Paul Weller 2024 仙台公演レビュー | 髭モダン Talkin'

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仙台在住のMOD音響職人が綴る気ままなブログ。
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Paul Weller 来日公演 in 仙台PIT、酔いしれた!やはりカッコ良すぎるぞ。
久しぶりという事で近くで観たいという欲求もあったが、やはり全体を見渡したいのとサウンドを堪能(研究?)したい気持ちが勝り後方でと決めた。

 

皆んなと離れ(9人で行ったのだ)フロアに入り流れているBGMを参考に、音が一番バランスよく聴こえる位置をウロウロして見つけ確保。PITは場所によって聴こえ方が異なるからね。
まずはやはりPA卓をチェック。この会場に普段あるYAMAHAではなくALLEN & HEATH(made in UK)が設置されていて、イギリスから持ち込んできたらしい。

好きな音色のコンソールなので、期待がさらに高まる。

続々と入場者が増えてきて知り合いともたくさん会えた。

「久しぶり〜」とか「えっ、今日PA?」「まさか」とか「仙台だけ完売してないの何だかねぇ」とか「やっぱり来てたか」とか「昨日空港でサインもらったんすよ」とか盛り上がる。

この外タレライブならではの光景もどこか懐かしかったりする。
BGMはウェラー本人が選んだであろうレアグルーヴ系の名曲ばかりで、開演までの60分は案外と短かった。

時間ぴったりに客電が落ちSEと共にメンバーが登場。そこからは夢心地でショーが続きあっという間の2時間。他とは少し曲目も変更していたようだ。

コロナ禍で中止になったツアーでやる予定でいたと思われる最近のアルバムからのナンバーが多かったが、THE JAM、スタイルカウンシル、ソロ初期の名曲も散りばめられていいた。

特にスタカンのA Man Of Graet Promise、ソロ1stのAbove The Cloudsが生で聴けて興奮したし、最新曲もとても良かった。


歌声は相変わらずカッコよく、バンドが若返ったということも関係あるのだろうが、アップデートされつつもいい具合に熟成された演奏は現役感バリバリ。
結構MCもあったので本人はかなり気分が良かったのではと推測する。
バンドはもちろん上手いのだが、何より音源に近づけた繊細なアレンジと見事なボイシング&ダイナミクスに満ちていた。これぞ歌ものバンドサウンド。
サックス&フルートがジャコ・ピークなのも胸熱だしスティーブ・クラドックの押さえたギター技も堪能できた。

ツインドラムはどうなんだろうとステージセットを見て思っていたが、それぞれの役割と音質がはっきりしている上にギターやらシンセパッドやらマラカスやらと細かい音も刻んでいて、全体の音像を煌びやかに彩る。

PAもさすがで、エフェクティブなんだけど生っぽさもあり、上品だけどロックっぽいという質感で、奥行きのあるその絶妙な音量も含め日本ではあまり耳にすることのない音作り。

人になんと言われようともUK仕込みの音作りを目指してきた自分にとっておおいに参考になった。

(30代以降の僕自身の音作りは、その昔イギリス滞在中に現地のエンジニアから盗んだり学んだりしたものが基礎になっている)

終演後は皆んなで会場近くの居酒屋へ。昔の同僚ともしばらくぶりに飲んで上機嫌で帰宅したのであった。あれから25年くらい経つからそりゃ各々歳をとったわけだが、それでも一瞬にしてあの頃のような関係性が蘇り音楽やくだらない話で盛り上がるのだから、なかなかにいいものだ。


ライブに行く前は、もし枯れすぎていてがっかりしたらどうしよう?とか思っていたが、完全なる杞憂だった。その証拠に2日たった今も胸の奥がじんわりしているのである。

 

余談だがポール・ウェラーのライブは日本とロンドンでかなり見ているが、中でも思い出深いものがふたつある。
ひとつは1992年ロンドン滞在中のRoyal Albert Hall。向こうの音楽誌でその情報を知ったのだが、プレイガイドに行ったらライブ間近だったため既に完売していた。

 

当日券があるかもと会場まで足を運んだが今夜は出ないと言われしょんぼりしていると、明らかに怪しげな兄ちゃんが近寄ってきて「チケットあるぞ」と声をかけてきた。ダフ屋である。
値段を聞くと定価の3倍だった。さすがにそれは払えないと地下鉄駅にとぼとぼ戻っていると「いくらなら買うんだい?」と例の兄ちゃんが追いかけてきてやり取りが始まった。

「おれは優雅な観光客ではなく音楽の修行でこっちにいるから、そんなに金は持ってないよ」

「ブラジルから来たのか?」

「いやいや日本だよ。純粋なジャパニーズだ」

「日本人にしては手荷物が少ないな。じゃ2倍ならどうだ?」

「いや、あきらめるよ。今日はお金あんまり持ってないし」

「ギグを見たくないのかい?」

「大ファンだし音の勉強もしたいから本当は見たいさ」

そんな感じで会話が進み、結局は僕がサウンドエンジニアとしてもロンドンでのライブを見たいのだということが伝わったのか、最後には「お前も変わったやつだなぁ。まぁ頑張れよ、応援するぜ」と言って定価でチケットを売ってくれたのだった。

フロアではTHE JAMの揃いのウインドブレイカーを着た地元のおじさん達に何故か酒を奢ってもらい、ソロ初期のエネルギッシュなライブを楽しめたのである。

 

そしてもうひとつは2000年の東北での2日間のこと。

詳しくは下記のブログを参照して欲しい。若気の至りで恥ずかしい部分もあるが、音楽愛に関しては今も当時と変わらないなぁと自分でも感心したりして。

「実録_All Mod Cons!〜Paul Weller Night」

https://higemodern.exblog.jp/16013668/

「実録_Koiwai Rock Fes.2000〜牧場のMods対決」

https://higemodern.exblog.jp/16026312/