成長が早めな娘がずりばいを始めた。
お兄ちゃんの宝、レンジャーキーに向かって手を伸ばす。
少し動く。まだ届かない。また、少し動く。
自由がきかないのか予期せぬ方向に回転。
軌道修正できずになおも回転。まさかの180度回転。
既に目標物は見失い、ヨダレを垂らすことに終始する。
動いた跡が湿っていること、蛞蝓の如し。
うちの家族は健全なことに、男女に分かれ別室で就寝する。
パパが息子と寝る男子のお部屋に布団が二枚敷かれ、
特に誰がどっちというわけでもないので、二人なのに雑魚寝状態。
パパが酩酊していない限り息子が先に床につくのだが、
まぁ残暑。超、酷暑。
エアコン設備のない、部室みたいな男子部屋。
先に寝てる彼は体内の水分をほぼ汗に変え、
悪霊でもいたのかというくらい布団を濡らす。
そして、寝返りを駆使し移動。
また、濡らす。より、濡らす。更に倍、濡らす。
パパの寝るスペースを献身的なDF並に削ってくる。
そんな中、二人して寝ているのだが、
あんまり暑いときはエアコンの涼を求め、
二人してさまよい歩き、女子部屋に侵入、就寝。
結局、密集して寝る仲良し家族。
リモコン権。
それは、家庭内においての最高権力であり、
これを掌握することが大黒柱たる父親の尊厳である。
しかし、最近。
パパの不在、ママが家事・育児に追われて多忙なことをいいことに
息子が平日昼間のリモコン権を、奪取、独占。
録画されたゴーカイジャーをその日の気分に合わせ、再生。
寝転がり視聴するという横暴ぶり。時にアンパンマン。
そして、
昼間だけじゃ飽きたらず、夕方・夜間もリモコンを手中に収めておきたい
欲望が抑えられずにパパからもリモコンを奪おうと侵攻。
簡単に4歳児と同じ土俵に上がるパパと衝突。
これが、かの有名な第1次リモコン大戦である。
でも、プロ野球中継は大人しく一緒に見る彼。
4歳児のスタミナは無尽蔵感が半端じゃない。
こちらは、くたくたで旅行から帰ってきたのに、
車内で寝ていたこともあろうが、いつも通りゴーカイジャーと化し、
『ねぇ、戦わない?』
と反平和的なことを楽しげに言ってくる。
なかなか両親に相手してもらえない息子は、
『あ~早くセルラー欲しいなぁ~』とか独り言を言い出した。
ちなみにセルラーとはゴーカイシルバーが変身時に使う
携帯電話的な玩具、ゴーカイセルラーのことである。
旅行で浪費したとわ、という悲しき貧窮問答が頭を巡ってる最中には
なかなか聞き逃すことのできない独り言に、
貧困に喘ぐパパは『うちにそんなお金はないよ~』と呟いたのが、
息子は満面の笑みを浮かべながら、
『大丈夫!
だって、サンタさんに頼むんだよ!』
と一言。
『そうだよね・・・』
何も言えず。