前回→…金蓮花の花束を5
パルミラ宙域中層の戦いも佳境に差し掛かってきた。
多数の大型個体を含む敵の大群を4名のフェアリーが懸命に押し返す。
その花園に這う蔦は棘を持ち、踏み入る輩を焼かんとするが、文嘉とミシェルは目まぐるしくその立ち位置を入れ替え、棘を掻い潜りお互い支えあってガーデンを刈り取る。
ミシェル
「先生!ミミたち、やったよ♪」
連戦となるファティマと乙莉も死力を尽くして戦う。
乙莉が穿ちファティマが焼く。
フェアリーハート隊では数少ないハイカロリーアタッカーの共演。
まだ目撃例の少ないヘケトの素早い動きに翻弄されながらも着実に追い詰め、遂に撃破する。
乙莉
「何とか…なりました…」
全てを出し尽くした乙莉はぐったりとへたり込む。
だがまだ作戦は終わっていない。
疲弊した4名を逃がさんと取り囲む敵軍にアタックを仕掛ける明日翔と絵美。
こちらも程無く決着するだろう。
絵美
「こちらは終わりました。間に合いましたか?」
明日翔
「こっちも終わりました~」
二人のおっとりした声はここが戦場であることを忘れそうになるくらい穏やかだ。
やはりティタニア。
このくらいなら事もなくやってのける。
となれば残るは殿のVWヘヴィのみ。
なのだが、少々問題がある。
右舷側の攻略に当たらせるフェアリーの人選…。
これは過去にも度々問題になっていたのだが、焼夷属性に属するフェアリーが少なく、ファティマ、紅花そして明日翔には他の隊員以上に負担がかかっている。
人員不足を解消すべく人材発掘は続けており、最近になってやっとフェアリー候補が見付かったのだが、まだ訓練生の段階だ。
明日翔、絵美の両名には申し訳無いがこのまま連戦してもらう事になるのだが、それでも一人、あともう一人欲しい。
だがこのレベルの戦闘についていけるフェアリーとなると…。
そんな折、通信が入った。
光里
「ジニーさんから通信よ。高速艇でこちらに接近中」
バージニア
「やぁ隊長、何かお困りかな?」
何故こんなところにバージニアが?
成子坂から援軍?
バージニア
「実は隊長に見てもらいたいものがあるんだ」
ジニーが転送してきたデータに目を通す。
…これは!
バージニア
「やっと出来た新型ドレスギアなんだけどさ、これでわたしも"フェアリー"になれたりするのかな?」
願ってもない新たなフェアリーの誕生。
しかも実力は折り紙付きのバージニアとなれば諸手を上げて大歓迎だ。
輪島
「ではジニーさん、新型のテストと行きましょうか」
バージニア
「Wilco 出撃します」
右舷側は先の戦闘から引き続き絵美、そして文嘉、電撃参戦となったバージニア。
左舷側は
絵美同様に連戦となる明日翔、そしてフェアリーハート隊のリーダー薫子と、やはり創設初期から在籍するベテランフェアリー愛花。
これなら磐石だろう。
右舷側の方が先に交戦を開始する。
こちらの方が敵陣の戦力密度は低いが、その分広域に展開している。
バージニアが加入して士気も上がっているだろう。
滑らかにポジションを入れ替えて軽やかに立ち回るフェアリー達。
今回の特記戦力であるジェズルに対してもタッチワークで猛攻をしのぐ。
バージニアも新型の、特に回復機能を持つトップスを発動させてチームメイトを支えている。
バージニア
「これ、良いね!」
誰かを傷つけるだけの戦いから、目に留まる者を守り癒す戦いへ。
バージニアは少々影のある過去から、心に傷を持っているが…この回復機能がバージニア自身の心にも癒しとなる事を願う。
そして絵美の撃ち出した連装ミサイルで右舷側は決着が着いた。
輪島
「皆様お疲れ様でした。ジニーさんも見事な初陣でしたね」
バージニア
「THX、改めてヨロシク!隊長」
一方左舷側では…。
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