前回の続きである。
それにしても、コントロール溶液の組成が気になる。
添付文書によれば、
・低濃度
グルコース 0.04%w/v
DL-β-ヒドロキシ酪酸 0.02%w/v
非反応成分 99.94%w/v
・中濃度
グルコース 0.07%w/v
DL-β-ヒドロキシ酪酸 0.04%w/v
非反応成分 99.89%w/v
・高濃度
グルコース 0.22%w/v
DL-β-ヒドロキシ酪酸 0.08%w/v
非反応成分 99.70%w/v
低濃度の場合、0.04% weight/volume。
つまり、溶液100 ml中に0.04 gのグルコースが溶けているということだろう。
ということは、40 mg/dL?
同様に、中濃度は70 mg/dL、高濃度は220 mg/dL?
しかし、測定結果から考えると、少なくとも中濃度と高濃度についてはかけ離れているように思う。
大体、単純にグルコースを水に溶かしたものを測定すると、計算上とは全く違った結果になるのだ。
いやー、こういう疑問を実際に実験で確認してしまうのはすごい。
どうなるんだろう?と思っていても、なかなか自分で確かめることはしないもんな〜
この実験では、500 mg/dLになるはずが196 mg/dLと、かなり低く出るいう結果となった。
これは、全血は水とは違い、血球成分やら化学反応に影響を与える物質やらが含まれているからと思われる。が、その具体的な詳細はわたしには分からんw
これ、メーカーや機種によって違うのだろうか?
リンク先で使われているのは、Acon社のOn Call Express。
もしかしたら、メーカーや機種によって結果がかなり違う可能性がある。
自分でも試してみたいけど、ブドウ糖がない。残念。(諦めるの、早っ!w)
とにかく、グルコース0.22% w/vの溶液を測定すれば220 mg/dLになる、というわけじゃないということだ。
そして、血糖値としてどの濃度に調製してあるのかは明かされていない。
あー、モヤモヤする!
そして、電極の添付文書にあるこの情報がどうも理解できないんだよねぇ。
専用コントロール溶液による期待値測定範囲
低濃度(Low)コントロール溶液: 31 - 61 mg/dL
中濃度(Mid)コントロール溶液: 68 - 124 mg/dL
高濃度(High)コントロール溶液: 216 - 366 mg/dL
たとえこの範囲内に入っていることを確認しても、こんなに許容範囲が広いんじゃ、「よし、正確に測定できている!」と安心できないわー
コントロール溶液の「正解」が分からないから、「正解」からどれくらい乖離しているのかの確認ができない。
正直、コントロール溶液を測定する意味はあるんだろうか?と思ってしまった。
ネットで調べてみたところ、アボット社の血糖測定器は低めに出るという報告がチラホラと見つかった。
たとえば、この報告。
血糖測定器の正しい知識と選択―糖尿病患者が抱えるストレスの軽減のための一助となる―(ここ)
希釈直線性を調べたところ、アボット社のプレシジョンネオ(FSリブレと同じ電極)は全体的に低値傾向にあり、対照値と比較して15%前後の乖離があった。
まあ、15%程度ということは、許容範囲だということなんだろうけど…
同時再現性においては、各検体の濃度がよく分からないが、他のメーカーの機器と比べてプレシジョンネオはどの濃度でも低めに出ているように見える。
一方、メディセーフフィットスマイルは、中濃度が少し高めに出ているか?
各機種ごとのばらつきは分かっても、「正解」からどれくらい外れているのかがよく分からん。
また、こちらの報告では、もっと酷かった。
自己血糖測定(SMBG)機器機種間差の実際(ここ)
・患者所有のアボット社製SMBG機器(機器A)
・新品の機器A(新A)
・病棟で使用しているテルモ社製SMBG機器(機器B)
・新品の機器B(新B)
・内科外来で使用しているJ&J社製SMBG機器(機器C)
・対照機器(LABOSPECT008)
これらを比較している。(機種は不明)
アボット社製vsテルモ社製では、常にアボット社製の方がかなり低く出ていた。
また、それは機器が古くなったからではなく、新品でも同様だった。
自動分析装置との比較では、テルモ社製は低濃度においては少し高く出たものの、全体としては対象値と一番近い値となった。
アボット社製は全てにおいて許容誤差範囲を下回っていた。
うわ、アボット使えねー!
新品でも同じ傾向なら、機器を新品に交換したって意味ないな。
(注: アボットの全ての機器が同じ傾向を示すのかは不明。実際、医療期間での血液検査による血糖値とほぼ差がないと報告している人もいる。アボットの場合、「ハズレ」の機器に当たりやすいということかもしれない。それはそれで困った話だが。)
なるほどな…
ともかく、わたしが使っているリブレ電極の数値をアテにしてはイカンな。
リンク先の報告を見る限りでは、やっぱりメディセーフの方が信頼感は強いなぁ。
ちぇっ、リブレを使う前はメディセーフだったのに。
リブレセンサーとメディセーフ測定チップの二刀流で行きたかったよ。
リブレ電極と乖離がほぼないリブレセンサーというのは、やはり低めに出ていると考えられる。なので、リブレのグラフの赤線(70 mg/dL未満の低血糖域)はほぼニセモノだろう。(注: わたしの場合は)
以前からそう感じていたけど、今回メディセーフと比較してみて、それが改めて確認されたな。
で、先日の夜、寝ていてふと目が覚めた。
あー、なんかお腹空いたなー
目が覚めてこんなふうに空腹を感じたときは、今までの経験上、低血糖の予兆であることが多い。
リブレセンサーをピッとしてみると、60 mg/dLだった。
どうせ、また+ 15 mg/dL以上あるんでしょ。だったら、実際は75 mg/dL以上でしょ。じゃあ、低血糖じゃないやん。気のせい、気のせい。
そう思って、また寝ようとした。
ところが、異様な空腹感はますます強くなり、そのうち汗まで出てきた。
ありゃ?これは本当に低血糖?
ゴソゴソと起きだして、低血糖用の補食をした。
面倒くさかったので電極での確認はしなかったが、症状が出ているのだから自分の体を信用した。
くっそ。
リブレはウソつきと思った途端にこれだよ… orz
リブレにおちょくられてる気がするわ。
全く、血糖管理って思うようにはいかないね。
低血糖を回避するためには、常に高めに血糖値を維持すればいいんだけどさ。
今でも6.5%超えてるのに、高めを維持したらHbA1cが7%を超えちゃうよ。
あー、難しい!
(注: 低血糖の症状は、脳が低血糖と判断するかどうかにかかっている。したがって、70 mg/dL以上であっても低血糖症状が出ることがある。症状が出ているなら、素直に補食した方がいいだろう。
一方、普段から糖質を制限してケトン体が有効利用されている場合、低血糖症状は起きにくくなると思われる。これは、血糖値が少々低くても、脳がエネルギー不足だと判断しないからで、実際、エネルギー不足は起きてはいないだろう。なので、症状がなければ放置していても大きな問題はないと個人的には考えているが、この考えを他人に勧めるつもりはない。
血糖値を測定した結果が低ければ、自覚症状がなくても、すぐに補食をした方が無難であることは強調しておく。)