ボクサーたちの陰影 「内藤×亀田興」と高山勝成の決意… | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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「前半で内藤仕留める」亀田が公開練習でKO宣言 読売新聞


>「不利と言われるのは(ライトフライ級で王座を初防衛した)ランダエタとの第2戦以来で、むしろ楽しみ。前半で仕留める」


…とKO宣言をしたのは元世界ライトフライ級チャンピオン、無敗の挑戦者、WBC世界3位の亀田興選手。


スパーリングは100ラウンドほど消化した、と別の記事にありましたが、これ、やや少ない?世界前哨戦と銘打たれた調整試合の対戦相手はどの相手も「本気なんだろうか?」って印象残る相手ばかりだったのだけれど、大丈夫でしょうか…?


日本ボクシング界的には、その花形はなんといっても「フライ級」であります…


なんと言っても知名度の内藤選手に亀田選手がいて、それについで認知度を得ているのはWBC世界バンタム級チャンピオンにしてV10に挑む実力派サウスポーの長谷川選手、そして、これに続くのがWBAスーパーフライ級正規チャンピオンの名城選手、WBC世界スーパーバンタム級チャンピオンの西岡選手…といった並びがその認知度の順序か…?


現在、不人気が深刻だと言われている日本ボクシング界ですが、しかし、世界チャンピオンはちゃんと存在するし、全く盛り上がっていないわけではない…


が、昔のように、世界チャンピオンのタイトルマッチがお茶の間のゴールデンタイムで観られなくなってきているってことで、つまり、一昔のような「スーパースター」、「国民的英雄」って響きとそのような印象からはすこしばかりかけ離れてしまった…のは否めないのは確かだ…


そして、こんな状況を踏まえて、もう一つの、ある記事の目を通す…


JBC、高山の引退受理=今後は海外拠点に活動-ボクシング 時事通信


顔と名前と、そして、その偉業・功績が、多くの人々の心の中できちんと「一致」する世界チャンピオンの時代が終わってしまったのは一体いつからなのでしょうか…?


元WBC世界ミニマム級、元WBA世界ミニマム級暫定チャンピオンの、高山選手が日本のリングに別れを告げ、そして、日本未公認団体の「世界王座」を狙うべく、JBCに引退届けを提出し、それが受理されたという…


高山選手といえば、試合中に肩が脱臼してしまったイーグル・デーン・ジュンラパンに変わって世界チャンピオンになったイサック・ブストスを判定で下して05年に王座戴冠するも、「棚ボタチャンピオン」から奪った王座であったためにその価値と権威はすぐには認められなかったような印象が残っている…


で、初防衛戦は怪我から復活した前の前のチャンピオン、イーグルを迎え撃ったが、これを判定で失い、王座陥落…


が、その後、日本タイトルを奪い直して再び世界ランキングを上げ、WBA暫定王座決定戦出場のチャンスを掴み、06年、最上位ランカーのカルロス・メロと対戦、ほぼフルマークの完璧な勝利を挙げ、暫定王座に就く…


そして、迎えた07年、正規×暫定のWBA世界ミニマム級王座統一戦、チャンピオンはご存知、安定王者と謳われていた「天才」ボクサー、新井田豊選手でしたねぇ…


このタイトルマッチ、序盤にさい先良くダウンを奪って試合を優位に進めたのは高山選手であった…が、採点は非常に難しい内容となり、そして、結果は「1-2」のスプリットデシジョンで「正規」チャンピオン、新井田選手の防衛成功という決着に落ち着いたのだが、しかし、これ、見方によってはどっちの勝利にも見えた内容でありました…


高山選手は勝利を確信していた… が、結果は負け… で、納得できなかった高山選手、悪態をついてしまった… 


解る… が、評判はある意味落としてしまった… しかし、どれだけの「想い」でボクサーが戦っているか?を僅かでも想像すれば、無理からぬことでもある…と当時僕は感じた覚えがある…


高山選手の不幸は続いた…


当時の所属ジムは経営難に陥っていて、ファイトマネーの未払い明るみに出て、それが紙面をにぎわせた…


そして、WBC世界バンタム級チャンピオンの長谷川選手が所属していた真正ジムへ移籍、前哨戦を経て、ついに3度目の王座獲得に向けての、世界挑戦を実現させた…


対するは、かつての宿敵、天才・新井田選手に何もさせずに序盤KOに屠った無敗のKOモンスター、まさに、最強のチャンピオン、ローマン・ゴンザレスでありました…


これ、高山選手はその非力を補ってあまりあるハイスピードの波状攻撃を勇敢に敢行するもパワー差に押し返され、中盤に古傷の瞼を大きくカット、視界を奪われるほどの流血とも戦いながら、しかし、玉砕覚悟の打ち合いを挑みましたねぇ…


もう感涙の勇敢を発揮した名勝負となりました…が、大差判定負けという結果が出てしまいました…


本当に素晴らしい試合だったのですが、地上波テレビ放送は僅か数十秒の編集版しか流されなかった…


ぶっちゃけ、当日行われた某フェザー級世界タイトルマッチよりも断然白熱する試合であったにもかかわらず…であります。


しかし、テレビ局の都合をなじっても仕方がない…が、なんだが寂しい気持ちになったのは僕だけではないでしょう…


これが、09年7月…ってことで、日本ボクシング界の引退試合となってしまったのですが、国内では「正当な評価」を得られない…という想いがもしかしたらずっとあったのかもしれないなぁ…と、そのキャリアの節々に見え隠れする不幸の断片を思い起こすと、なんだか胸が熱くなるというか、切なくなってくる…


だが、高山選手はボクシングを諦めたわけではなくて、恐らくはIBFやWBOの王座獲得を目指すために、その戦いの舞台を海外へ移す…というニュースなのだ、これは…


なぜ、日本で戦わないのか…?


その真意は僕にはわからない…


だが、高山選手が、国内では正当な評価を得られないから飛び出す…なんていう想いが強いのであるとすると、胸が張り裂けるような痛みが沸いてくる…


複雑な「心」の形が、このような「選択」と関係しているのではないか?と、思わずにはいられない…


高山選手がどこへ行こうと応援することに変わりはないが、正直、何か、違和感が残るニュースであります…


が、高山選手のボクシング人生の集大成、さらなるハイライトがその前途に待っていることを願っている…


WBC世界フライ級タイトルマッチ、「内藤×亀田興」の賑やかなニュースの影に、元世界チャンピオンの固い決意と複雑な想いが見え隠れするニュースが挟まっていた…


今夜は、高山選手のゴンザレス戦をもう一度見直そうかなぁ…と思っている。


御愛読感謝


つづく