前回→…金蓮花の花束を2
敵の奇襲を阻止するべく、高機動のフェアリーを送り出す。
すぐみはいまだ交戦中。
ガーデンもその特性から長期戦は避けられず、そこに敵増援が到達してしまうのは危険だ。
一方ファティマは戦闘こそ終了しているが、相応に消耗している。
あの姫君なら士気に問題ないが、兵装や推進剤を惜し気もなく派手に使うので、特に計画外の連戦には向かない。
光里
「すぐみさん、敵の増援が接近中よ。こちらも紅花さんと桃歌さんを向かわせているけど、気を付けて」
すぐみ
「らじゃ、っす。それじゃ少し急がないとっすね」
紅花
「その心配は無用ネ。敵を捉えたアルよ」
桃歌
「桃歌ちゃんに不可能はないんだゾ☆」
交戦開始からわずか2分。
大型も多数含む陣立だったが、瞬く間に終わったようだ。
それから数分遅れて
ゆみ
「こっちも片付いたわよ」
舞
「間に合って良かった…ファティマさんと合流しました」
部隊を一度撤収して補給と少しばかりのインターバル。
浅層の制圧は目前。
…だが、観測班からの報告でVWへヴィの亜種、ジェズルの存在が確認されている。
さてどうするか。
パターン解析をするなら耐久力のあるフェアリーを出して、わざと泳がせるのも手だが…。
やはりそれはリスクが高いだろうか。
VWへヴィに対しては有無を言わせない飽和攻撃が最も有効だ。
身も蓋も無いが、やられる前にやれと言うのが定石である。
右舷はファティマとユキ。
こちらは定石通りに短期決戦を狙っていく。
反対側の左舷は
輪島
「奈々さん、行けますか?」
最近業務提携した神南サポートからヘッドハントした期待の新人フェアリー、在賀奈々。
スナイパーズ!に緊急昇格した的場アオイと共に高く評価している。
何度か任務には出ているので初陣ではないが、この局面を乗り越える力があるか。
この戦闘ポイントにはVWへヴィが2体、通常型と亜種がいる。
序盤は磐石な滑り出し。
VWへヴィ相手に押している。
だが
ほんの僅かな隙を突かれて爆炎に包まれる奈々。
輪島
「奈々さん!?」
光里
「シールド耐久値0.06%!」
正に首の皮一枚。
そして死力を振り絞ってのビームカノンで辛くもVWへヴィを退ける。
桃歌
「ちょっと!大丈夫なの!?もう危なっかしくて見てらんないわ」
奈々
「あはは…ごめんなさい」
シールドが消失していない限り、生身の本体は無事ではあるが、このまま戦闘続行は難しい。
フェアリーハート隊はシールドを回復する手段を持っていることが前提条件だが、ここまで深刻な損耗から持ち直すにはかなり時間がかかるだろう。
桃歌
「ここからはあたしがやるから、あんたは下がって見てなさい。桃歌ちゃんオンステージだゾ☆」
次に対するジェズルを軽いステップで翻弄する。
右に左に、前に後ろにとあの苛烈な攻撃の隙間を潜り、鮮やかに発光するサイリウムブレードでジェズルにファンサービス。
冥土の土産にしては豪華過ぎる餞別だ。
奈々
「すごい…これがフェアリー。本当に妖精みたい」
これで左舷は制圧完了。
同時侵攻の右舷はどうだろうか。
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