レコーディングと音のこと。Rec days...6月〜8月 | 髭モダン Talkin'

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仙台在住のMOD音響職人が綴る気ままなブログ。
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この6月からレコーディング作業が休まず続いている。

これまでの仕事内容の比率を均せばPAが60%、RECが30%、残り10%がイベント制作や講座等といったところだろうか。

もちろんアルバム制作ともなればPA現場の隙を縫ってそれに時間を多く割くのだが、6月からの流れは別件が3案件続くというなかなかにタイトなうえプレッシャーの大きい事情があったりして。

しかしこの上なくやり甲斐があり楽しい案件なお陰で、とても前向きにいい感じで作業は刻々と進んでいるのである。

 

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6月は多くの人が天才と認める東北の最終兵器、佐々木龍大くんの新バンドのアルバム制作に時間を費やした。

盛岡の彼の新しいギャラリー(藍染職人としても活躍中なのだ)で、5日間に渡り録音を敢行した。

ギャラリーであるから何かを録音する設備や環境は何もなく、白く塗られたスペースがあるだけの場所で、機材をすべて持ち込んでのレコーディング。

仙台で録ろうかスタジオで録ろうかなど諸々を龍大くんとミーティングしたが、最終的にはライヴレコーディングに近い形(60年代的な?)でここで録ろうと決めた。

 

バンドがリラックスして演奏できる雰囲気と生のグルーヴを真空パックのようにギュッと閉じ込めることが出来そうだったし、その昔ストーンズやツェッペリンやボブ・マーリーが行ったモービルユニットレコーディング(移動式録音スタジオ)のことも頭にあり、条件は簡単ではないがチャレンジすることにしたのである。

そしてもうひとつ大きな理由があった。

現在のレコーディングはPro ToolsというDAWソフトを使ったデジタル録音がほとんどである。

無限に色々な細工が出来るし、PCとオーディオインターフェイスがあれば何処でも音は録れてしまうし、その後のミックス作業を覚えれば誰でもそれなりの音を作ることが出来るのだ。とても便利なツールなのである。

 

でも逆にそれは音の個性を失くす可能性も含んでいる。要するに誰がやっても同じようなDTM(デスクトップミュージック)っぽい音の質感になってしまうということだ。

そこで肝心なのは生音と録り音とミックスの腕ということになってくる。

 

生音は演者の腕次第、録り音は場所の響きとマイキング(マイクの選定と録り方)次第、ミックスは僕の耳とセンス次第ということだ。

曲はデモの段階で素晴らしかったので、その3つがうまくいけば誰にも真似できない個性のある音のアルバムになることはわかっていた。

ならばスタジオとはまったく違うギャラリーの響きも味方につけて音を作り上げていけばいいのだ、という結論に達したのでる。

苦労したけれど(細かい手法は企業秘密。笑)、これまでの経験と知恵と工夫と勘を注ぎ込んで作ったのが8/1に全国リリースとなった佐々木龍大と井戸の月「井戸の月」なのだ。

ハイファイではないし時代に逆行した音かもしれないが、彼らの演奏と歌と空気感をナチュラルに味わえるアルバムだと思う。

何より曲が最高だし!

音楽の本質を深くえぐる問題作なので、ぜひ聴いてみて下さい。

全国のCDショップ、仙台VORZ BARで購入可能。

GROOVE COUNCILでの通販もOKですよ。

groovecouncil@gmail.com

 

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7月は某アーティスト(某メジャーレーベル)のアルバムの1曲を、光栄にも録りからミックスまで担当させてもらった。

他の曲は有名なあの人がプロデュースで参加しているらしい。

こちらは先日完パケ納品したので、情報が話せる段階になったらお知らせします。

 

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そして今月頭からレコーディングに突入しているのは、いま東京でとても勢い&人気のある業界も大注目のバンド、GOOD BYE APRILの2ndフルアルバム「他人旅行」。

 

こちらは有難いことに、一緒にアルバムを作りたいと彼らに声をかけてもらい、がっちり音作りに関わらせてもらうことになった。

クラウドファンディングで支援者360人から資金を募り制作しているということもあるが、GBAの勝負作としてリリースされるアルバムなので、誰が聴いても良いと思ってもらえる無敵のサウンド(そんなのあるのかわからないが、そんな気持ち)に仕上げなければと思っている。

 

バンドメンバーとは息子・娘といってもいいくらいの年齢差だが、だからこそ音作りだけではなくプレイのことや音色のことやアレンジやレコーディングの進め方など、少しでも役に立てるアドバイスができればと臨んでいる。

あ、今のところ関係は仲のいい親子のように良好です。笑。

先日東京で録ったバッキングトラックを現在ミックス中で、個人的にはかなり手応えのある感じになっている。

彼らの持ち味であるメロディアスな瑞々しさを生かした、品のいい音に仕上げられればいいなと思う。

週明けからはボーカル・コーラス録り、バンド以外のダビングと続くが、とにかく曲も演奏もいいので今後の作業も引き続きとことん突き詰めていきたいと意気込んでいるところだ。

乞うご期待!

 

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合間の気分転換に音楽の専門書(最近マニアックなの結構出ていて困る。笑)を読んだり、某ピアニストのレコーディングに某ギタリストを繋いだり、年末〜年明けのイベントを考えたりと、こんな感じで最近は日々が過ぎています。


あ、8月26日(日)は堀下さゆりpresents「杜のソラシド vol.6」がVORZ BARであります。

今回はナイスな在仙シンガー佐山亜紀ちゃんを迎えて。

要チェックですよ!

堀下さゆりHP 参照)

 

それと今月ワークショップは夏休みでしたが、

9/2(日) Famous Tunes vol.10

9/19(水) ロック&ソウル音楽史 vol.5

の予定です。

詳細は近日中にSNSにアップしますね。

ではまた。