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近代映画界に多大な影響を与えた動きというのがフランス映画界から始まった『ヌーベルバーグ』だった。
代表的な監督といえば、ジャン・リュック・ゴダール。
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彼の作品のミューズといえばアンナ・カリーナだろう。
公私共にパートナーだった時期もあり、時代を凌駕したカップルだった。
そのアンナ・カリーナが亡くなった。
非常にショックだった。
今までの自分の半生を振り返ると、彼女にまつわるエピソードが多い。
亡くなった記事を見た瞬間、走馬燈のように私自身のそれらのエピソードがフランス映画のフィルムのように思い返された。
まるで、自分の内部にある大事なものだけ、先に死んでしまったかのような気分だ。
今日は珍しく、静かな雨が降っている。
庭の石が雨に濡れ、落ち葉の上に優しく降り注いでいる。
仕事は溜まっているが、そんな美しい情景と、彼女の死が僕を感傷的にしてしまい、なんだかボーっとしていたい気分だ。
僕は、CDライブラリーからアンナ・カリーナのCDを撮り出しプレイヤーにいれ、再生ボタンを押した。
情景と音楽が一体化する。
頭の中で、彼女の映画のワンシーン、ワンシーンが浮かぶ。
あのくったくのないキュートな笑顔が浮かべば浮かぶほど切なくなっていく。