糖尿病・内分泌内科に行ってきた 栄養指導篇 その1 の続きである。
糖尿病内科の医師から糖質制限の許可を得たこと、ただし、「極端な制限」は避けるように言われたことを栄養士に伝えた。
栄養士「そうですか。
一般的に、炭水化物は50〜60%摂るように言われていて、40%未満を『極端な制限』と考えます」
(わたしが渡した資料をパラパラと見ながら)
栄養士「主食はオートミールやもち麦などをこれくらい摂っていて… 芋類はなさそうなので、おかずにはそれほど炭水化物は含まれてませんね。ということは…(ざっと計算しながら)今の食事ですでに炭水化物は40%ほどですね」
栄養士「朝食はオートミールということですが、摂っていない日が多いですね?」
わたし「ちょっと夏バテか食欲がなくて、特に朝食のオートミールが入らなくて…」
栄養士「そうですか。でも、朝食に炭水化物をしっかり摂らないと、昼食の血糖値が上がりやすくなるんです。セカンドミール効果と言ってですね…」
わたし「ええ、知っています。ただ、自分のデータを眺めていても、セカンドミール効果は特に感じたことがないのですが?」
栄養士「それはどうでしょうね?(資料を見ながら)この日はオートミールを摂っていて、昼食がこれ… この日はオートミールなしで昼食が上がって… ないですね…」
少なくとも、パッと見て明らかなほど「朝食のセカンドミール効果」を実感するようなデータはないことは栄養士も認めた。
しかし、栄養士はきっぱりと言い切った。
栄養士「3食しっかり炭水化物は摂らないとダメなので」
どうやら、炭水化物量40%を確保するためにも、「バランスのいい」食事のためにも、朝食の主食は絶対に摂らなければならないらしい。
オートミール40gの朝食だと血糖値スパイクが起きる。(注 全粒粉パンでも上がる)
かつ、セカンドミール効果はほとんど実感できない。
それでも、食べるべきなのか。
HbA1cが7.4%まで上がったのに?
栄養士「野菜は、昼食と夕食で摂ってるんですね?」
わたし「はい。1日400gを目標にしています」
栄養士「ということは、1回に200gくらい摂っているということですね。この一部を朝食で摂ることはできませんか。そうすれば、朝食の血糖値が抑えられると思います」
わたし「食物繊維を摂れば血糖値が抑えられる? そう思って、食物繊維が多いオートミールを朝の主食にしているのですが?」(オートミール40gの食物繊維量は3.8g。これにすりゴマを加えるので4.0gくらいになる。ちなみに、サプリ業界でよく使われる「レタス1玉分」の食物繊維は3.3g)
わたしがそう言うと、栄養士は「やれやれ、これだから栄養の素人は」みたいな感じで、ため息をつきつつ苦笑した。
えっ、オートミールの食物繊維は、食物繊維ではないということ?(困惑)
栄養士「とにかく、朝食に食物繊維を摂ってみてください。野菜じゃなくてもいいです。海藻でも、きのこでもいいですから。それで血糖値がどうなるか、試してみてください」
わたしが今の朝食にしているのはわけがあって、食後低血圧による不調を避けるために、こんな食事内容になっている。
食欲がないときに無理に食べないのもそうだし、あまりボリュームのある食事にしないこともそう。
食物繊維に血糖上昇抑制効果があるとして、それを実感するためには野菜やきのこを一体何グラム食べる必要があるんだろうか。
食後低血圧のことを栄養士に訴えたのだが、完全に無視された。そういう患者の個人的都合は、一切考慮してもらえないようだった。
もしかすると、「正しい」食事をすれば不調が起きるわけがないという考えなのかもしれない。
「バランスのいい正しい食事」をすれば、全ての健康問題は解決するはずなのだ。
知らんけど。
しかし、普段の朝食でも、プロテイン+オートミール(すりゴマ)に加えて、クルミをひとつかみとか(食物繊維1.9gくらい?)、ローストひよこ豆ひとつかみとか(食物繊維3.0gくらい?)、手作りおからクッキーとか(食物繊維4.0gくらい?)食べることが多いのだけど、血糖値スパイクが起きてるんだが?
そのことについても、栄養士は完全にスルー。
きっと、野菜か海藻かきのこ由来の食物繊維じゃないとダメなのだろう。
しかし、何度も言うが、今の食事でHbA1cが7.4%に上がったのだ。
夏バテで主食が摂れないときが多かったにもかかわらず、だ。
朝食はともかく、昼食と夕食ではしっかり野菜などで食物繊維を摂っている。主食も玄米やもち麦、全粒粉100%パンと、食物繊維を多く含むものだ。
それでも、食後血糖値ががっつり上がる。
食事記録を見ていた栄養士が言った。
栄養士「野菜炒め… ヨーグルトにはアマニ油… 脂質が多いと血糖値が上がりやすくなりますからね」
野菜炒めに使う程度のオリーブオイルや、ヨーグルトに入れる3g程度のアマニ油といった不飽和脂肪酸メインの油でさえ、「脂質が多い」と評価されるのか。
この栄養士にとっては、地中海食も「(日本人にとっては)正しくない」食事なのだろうな。
一般的には健康にいいとされる脂ののった青魚やナッツ類って、病院食では全く出ないもんね。(しかし、マーガリンは出る不思議)
けどさー
一般的な食事の炭水化物量が50〜60%だとして、それを40%に抑えると、その分、脂質摂取量を増やす必要があるんだよ? 脂質まで控えてしまったらカロリー不足になってしまうのだが?
しかし、この栄養士には、どうしても「炭水化物50〜60%が絶対的に正しい食事」であり、少しでも脂質が多いと「正しくない食事」に見えてしまうのだろう。長年の刷り込みなのか、それとも「振り上げた拳は簡単には下げられない」のかは分からないが。
栄養士がこの認識だと、日本糖尿病学会が公開した「健康食スタートブック」でいくら「炭水化物40%」が認められても、栄養指導の現場ではまだまだ「炭水化物50〜60%」が指導され続けるんだろうな。
わたしは医師や栄養士と言い争いをしたいわけじゃない。
だからこそ、指導された通りに糖質制限を止めて、糖質摂取量を増やしてきた。
その結果、HbA1cが上がったので、前の栄養士が医師にわたしには糖質制限が合っているのではないかと話をしてくれ、医師も納得したのだ。
議論だけでは相手を納得させることは難しい。
今回の栄養士も同じだ。
「炭水化物は必ず40%摂れ、朝食にオートミールとともに食物繊維(野菜や海藻、きのこ)を摂れ」
そう言うなら、その通りにする。
次回の血液検査次第では、この栄養士の考えを変えることができるかもしれない。
ひとつ懸念材料は、ジャヌビアがトルリシティに戻ったことで、HbA1cが下がる可能性があることだが、さて、どうなることやら。
それにしても、食事療法って、どこまで遵守すればいいんだろう?
ゴールはどこにあるのか?
わたしの食事内容は「ダメではない」という評価だが、それは100点満点中、何点くらいなのだろうか。
2型糖尿病患者の平均が50点だとすれば、自分としては80点くらいの高得点じゃないかと思う。糖質量を増やした今の食事は、それこそ「バランスのいい」食事にかなり近いのだし。
だけど、「よく頑張ってますね」と褒められることはなく、「朝食でも食物繊維を摂るように」など、ダメ出しだけされる。
「つい菓子パン食べちゃった」とか、「アイスを1本だけと思ったけど2本食べちゃった」とか、「大盛りの麺を食べちゃった」とか、「夕食におはぎ2個と菓子パンと…(以下略)を食べちゃった」とか、そういう食生活を続けていてもHbA1cが改善する人もいる一方で、そういう食生活を全くしていないのにHbA1cが悪化して「もっとここを改善しなさい」と言われてしまう。
「人それぞれ」と理解していても、ちょっと辛いよな〜
(もちろん、わたしだってドーナツを食べたりしているので、本当に嗜好品を一切断っている人からすれば、甘いこと言うな!と言われるだろう)
前の栄養士は食事記録をわたしに返したので、今回の栄養指導に前回の分も一緒に持参していた。
今回の栄養士は、「ちょっと、きちんと見てみます」と言って、食事記録を2つとも持ち帰った。
おそらく、「朝食に糖質を摂取するとセカンドミール効果がある」「高脂質だと血糖値が上がりやすい(もしくは下がりにくい)」証拠を探し出してくるんじゃないかと思う。
一見しただけではパターンが見つけられなくても、じっくり検討すれば浮かび上がってくる可能性はある。
ただ、一見して分からない程度の小さな影響が、どこまでHbA1cに影響するんだろう。
医師から糖質制限の許可を得たとき、わたしがイメージした糖質制限は、糖質摂取量80g/日くらいだったんだけどなぁ。それとはかけ離れた食事を継続することになってしまった。
一応、炭水化物摂取量40%E、150g/日(糖質量130g + 食物繊維20g)というのはロカボ基準のギリ上限だから、世間的には「糖質制限」の範疇にはなるのだが。
医師から栄養指導を受けるよう言われ、若い栄養士と対面したときには、栄養士が中ボスで、医師がラスボスだと思っていた。
だから、医師が糖質制限を認めたので、よっしゃー!ラスボス攻略できたー!と気分が上がっていたのに。
まさか、ベテラン栄養士という真のラスボスが待ち構えていたとはね。
トホホ…
わたしゃヌルゲーマーだから、すぐ攻略本に頼る人なのよ。
メガテンシリーズなんて、攻略本なしでは中ボスさえ倒せなかったのよ。
それなのに、こんな強敵が現れるなんて。
どこかに完全攻略本がないかなぁ…
とは言え、次の栄養指導では、また栄養士が代わるのかも?
そこで、「次回の栄養指導は、また違う栄養士が担当する可能性があるのか?」と聞いてみた。すると、「いや、次も自分が担当する予定だ」とのこと。
あれ?
ということは、一応は担当制なのだろうか?
じゃあ、なんで前の栄養士と交代したんだ?
もしかして、若い栄養士だと舐められて患者のいいなりになってしまうからと、ベテランが出張ってきたのだろうか? 「患者に糖質制限を認めるよう医師に進言するなんて、あなたには任せられません! わたしが正しく指導します!」とか?
次の診察で、今度こそ医師に「もう栄養指導はいいです」と断ろう。
前の栄養士となら話ができそうだったから、わたしのデータを見せて、2型糖尿病患者のリアルを知ってもらう意義があると感じていた。だから、わたし自身にはなんら新しい知見を得られることはなくても、栄養指導を続けてもいいかと思っていたのだが。
担当栄養士が交代してしまい、どうも話が通じそうにないのであれば、このまま栄養指導を受け続けても意味がない。
次回はすでに栄養指導の予約が入っているから、それを最後にしよう。
それがすんだら、栄養士になにを言われようと、以前のわたしの食事に戻そう。
しかし、長い回り道になったなぁ…トホホ