糖尿病内科&消化器内科に行ってきた 栄養指導篇 その1 の続きである。

 

 

 

まずは栄養士に

・現在の食事内容

・糖質制限を始めた経緯

・甲状腺手術で入院したときのエピソード

を立て続けに話した。

栄養士はかなり面食らったようだった。

 

その上で、

・最近は糖質を制限していても血糖値が謎に上がってしまうことが増えて困っていること

・今日、担当医に見せたグラフのように、食後かなり時間が経ってから血糖値が大きく上昇することがあり、どう考えればいいのか悩んでいること

・医師に質問すると、「栄養士さんと話をしてみてはどうか」と言われたこと

と、現在の悩みを伝えた。

 

栄養士はグラフを見ながら、やっぱり

「脂質が多いと、後から血糖値が上がるんですよねぇ…」

と言った。

なので、「わたしの理解では、『脂質が多いと血糖値のピークが後ろにずれるけど、ピークの高さは抑えられる』はずなのですが?」と言うと、「うーん、そうですね…」と困ってしまった。

そして、食事内容を見ながら「食物繊維もありますしね…」と首を捻っていた。

 

だよねぇ。やっぱり、答えは出ないよねぇ。

 

最初にわたしが普段の食生活について話をし、(糖質摂取量以外は)かなり気を使った食事をしていると思ったのか、栄養士は「どうしよう、すごく基本的なものしか用意してなかった…」と言いつつ、困ったように資料を差し出してきた。

 

ひとつは、MSDの「かしこく改善!”糖尿病” の方の食事」(ここ 残念ながら、会員でないとダウンロードできない)。

もうひとつは、三和化学研究所の「学ぼう!糖尿病シリーズ 食事[無理なく続けるための基本とコツ]」(PDF)。

それと、この病院での実際の糖尿病患者用病院食の献立表1週間分。単にメニューが書いてあるだけでなく、設定エネルギー量での各食材の使用量が細かく書いてあるもの。(そう言えば、2017年に糖尿病で入院したときも、こんな感じの献立表をもらった気がする。退院後に捨てちゃったけど)

 

栄養士は献立表を差し出しながら、「○○先生から『1500 kcal(米飯150 g)で』と言われたので、その分のものをプリントして持ってきました」と言った。

 

ん?

1500 kcal?

なんで?

 

1年前に突発性難聴でこの病院に入院したときは、出された病院食は1600 kcal(米飯170 g)の設定だったぞ?

2017年に糖尿病で入院したころは、まだ糖尿病患者の必要エネルギー量が過小評価されていたから1400 kcal(米飯140 g)設定だった。でも、今はそれが間違いだったと改められたので、病院食も1600 kcalになったんだなぁ…としみじみ感慨深く思っていたのに。

 

日本糖尿病学会によると、適切な摂取エネルギー量の算出方法は、

 

1日の摂取エネルギー量 (kcal) = 目標体重 (kg) x エネルギー係数

 

エネルギー係数とは、身体活動量により異なる。

・軽い身体活動量(大部分が座位の静的活動) 25〜30

・普通の身体活動量(座位中心だが通勤・家事、軽い運動) 30〜35

・重い身体活動量(力仕事、活発な運動習慣がある) 35〜40

 

これまで、普通に生活をしているサラリーマン・主婦などの2型糖尿病患者は、問答無用で「軽い身体活動量」に分類され、エネルギー係数は「25」と設定されていた。

しかし、それが改められて、日常生活でおこなう通勤や家事、軽い運動をしているなら「普通の身体活動量」とみなされ、エネルギー係数は「30」と設定されるようになったはず。

 

わたしの身長は157 cmなので、目標体重は1.57 x 1.57 x 22 = 54.2 kg

 

1600 kcal設定の場合のエネルギー係数は、1600 / 54.2 = 29.5

1500 kcal設定の場合のエネルギー係数は、1500 / 54.2 = 27.7

 

入院時のエネルギー設定も担当医が決定したはずだ。

病室にカンヅメになっていたときは「軽い〜普通」程度の活動量だと見積もったのに、今の生活は「軽い」活動量だと見積もったのだろうか?

入院生活より動かない生活って、わたしゃ寝たきりか!

 

もしかすると、あれかな? 前の担当医が言っていた話。

「摂取エネルギー設定はわざと厳しめに患者に伝えている。なぜなら、この制限をしっかり守れる患者はほとんどなくて2、300 kcal多く摂ってしまうから、結果的にちょうどいい摂取量に落ち着く」

わたしの場合、入院中は病院食しか食べない前提なので1600 kcal設定でいいが(実際、売店で買い食いとか、家からお菓子持ち込みとか一切しなかった)、自分で食事を用意する場合はどうせ食べすぎるから、1500 kcalと厳しめに設定しておけば、結果的に1700 kcal程度に抑えられる、ということだろうか。

失礼しちゃうわ!プンプン!

 

摂取エネルギー設定に大いに不信感を抱いたのだけれど、それを栄養士に言っても仕方がないので止めておいた。

 

 

栄養士が、さて、どうしたものか…というような顔をしていたので、こちらから先に水を向けてみた。

「立場上、糖質制限を勧められないのはよく分かってますよ」

そしたら、ちょっとホッとしたような表情なって、「そうなんですよー」と話しはじめた。「こんな基本の資料しかなくて申し訳ないけど…」と言いつつ、一般的な栄養指導ではこのような話をしています、と説明しはじめた。

・血糖値の変動を安定させるためには、朝昼夕と3食きちんと摂ることが推奨されます。特に朝食が大事で、朝食を抜いた場合、昼食で血糖値が上がりやすくなってしまいます。

→セカンドミール効果ですね。

→→ご存知ですよね。その通りです。

・食事はバランスよく摂って、カロリーを摂り過ぎないことが大切です。

→カロリーに注意って、それは肥満の人の話じゃないんですか?

→→そ、そうですね。ここ(資料を指しながら)に「食事量が多い、肥満気味タイプ(の人向けのアドバイス)」とありますね(汗)

・野菜ももちろんですが、果物も適量食べた方がいいとされています。たとえば、リンゴなら1/2個、バナナなら1本などです。

→いわゆる「1単位」ってやつですよね?

→→そうです、その通りです。

・野菜などの食物繊維が多いものを先に食べることで、血糖値が上がりにくくなると言われています。

→…本当に?(上目遣いでニヤリとしながらいたずらっぽく)

→→わたしが見せたグラフを眺めながら、「…ですよねー」と苦笑。野菜やきのこを摂り、なおかつオーツ麦ふすまを使った高食物繊維の低糖質パンを食べた結果がアレなのだから。

 

 

結局、いわゆる「栄養指導」で教えられるような内容は、全部知っていることばかり。上に書いた以外では、「食べる順番」とか「ゆっくりよく噛んで食べる」とかもね。

 

むしろ、わたしはそれらを実践してみて、自分の血糖値がどうなるかを知っている。それも、1、2か月に1回測定するHbA1cではなく、SMBGやリブレでそのときどきの血糖変動を直接確認している。

一方、栄養士は一般論としての知識はあったとしても、実際に患者の血糖変動に対する効果がどれくらいかはよく知らないだろう。

SMBGやリブレをしていない患者であれば、このような一般的な栄養指導を受けても疑問に思うことはないだろうし、真面目な患者ならきちんと実践しようと思うだろう。取り組んだつもりなのに検査結果が思わしくなかったら、「もっとちゃんとする必要があるんだ。そう言えばケーキを食べたしな。ちょっと運動量も少なかったかもしれない」と、自分の生活習慣が悪かったから取り組みの効果が得られなかったのだと考えるだろう。だって、栄養士の指導は正しいに違いないのだから。

 

わたしは栄養士にガチ糖尿病患者のリアルな血糖変動を知ってほしいと思ったので、医師からの栄養指導の提案を受け入れることにしたのだ。過去の血糖値実験データを揃えて、栄養士に見てもらおうと。今回は急だったので、データを用意することができなかったけれども。

 

糖質制限を始めた経緯を聞いたために、栄養士は「糖質はエネルギー比で50〜60%摂取して」とは強くは言えないようだった。しかし、立場上はそう指導しないといけない。そういう葛藤と戦っているのがよく伝わってきた。

 

栄養士は、「1500 kcal設定だと1食あたりの炭水化物量はおよそ80 gなのですが、それをもち麦やオートミールで摂ってみたらどうなるんでしょう?」と遠慮がちに提案してきた。

 

ふむ。

たしかに、過去に1400 kcal、米飯140 gを念頭においた食事をしていたころは、ごはんは白米:ロウカット玄米:もち麦=2:1:1で食べていた。でも、それはあくまでも「家で『定食風』メニューを作った場合」の話だ。たまにはカレーライスや丼物、チャーハンなどの一品ものを作って食べるときもあった。以前よりはごはんの量を減らしてはいたものの、こういう一品ものメニューだと米飯140 g以上を食べていた。また、精製小麦は普通に食べていたので、普通のパン、麺類、お好み焼きなども食べていた。

糖質制限を始めた当初はこの「白米:ロウカット玄米:もち麦=2:1:1」を半量の70 gにして食べていたのだが、やがてもち麦100%だと血糖値が上がりにくいことが分かったので、それ以降はもち麦だけを70 g食べるようになったのだった。

オートミールは30 gをふやかして食べることがあったけど、これだと血糖値がかなり上がるので、アーモンドパウダーと混ぜてオートミールクッキーを焼いて、それを食べるようになった。オートミールの量としては、1回あたり(クッキー2枚)10 gの摂取だった。

 

オートミール30 gで血糖値が上がることはすでに経験しているが、しかし、高繊維質の穀物をしっかり摂取し、その分、脂質を減らした食事を継続したときに血糖変動がどうなるのか?は、わたし自身も知りたいところではある。

糖質制限食から変更した直後は食後血糖値がかなり上がってしまうことは予想できるが、その食事を続けて代謝が少しずつ順応してくれば、また少し違った結果になるかもしれない。

わたしは別に糖質制限に執着しているわけではないし、糖質制限が生理的インスリン抵抗性をもたらすことは理解しているので、脂質摂取量を減らしつつ高繊維高糖質の主食を増やしたらどうなるんだろう?というのは、以前からずっと興味があった。

ただ、極端な脂質制限はするつもりがなく(今のところ)、いわゆる「バランスのいい」食事だと、それなりに脂質を摂取することになる。

 

「糖質量を増やしたら、HbA1cが上がってしまうかな… うーん、どうしよ」

提案してみたものの、その結果、わたしの検査結果が悪化しては大変だと悩んでいる栄養士。

今回の栄養士は、とても感じがよかった。糖尿病教室で講師をした、ちょっとイラッとする頼りなさそうな人とは全く違った。この人なら、実験結果の検証を一緒にいろいろできそう。

なので、「いいですよ、わたし自身も興味があるし、ちょっとやってみましょう」と提案を受け入れることにした。

 

 

ということで、今、少し糖質摂取量を増やしているところだ。

ただ、診察の翌日から…というわけにはいかなかった。

使いかけの食材がいろいろ残っているので、それを整理してからじゃないと。

オーツブランパンのミックス粉を使い切ってから、全粒粉でパンを焼いた。富澤商店の「微粒全粒粉 (全粒粉100%で焼けるパン用粉)」を買ってみたのだ。

初めて使う粉で、ミックス粉と同じ分量で材料をHBにセットしたら失敗した(汗)

途中、自分で生地をきれいにまとめ直そうとHBのフタを開けてみると、水分量が多すぎてドロドロだった。ゲッ、ちゃんとパンになるんだろうか…?と不安になりつつ、どうしようもないので焼き上がりの音がなるまで放置した。

膨らみは悪いしボソボソではあったけれど、まあ一応はパンにはなっていたので、今はそれを食べている。

ちゃんとその粉を使ったレシピを調べて、次はそのレシピ通りに作ろうと思う(最初からそうすればよかったのにねぇ…orz)

 

もち麦は、今までは2合(炊飯前300 g)に雑穀を1パック混ぜて炊飯したものを10等分して食べていた。これで、炊飯後は約70〜75 gだった。

今は、この倍量を食べている。炊飯後で140〜150 gだ。

 

オートミールは、とりあえず30 gで食べている。

でも、これだと炭水化物量が20 gほどで全く足りないので、少しずつ増やしていこうと思ってはいるが…

もち麦140〜150 gと同程度の炭水化物量を摂ろうと思うと、オートミールを70 g食べる必要がある。

かなり多いな… 30 gでも血糖値スパイクがすごいのに、増やしたらどうなるんだろ。

血糖値がどれだけ上がろうが、今はとりあえず炭水化物を設定通りに摂取して、記録を取るつもりだけど…

 

糖質摂取量を増やすなら、今までの食事からその分の摂取カロリーを減らす必要がある。

・朝のプロテインを溶かす牛乳を200 mLから100 mLに

・プロテインに混ぜていたココナッツオイルを中止

・1食あたりの肉の摂取量を減らす

・炒め物に使うオリーブオイルを減らす

・サラダに使うマヨネーズをかなり減らす

・ヨーグルトを100 gから80 gに

・ヨーグルトに混ぜていたアマニ油を5 gから3 gに

・カマンベールチーズを食べるときは、1/4切れ (22.5 g)だったのを1/6切れ (15 g)に

などの対策をしているが、まだちょっとカロリーオーバーになってそうな気がする。

つい、たんぱく質を摂らなきゃ!と、肉や魚の摂取量を増やしてしまうのよね。そうすると脂質量も増えてしまうから困る。

魚は切り身のサイズがあるから、調節しやすいのは肉なんだよねぇ。

肉の摂取量を、かなり意識して減らすしかないな!

こまめに体重を測定して、急激に増加していないか気をつけておこう。BMI 22までなら増えても構わない気がするけど、筋肉じゃなく脂肪、それも内臓脂肪が増えそうだから、それは避けないとね。BMI 20を超えたら注意しよう。

 

糖尿病内科の担当医の「一度、栄養士さんと話をしてみますか」という提案は、「栄養指導を1回受ける」という話だと思っていた。

ところが、次回の診察予約票を見ると、また診察の後に栄養指導が入っていた。

え? 今後、毎回栄養指導を受けろってこと?

まあ、次回は糖質摂取量を増やした結果について栄養士さんと話をしたいからいいんだけど、今後もずっと栄養指導を受ける必要はあるんだろうか?

この栄養士さんと話をすること自体はいいんだけど、(食事内容変更で血糖値がどうなるか)情報を得るのはわたしではなくて栄養士さんの方なのに、こちらが料金を支払うというのはなんだか納得がいかんw

 

多分だけど、今の担当医は、わたしが糖質制限していることをずっと快く思っていなかったんだと思う。ただ、前の担当医が認めていたから、その方針を継続せざるを得ず、「炭水化物を50〜60%摂れ」とは言えなかったのではないだろうか。

でも、栄養士はそんな経緯を知らないし、栄養指導はガイドラインに則っておこなわれるので、「糖質制限は勧められません。きちんと炭水化物を50〜60%摂ることが推奨されています」と指導するはず。担当医はそれを期待していたのではないだろうか。

 

今の担当医は、わたしが勝手に持効型インスリンの単位数を変更することも快く思ってないことが、ありありと伝わってくるんだよね。患者を完全に自分の管理下におきたいタイプっぽい。患者を信用しないタイプなんだろうね。

これだと、超速効型インスリンを使っている患者が、カーボカウントによってインスリン量を調節することも嫌がりそうだ。毎食同じような食事をして、毎回同じ単位数でインスリンを打つべき。そういう指導が好きそう。勝手なイメージだけど。

 

極端な糖質制限は今でも推奨されていないけど、今年3月25日に公開された「健康食スタートブック(ここ)」では、やっと「日本糖尿病学会では炭水化物の摂取量の目安を総エネルギーの40%~60%としています。これは日本の食生活で平均56%程度の炭水化物を摂取していることに対して幅のある目安となっています」と、「エネルギー比で40%」でもいいと明記された。

次回の栄養指導では、このことも話題にしてみよう。今まで「炭水化物は50〜60%」と指導してきた栄養士さんたちは、今回の変更をどう感じているのか聞いてみたい。

イジワルかな?

 

今のわたしの取り組み方だと、炭水化物40〜50%くらいになりそう(目標は50〜60%だけど、なかなか思い切っては増やせないので)。

精製穀物や精製糖ではなく、高食物繊維の穀物や豆類、サツマイモ、かぼちゃ、果物などからの炭水化物摂取と、ω9やω3を意識した脂質摂取で、血糖コントロールが今までよりも改善するのかどうか。

ま、やれるだけやってみよう。

 

 

実際には、栄養指導の前に消化器内科を受診したのだった。

それについては次回に。