細野晴臣 /『泰安洋行』 | ongaku:キョウノイチマイby『飄逸庵』

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呆然とした一日。

 

体調が悪いわけでもなく、何となく何もしたくない時があるということを経験したことがある人も多いのではないか。

そもそも、常になにかしていなければいけない方が異常なのだ。

何もすることがない時『呆然』とする事はきっと人として、いや現代人には必要なのではないか。

 

『呆然力』

ベットに横になる、天井を眺めてボーっとする。そこに意味は無い。

 

しかし、呆然とする事でなにかしら脳がリセットされたような気がする。

ある意味修行ではないだろうか。

修行と言えば、滝に打たれたり、洞窟で繰り返しお経を読んだりと苦行ばかりがイメージされがちだ。

それは、なんかやった気にさせるので自己満足な修行だ。

 

それに比べ『呆然力』は、やった感がない。

何しろ呆然としているのだから。

下手すると口が半開きになっているかもしれない。

 

間抜けだ。

 

なにか目的のあるものはある種の型がある。

それは、まだ甘い。

『呆然力』は間抜けである。人にどう見られようと知ったことではない。

しかも、なんの生産性もない。

こんな時代だ。『呆然力』が大事なのだ。

 

呆然とするときにピッタリな一枚を聴いている。これだ。

 

1976年にリリースされた細野晴臣のサードアルバム『泰安洋行 Bon Voyage co.』だ。

 

脱力させる力を持った作品だ。呆然としているときにこのアルバムが流れていたら何となく様になる。

 

細野はこのサウンドと事を『チャンキーサウンド』と呼んでいるそうだ。

ニューオリンズのサウンドに憧れていた細野がニューオリンズの地元料理『ガンボ』に対して、日本の代表する料理『ちゃんこ料理』にファンキーを合わせた造語だ。

 

4曲目の沖縄の島唄をベースにした『Roochoo Gumboなんか、呆然とする以外何をしろというのだ。

 

本作は一般的に『トロピカル三部作』といわれている(『トロピカルダンディー』『はらいそ』)。

演奏はティンパン・アレーの鈴木茂、林立夫のメンバーが主になっているが、ゲストミュージシャンがそうそうたるメンバーだ。

山下達郎、大瀧詠一、矢野顕子、小坂忠、大貫妙子、浜口茂外也といったラインナップだ。

 

恐らくそこには真面目な空気感はなかったはずだ。真剣にふざけていなければ、こんな肩の力の抜けた作品が出来るわけがない。

 

わたし自身のモットーもそうなのだが、真面目はつまらない。なぜなら遊び心がないからだ。

真面目な鬼ごっこと真剣な鬼ごっこがあったらどちらをやりたいだろうか。

なんとなくだが真面目な奴のそばにいると息苦しいものだ。

真剣にくだらないことをすることが大切なのだ。

 

だから、このアルバムには真面目さがいい意味で感じない。

 

いい大人が真剣にふざけている。

暑苦しくない。

 

いいとこを見せようとしていない。いや、かっこつけようとしていない。

それが長年愛聴される秘訣になっているのだろう。

 

この作品は『呆然力』を引き出してくれる名盤だ。

 

 

 

 

 

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