【ジャズ入門】Abbey Lincoln [That's Him]ー【歌モノジャズの名盤!】 | ongaku:キョウノイチマイby『飄逸庵』

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すごく久しぶりの更新になってしまった。

 

仕事にかまけ、負のルーティンになってしまっていた。

 

しかし、次のステップに進むため心を入れ替えて心機一転頑張ろうと、老いた愛猫を撫でながらこっそりと誓った。

 

というわけで、再開の一発目!

 

タイトルにある通り、今日はアビー・リンカーンの「That's Him」をチョイス!

 

1957年にリバーサイドからリリースされた、「歌モノジャズ」の名盤であり、彼女の代表作のひとつである。

 

当時、アビーはジャズ・ドラマーの巨匠、マックス・ローチの妻。

ローチの影響もあって、ローチと共に「黒人解放運動」に心血を注いでいた時期だ。

 

彼女は、サラ・ヴォーンやエラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイ達の次の世代で、同時代を代表するシンガーにはダイナ・ワシントンやアニタ・オデイがいる。アビーはこの二人に比べるとパッションで歌うタイプだ。決してセクシーさはない(ん?最近、とある大臣が「セクシー」言ってたな)。が、よく通る伸びやかな声は聴いていて気持ちがいい。

 

本作「That's Him」は、そんな彼女の魅力が存分に楽しめる一枚だ。

 

そして、この作品が名盤たる所以がもう一つある。

 

それは、サイドメンの存在だ。

 

トランペット:ケニー・ドーハム

テナーサックス:ソニー・ロリンズ

ピアノ:ウィントン・ケリー

ベース:ポール・チェンバース

ドラム:マックス・ローチ

 

やばくね?

 

悪いわけがないじゃないか。

 

なんて豪華な顔ぶれだ。

 

実は、この録音には逸話がある。

クレジットを見ると、ウィントン・ケリーの担当にピアノだけでなくベースと記載されている(盤がある)。

 

実は収録されている『Don't Explain』の録音ではベースを弾いているのは、チェンバースではなく、なんとウィントン・ケリーなのだ。

 

なぜこうなったのかというと、演奏が進んでいくとともにチェンバースがどんどん酔っぱらっていって、『Don't Explain』の時に完全に泥酔してしまったらしい。

 

なんて、ジャズらしいエピソードだ。

 

すごく、いい雰囲気で録音されたのがわかる。

 

ちなみに、録音されたのは1957年10月28日、ニューヨーク。

 

当時のマックス・ローチ・クインテットを中心に編成されている。

ロリンズとドーハムは当時、ローチのグループのメンバーに入っている。

ウィントンは、この頃はディジー・ガレスピーのグループで活躍し、チェンバースはマイルス・デイビスのグループで活躍していた。

 

特にこの頃のロリンズは絶頂期!

 

本作でも豪快でありつつも場をわきまえた品のあるプレイをしている。

そして、ドーハム。

彼の持ち味といえる温かみのある音色は本作でも健在だ。

マックス・ローチと言えばずば抜けた「タイム感覚」が持ち味だが、本作でも余裕をかましてるのかと思うくらい緩急のあるドラミングを聴かせてくれる。

そんな最高のサイドメンのなか、アビーが楽しんで歌っているのがよくわかる作品だ。

 

特におススメしたい一曲は『I Must Have That Man』。

 

このバンドの雰囲気をよく表している曲だ。

 

ジャズは難しそうと思っている人や、歌モノジャズが苦手な人に是非、聞いてもらいたい一枚です。

 

最後まで、ご一読いただきありがとうございました。

 

それじゃあ、また次回。