低血糖で救急搬送? その1 の続きである。

 

 

 

今月の22日で満95歳になる大叔父が、昨年11月初めに救急搬送された。

大叔父に見せられた書類には、「低血糖」と書かれていた。

でも、本当に低血糖だったのだろうか?

大叔父や大叔母から話を聞いていて、わたしは疑問に思った。

 

少なくとも、大叔父が持効型インスリンを使い始めた2019年当時は、インスリンを使っていてもHbA1c 7%台後半で、酷いと9%近くまであったようなので、低血糖を起こすほどのインスリン投与量ではなかったと思う。

低血糖を起こしたなら、インスリンの単位を間違って多く打ってしまったとか、打ち忘れたと勘違いしてまた打ってしまったなど、何らかのミスの可能性が高い。

ただ、大叔父は超高齢者とは言え、認知機能は全く問題がなく、かなり几帳面なので、ミスをする可能性は低い気がする。(もちろん、絶対ではない)

大叔母の話を信じるなら、救急隊員は大叔父の血糖値を確認することなく、すぐにブドウ糖点滴を開始したらしい。

 

病院に搬送後は、脳の検査など全くなく、10日ほどベッドにいただけで退院したとのこと。

 

うーん、本当に低血糖だったのかなぁ…?

 

大叔父は、過去の血液検査の結果を、きちんと日付順に綴じていた。

それを「見てくれ」と言って出してきた。

大叔母やわたしの母親(大叔父から見ると姪にあたる)から「そんなもの何年も溜めていたって邪魔になるだけや。1年分くらい置いといて、あとは捨ててええやん」と言われながらも、5年以上前のデータも取ってあった。

 

一番最新の、昨年末の検査ではHbA1c 7.7%、空腹時血糖値もかなり高かった。

 

インスリンを使い始めたころの古い血液検査の結果をパラパラと見てみると、やはりHbA1cは7%台後半が多く、それを超えていることもあった。空腹時血糖値は95 mg/dLくらいのことが結構あった(とんでもなく高いときもあったが)。

 

当時は、インスリンは持効型のトレシーバが処方されていて、朝食前に打っていた。

空腹時血糖値が95 mg/dLなら十分低くなっている。それなのに、HbA1cはまだまだ高い。

大叔父は、平均血糖値のわりにHbA1cが高く出るタイプなのだろうか?

いや、素直に考えれば、食後にかなりの高血糖になっていたのだろう。

炭水化物大好き、果物大好きな大叔父のことだ。インスリン治療が始まって、「インスリンを使えば何でも好きなように食える!」と勘違いし、菓子パンやお菓子、果物などを食べていたのだと思われる。(ちなみに、大叔父は昔から太ってはおらず、お腹もそれほど出ていなかったと思う)

 

当時、すでに90歳以上の超高齢者だったし、低血糖の恐れがあるため空腹時血糖値はこれ以上下げられない。医師はHbA1cが8%未満で維持できればOKと考えていたのだろう。

 

この当時、大叔父が通っていたクリニックは、わたしの両親が今も通っている糖尿病専門医のクリニックだった(以下、A糖尿病クリニックとする)。

ところが、大叔父は運転免許証を返納したため、このクリニックには通いづらくなった。そこで、家の近くに新しくできた内科クリニックに移っていた(以下、B内科クリニックとする)。

A糖尿病クリニックで持効型インスリンを使い始めたのが2019年春ごろで、B内科クリニックに移ったのが2022年春のことだった。

 

近いと言っても超高齢者が歩いて行くには少し距離があり、大叔父は電動自転車で通っていた。

 

もうすぐ95歳になる大叔父は、スーパーへの買い物にも自転車で行っている。危なくて仕方がないのだが、車も自転車も取り上げてしまうと、本当に自分ではどこにも行けなくなってしまうという現実がある。また、身内が止めても素直に言うことを聞く大叔父ではない。さすがに車の運転は自分から諦めたようだが、自転車くらいはまだ乗れる!と言い張っている。

 

自転車に乗るのは大叔父だけなので、大叔母ではなく大叔父が、メモを見ながら買い物をしている。

余談だが、あるとき重宝している調味料がなくなったので、大叔母に買って来るよう頼まれた。しかし、スーパーのどこに置いてあるのか分からない。そこで、店員に商品名を言って探してもらおうとしたらしい。ところが、「そんな商品あったかな…?」と言いながら商品棚をざっと見て、「ありません」と言われてしまった。仕方がないので自分でもう一度調味料類の棚を見たら、ちゃんと目の前にあった。

 

大叔父は、わたしとわたしの母親に憤慨しながら言った。

「あの店員、知らんのや。『味の王様』のこと!」

 

わたしと母親はボカーン。味の王様?なんだそれ?

「お前らは使わんのか?赤い缶に入っとって…」

 

…ん? まさか?

 

節子、それ「味の王様」やない、「ウェイパー」や!w

 

そら、店員さんは『味の王様』言われても分からんかったやろ!

大叔父は、「なんでや。あれは『味の王様』やろ。缶にそう書いてある」と不服そうだった。

95歳を迎える大叔父にとっては、「ウェイパー(難しい漢字)」よりも「味の王様」の方が覚えやすかったのだろう。スーパーの店員さん、お手を煩わせてごめんね。

 

話を元に戻そう。

 

B内科クリニックでの検査結果をパラパラ見ていて、2022年9月のデータに目が留まった。

思わずギョッとした。

 

HbA1c 6.9%

グルコース 46 mg/dL

 

なんだこれは!?

 

続く。