Steely Dan / Gaucho 1980年 | ongaku:キョウノイチマイby『飄逸庵』

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音楽の概念を変えるアーティストというのが、ごくまれに出現する。

 

その一つにSteely Danというグループがいる。

 

ドナルド・フェイゲンと、ウォルター・ベッカーという二人の男からなるこのSteely Danは80年代の音楽シーン衝撃的な影響を与えた。

 

様々なジャンルの音楽のエッセンスを上手く取り入れて、そこに著名なスタジオ・ミュージシャンを適宜いれて彼らにしか作れない音楽を構築していった。

テクニカルな面はもちろん、初期のボブ・ディランに影響を受けたというフェイゲンの歌詞の世界観もこのグループの大きな魅力だ。

 

そもそも、僕がSteely Danを好きなのはこのグループ名の由来も大いに関係している。

この名前は僕が大好きなビート文学の名著であるウィリアム・バロウズの『裸のランチ』に登場する男性器の張型の「Steely Dan III from Yokohama」からとったものだ。

 

今日、紹介する『Gaucho』は彼らのラストアルバムだ。

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この作品の前作である『Aja』が爆発的にヒットしたこともあり、本作を作るにあたり相当な神経を使ったと聞いている。完璧主義者のフェイゲンは限界を超えるほど寸分たがわぬ演奏を求めた。その挙句、ベッカーはドラッグに溺れ、演奏どころではなかったらしい。

しかし、リスナーである我々には微塵もそんなピリついた雰囲気は伝わってこない。

彼らの持ち味である、抜けたリラックスした見事な楽曲のラインナップだ。

 

特に、1曲目の『Babylon Sisters』は、長年僕にとって睡眠導入剤としての役目を果たしてくれている。

 

それぞれ、その後はフェイゲンはソロ活動、ベッカーは一時期ハワイに移住していたが80年代の半ばに音楽プロデューサーとして音楽界に復帰。

 

フェイゲンのソロアルバム『Night Fly』は、一時期PAエンジニアのサウンド・チェックの定番となっていたほど「音のいいアルバム」といわれていた。もちろん、楽曲もよく、Steely Dan時代とはまた違った洗練された音作りで、そちらも未だに愛聴盤である。

 

フェイゲンの『Night Fly』がリリースされたのが1982年。それ以降目立った活動もなかったが、1993年にフェイゲンがアルバム『Kamakiriad』をリリース。しかも、プロデューサーがウォルター・ベッカーという嬉しいおまけつき。

 

おまけはそれだけでは終わらなかった。

 

このアルバムをきっかけに、再び二人での活動が復活。

 

ライブ嫌いだった二人がライブ活動を積極的に行い、2000年になんと本作『Gaucho』以来20年ぶりとなるアルバム『Two Against Nature』をリリース。待ちに待ってた世界中のファンは歓喜し、いや、実際に見たわけではないのでわからないが、歓喜したに違いない。だって、全米6位の大ヒットを記録し、同年のグラミー賞では最優秀アルバムをはじめ4部門を獲得し、2001年に「ロックの殿堂」入りを果たしたんだから。

 

しかし、2017年残念なニュースが入った。

ウォルター・ベッカーが食道癌で亡くなったのだ。ものすごく寂しくなったことを覚えている。

亡くなる前、ベッカーはフェイゲンにこう言っていたそうだ。

「俺が死んでも、スティーリー・ダンとして活動してくれよな」

 

フェイゲンは、それ以降ソロではなくSteely Danとして活動を続けている。