めないから・・・」
「脱ぐ快感を覚えてしまったな・・・」
「友達を露出狂にするn」
「どうしたん」
「いや、今『お前の前でしか脱がないから』って言いかけて流石にキモくていうのやめたんだわ」
「(大爆笑)」