お疲れさまです…
昨今、巷では「タイガーマスク現象」が起こっておりますな…
恵まれない施設の子供たちに宛てて贈り物が寄せられ、そんな善意の輪が広がっている…というニュースには大変胸が熱くなりますな…
で、かねてより「心の青空募金」という施設の供たちへの支援活動を続けてこられた元東洋太平洋ライト級チャンピオンの坂本博之さんへの取材が増えているなんて話をネット上で散見し、これまた胸が熱くなります…
坂本さん自身も幼年期に施設で過ごした経緯があり、現役時代から支援活動をされていたのですね…
あぁ、坂本さんの「生き様」でありますが、本当に素晴らしいですねぇ…
不意に思い出すのは、いつかのWBA世界フェザー級タイトルマッチ、チャンピオンのクリス・ジョンに挑んだのは坂本さんの後輩にあたる、当時無敗の榎洋之さんでありました…
で、坂本さんはこの試合はコーナー下でセコンドとして立ち会っておられてましたね…
さて、試合の方はでありますが、日本屈指の左ジャブの名手、榎選手の奮闘も及ばず、判定負けとなて世界王座奪取は果たせませんでした…
で、試合後、このタイトルマッチが開催された後楽園ホールのエレベーターホールで偶然にも坂本さんと二人きりになり、ちょっとお話させていただく幸運を得まして…
榎選手、本当に残念でしたね…の僕の語り掛けに、坂本さんはこんなことを仰ってくださいました…
---いいんです、みなさまの心に感動が残れば、負けてもいいんです…
おおっ…
坂本さんと言えば、日本中の期待を背負って4度の世界挑戦を果たすも、しかし、そのいずれも果たすことができなかった過去があります…
特に、当時の人気ボクサー、畑山隆則さんとの激闘は今なお語り続けられる名勝負となっております…
そんな坂本さんの言葉だけに、ぐっと胸に来ました…
つまり、常に自分を高め続け、挑戦し続けてきた坂本さんだからこそ、言い切れる言葉ではないか…?なんて感じたわけですね…
そう、そんな坂本さんのボクサーとしての終焉もまた壮絶を極めましたね…
重度のヘルニアで腰を患い、ついには選手生命を賭けてメスを入れてまで復活を試みるも、しかし、いつかの「平成のKOキング」はリングに上がることだけで精一杯になってしまった…
それでも、最後の最後まで戦い続けたその姿は、まさにボクサーの限界に挑む戦いでありましたね…
おおっ、思い出すだけで涙腺が緩みます…
そうそう、現役時代から支援し続けてきた施設の子供たちから紙製のチャンピオンベルトを贈られた坂本さんは、畑山戦前に自分の拳を突き出してこう呟いておられた…
---この拳は硬いよ、みんなの想いが詰まっているらね…
そして、坂本さんはそんな応援者の心を一滴も無駄にすることなく戦い通した、文字通り、稀有なる存在でありましたね…
ああ、思えば、僕は第2の坂本さんを探してボクシングを見つめ続けているのかもしれない…なんて想うことがあります…
つまり、僕の想い、みんなの想いを、その拳に余すことなく乗せてくれるボクサー…を探しているのかもしれない。
タイガーマスク現象のニュースを聞きながら、そんなことを想いました。
御愛読感謝
つづく