クイーンのWe Will Rock Youを聴くと、インスリンの分泌が誘導されるんだって!

マジかよ、We Will Rock Youめっちゃ好きやわ。これでインスリン分泌が誘導されるなら、いくらでも足を踏みならしてドンドンパッ!ってやるわ!

 

 

…って思ったら、全然違う話だった…orz

そりゃそうだよね、曲を聴くだけでうっかりインスリンが出ちゃったら、低血糖で倒れる人が続出するよねw

 

クイーンの曲でインスリン分泌誘発 新たな糖尿病コントロール法を開発

 

 

インスリンを産生、分泌するようデザインされた細胞をカプセルに詰め、体内に埋め込むという手法が開発中らしい。

が、どうやってインスリン分泌を適切に誘導するか?が課題になっていた。

 

今回、スイスの研究チームが、音や振動の刺激によってインスリンを分泌する細胞をデザインした。実際、実験室内で細胞近くで音楽を流すとインスリンが放出された。

用いる音楽の種類によって効果が異なり、重低音の効果が高かった。

中でも、特にクイーンのWe Will Rock Youが適していることが分かった。

 

この細胞をカプセルに詰め、マウスに移植。皮膚の上からでも音波が作用するか確認したところ、スピーカーを直に接触させた場合にのみ効果があった。

 

単に音楽が流れている環境や、大音量の飛行機の音や芝刈り機の音を流しても、インスリンは分泌されなかった。

 

よかった、ロック好きが大音量で音楽を聴いても、うっかりインスリン分泌が誘導されて低血糖を起こすことはないんだねw

 

この技術が実用化されるかどうかは分からないけど、ひとつは、カプセル内の細胞の生存期間が問題になるのかな。おそらく、定期的にカプセルを埋め込み続ける必要があると思う。

細胞の活きがいいときはインスリンが効率よく分泌されるけど、ヘタってきたら分泌量が低下して血糖コントロールが悪くなるかもしれない。

音量で厳密にインスリン分泌量がコントロールできればいいけど、そこまでコントロールができない場合は、カーボカウントでインスリン単位量を調整するような微妙な血糖コントロールは無理かも。

 

それでも、頻回のインスリン注射を避けたい、できない人にとっては、この技術で危険なほどの高血糖を簡単に回避できるかもしれないので有用だと思う。

 

しかしまあ、We Will Rock Youを聴きさえすればいいのかと思ったのに残念だ。

でも、好きな曲を聴けばストレス発散になって、血糖値が下がるかもね。

いや、もしかしたら、ロックではアドレナリンが出ちゃって、余計に血糖値が上がるかもしれないけど〜w

 

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「糖尿病」の呼称を「ダイアベティス」に変更する案がまとめられた。

というニュースが話題になったとき、ネット上では

 

糖尿病は英語でdiabetes mellitusで、それを日本語で「ダイアベティス」にするのなら、「尿崩症」は英語でdiabetes insipidusなんだが、これはどうなるんだ?

 

という意見が見られた。

diabetesとは「サイフォンのように水を通す」という意味であり、そこから「多尿」を表現する言葉として用いられるようになった。(なので、「糖尿病」を「ダイアベティス」に変更しても、「尿」から逃れられるわけではない。ただ、日本人の多くは「ダイアベティス」の意味を知らないので、そこに嫌悪感や羞恥心を抱くことはほとんどないと思われる)

 

医療現場では、糖尿病はDM、尿崩症はDIと呼ばれることが多いようだ。

 

そんなdiabetes insipidus(尿崩症)にも病名変更の動きがあるのだとか。

 

「尿崩症」にも名称変更の動き(要登録)

 

 

糖尿病に比べて尿崩症はメジャーな疾患ではないため、自動翻訳ソフトが誤ってdiabetes insipidusを「糖尿病」と訳してしまうこともあるらしい。

 

糖尿病と混同するのは医療従事者も同じらしく、入院している尿崩症患者が血糖測定を繰り返されたり、糖尿病の薬を処方されるなど、医療従事者から不当な扱いをうけた経験のある患者がいるらしい。ひどい例では、中枢性尿崩症の患者において、デスモプレシン治療が差し控えられ、死亡を含む重篤な有害事象が発生する事件も報じられている。

このような背景もあり、患者が病名変更を希望している、ということのようだ。

 

なるほど、これは糖尿病の呼称変更よりも、ずっと問題が大きそうだ。プロである医療従事者でさえ混乱するのであれば、完全に別の疾患であることを明確にする必要があるだろう。それも、できるだけ早急に。

 

日本語だと「糖尿病」と「尿崩症」と全く異なるので、病名で混同することはなさそう。

ただ、尿崩症の場合も口渇や多尿という症状があり、医師はまずは糖尿病を連想してしまう、という問題があるようだ。

症状が似ている疾患というのはたくさんあるし、ここはもう、医師に経験を積んでもらうしかないのかも…

 

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糖尿病のスティグマについてネット検索していたら、落語を見つけた。スティグマアドボカシー活動の一環として、糖尿病協会とベーリンガーインゲルハイムにより制作されたものらしい。

 

糖尿病疾患啓発オリジナル落語「色眼鏡」ここ

 

わたしは落語に疎くてよく分からないのだけど、入船亭扇蔵という落語家がオリジナル落語「色眼鏡」を演じている。

 

ご隠居のところに、八っつぁんがメガネをかけて現れる。

ご隠居がメガネの理由を問うと、八っつぁんは「目が悪くなったわけではなく、利口に見えるからだ」と答える。

ご隠居は、それはお前の思い込み、偏見だ、そういう偏見で苦しむ人がいるのだ、と指摘する。たとえば、あの人は太っているから大食いだろうとか、やせているから少食だろうとか。やせていても大食いの人はいくらでもいるだろう?と。

しかし、八っつぁんは、知り合いの熊の野郎は食っちゃ寝食っちゃ寝して糖尿病になった、と言う。

ご隠居は、熊さんはかみさんのおっかさんが倒れて看病していること、子どもの面倒を見ながら、薬代を稼ぐために仕事の量を増やしていること、子どもの食事を用意しながら自分はつまみ食いですませ、夜遅くに食事をしていること。自分のことを後回しにしていた結果、糖尿病になってしまったという事情を説明する。

八っつぁんは、それは知らなかった、食っちゃ寝したり、酒を浴びるほど飲んだり、甘い物ばかり食べたりして糖尿病になると思っていたけど、結構大変なんですねぇと理解を示す。

ご隠居は、八っつぁんの家の隣のかみさんは食っちゃ寝しているけど、糖尿病じゃない。元々の体質というのがあって、血糖値の調整ができなくて病気になってしまうのだ、と言う。

八っつぁんは、そんな事情を話してくれなかった熊は水くさい、言ってくれればよかったのに、と言う。

しかし、ご隠居は、お前みたいな偏見を持っている人がいるから、分かってもらえないだろうと思って諦めて言えなかったんじゃないか、と指摘する。糖尿病の人は肩身が狭くて大変なのだから、もう決して人様を色眼鏡で見ちゃいけないよ、とたしなめる。

八っつぁん「大丈夫、あっしのメガネは色がついてないから!」

 

ということで、オチとなる。

動画の最後は「糖尿病に対する固定観念で、その人を判断しないようにしましょう。」というテロップで締めくくられる。

 

 

さて、この落語をどう思うだろう?

よくできていると思うだろうか?

 

実は、この落語にもスティグマが隠れてるんだよねぇ。

それは、「糖尿病はやむを得ない事情による生活の乱れでも発症する」という部分。

2型糖尿病の患者がこれを聞けば、「よく言ってくれた!」と思うかもしれない。

でも、1型糖尿病の人が聞くと、「生活の乱れとか全く関係ないのだが!?」と感じるんだよね。

 

つまり、「糖尿病」と言っているのに、内容は2型糖尿病のことしか扱っていないのが問題になるのだ。

これは、糖尿病を扱ったネット記事でもよくあること。そのたびに、1型糖尿病患者から「『糖尿病』と書くな。正しく『2型糖尿病』と書いてくれ!」「1型糖尿病と2型糖尿病は違う病名にしてくれ!」と抗議の声が上がる。糖尿病患者の95%が2型なので、ついつい2型糖尿病を「糖尿病」と略してしまうけど、1型の人にとっては許しがたいことなのだ。

 

わたしのブログでも、つい2型糖尿病を「糖尿病」と略してしまうけど、本当はきちんと書かないとダメなんだよね。たとえ個人ブログは単なるウェブ日記とは言え、やっぱり読む人がいる限りは、誤解のないように書いた方がいいんだろう。

 

糖尿病へのスティグマ問題は根深い。

1型と2型の分断を解消しない限り、呼称を変更しようがなにも変わらないと思う。

 

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こっちの病名変更についても、一般のニュース記事になったね。

 

「飲んだくれ」「太っちょ」の単語含む病名は差別的…欧州で変更、日本も2つの肝臓病を新名称に

 

 

過去記事に、NAFLD、NASHの名称がMAFLD、MASHに変更されることについて書いた。

 

 

日本も追随して、名称変更することが決まったようだ。

わたしはfattyを「デブ」と訳したけど、なるほど「太っちょ」ね。こっちの方がかわいい表現だけど、それでもやっぱりNGワードなんだな。

この反対語はなんだろう?

「デブ」の反対は「ガリ」、「太っちょ」の反対は「やせっぽち」かな? 当然ながら、「デブ」「太っちょ」がNGワードなら、「ガリ」「やせっぽち」もNGワードだろう。人前で使ってはいけない、使うと人格を疑われるのだと、しっかり自分に言い聞かせておこう。

 

一方、alcoholicは「飲んだくれ」ということなのだが、nonalcoholicもNGワードになるというのが興味深い。「飲んだくれじゃない」という意味であっても、「飲んだくれ」と表現すること自体がNGなんだろう。

 

MASLDとMASHの読み方は、やっぱりマッスルディーとマッシュなんだね。

そして、新しい日本語の名称をこれから決めるのだそうだ。

NAFLDは「非アルコール性脂肪性肝疾患」、NASHは「非アルコール性脂肪肝炎」という日本語名称だった。

今度は「代謝」という単語が含まれるんだろうけど、さて、どんな名称になるのかな? 覚えやすい名称だといいなぁ。