Bill Evans /『Waltz For Debby』 | ongaku:キョウノイチマイby『飄逸庵』

ongaku:キョウノイチマイby『飄逸庵』

音楽は『目に見えないインテリア』。
音楽は『耳から入れる薬」。
音楽マイスター「おと虫」の、音楽処方箋。
*紹介している商品は、画像をクリックするとameba picsで購入もできます。
音楽療法と心理学をブレンドしてあなたの心の浄化をサポートします。

先月くらいから急にインターネットの接続が不安定になった。

Windows11に更新したくらいからだ。

 

ルーターやLANが古くなったのが原因なのか、よくわからない。

 

この時代、インターネットが繋がらないというのは非常に気分が悪い。

 

スマホのWi-Fiは普通だ。

 

PCだけ調子悪い。

 

立ち上げて暫くなにもしないでおくと何となくだがいいように感じる。

 

しかし、思い通りにならないストレスは嫌なものだ。

 

気分を落ち着かせるためにこの一枚を聴いている。

 

ビル・エヴァンスの代表作『ワルツ・フォー・デビー』。

彼はこのライブ・アルバムが生涯嫌いだったらしい。

その理由が、お客のほとんどが演奏を聴いていないからという理由かららしい。

あくまでも漏れ伝わった噂で出所不明の話なので真偽のほどは定かではない。

だけど、1961年6月25日の日曜日にヴィレッジ・ヴァンガードを訪れた客は、確かにあまり熱心な聴衆とはいえなかった。

話し声やグラスの音、キャッシャーを打つ音がかなり聞えるのは誰もが知っているが、聞こえないふりをしているのではないだろうか。

しかし、この行儀のよくない聴衆たちのおかげでエヴァンスの最高の演奏のひとつを耳に出来るのだ。

客が無関心で無作法なほど、トリオの熱気を帯びた神技的な細心さの強度は高まる。

その好例が『ワルツ・フォー・デビー』および『マイ・フーリッシュ・ハート』だろう。

この二曲は、ジャズの持つ抒情性という一つの虚構を現出するための規範といっていい演奏だ。

これぞというタイミングで入ってくるモチアンのシンバル。

軽快なプレイでエヴァンスと同立するラファロのベース。

そして、抑圧され透明度の高いピアノを限りなく静かに弾くエヴァンス。

こうした演奏は、このような環境だからこそ生れ出たのではないだろうか。

そう考えると、この日の行儀の悪い聴衆たちに感謝である。