前回→…金蓮花の花束を3 



浅層左舷の制圧が終わり、右舷側のモニターに目を移す。


ユキ

「ファティマさん…お願いします」


ユキによるエスコートが終わり、ファティマがその猛威を振るう。



彼女の戦いを見ていて何時も思うのは、相対した敵への憐憫だ。

火の着いたフロギストンとしか言い様の無い圧倒的な暴力。


VWジェズル何するものぞ、と言わんばかりの圧倒的な火力で瞬く間に制圧は完了していた。


これで浅層はこちらの領域となり、中層への侵攻の足掛かりとなる。


侵攻作戦3日目。


ここからは上位のフェアリーも投入していき、ツーマンセル、スリーマンセルで作戦に臨んでいくようになる。

浅層では余裕があるので派手なショーマンシップに重きを置いたが、中層以降はそんな事はしていられない。

ヴァイスとの戦闘はシールドを始めとするアクトレスに対する防護策が幾重にもあり、実際に怪我をするケースは稀ではあるが、それでもこれは戦いだ。

それを見世物の様に扱うのは如何なものかと思うが、メディアはこれを迫真のバトルシーンとして、格闘技の試合の様に報道する。

ならばここからは「フェアリーハート隊」としての戦いをお見せしようではないか。

宙域図を見るにヴァイスの先陣は団塊を形成している。

輪島
「こちらの先鋒は舞さん、お願いします。出来るだけ派手に敵を引き付けて下さい」


輪島
「後方の敵が舞さんに反応して包囲しようと前進してくるでしょうから、そこを逆に包囲殲滅します」

逆包囲の選抜メンバーとしてゆみ、桃歌、紅花、梓希に出撃を告げる。

フェアリーハート隊が本来得意とするのは集団戦法。
お互いに回復しあい、強固に戦線を維持する。

そして中層での戦いが幕を開ける。

この中層の敵勢力を押し返せば、このパルミラ宙域の脅威度はほぼ解消され、東京シャードへの攻撃能力は失われる。


中層ともなると戦闘空域の戦力密度も高い。

舞は持ち前の機動力と携行する盾で弾雨をしのぎ、応戦する。

光里
「後続が前進を始めたわよ」

輪島
「やはり来ましたね」

既に四方のエンゲージポイントにはフェアリーを配置している。

ゆみ
「敵発見♪いくわよ!」


中層前衛の敵戦力がほぼこの戦闘空域に集中する。

ゆみの砲弾が口火を切り、派手な狼煙が上がる。

それに呼応するように四方から戦闘の光跡が瞬く。




四方から攻められ、内に取り込んだはずの舞も反撃に転じ、敵からしたら正に内憂外患だろう。


鳳天舞の陣

地球時代、ヴァレンヌ帝国の軍師が考案した陣形。
中央の一人に攻撃を集中させ、周囲から敵を打ちのめす。

古い時代の戦術だが、人類が宇宙に進出するようになった現代でも色褪せる事無く通用している。


一気に敵の前陣を崩壊させたが、まだ策は終わっていない。

がら空きになった敵陣に刺客を送り込んでいる。


文嘉
「敵の側面に取り付きました。攻撃開始します」