7月4日のダイナミックグローブは東洋太平洋ヱルター級タイトルマッチ、チャンピオンの佐々木基樹選手のV3戦と、日本スーパーフェザー級タイトルマッチ、チャンピオン矢代義光選手と前戦「超」のつく僅差判定に泣いた三浦隆司選手のダイレクトリマッチか…
さて、東洋太平洋ウェルター級チャンピオンの佐々木選手の過去の試合の中で、一番好きなのは「超大番狂わせ」と呼ばれた湯場戦ではなくて、いつかの日本スーパーライト級タイトルマッチ、当時チャンピオンだった木村登勇選手に挑んだ、ドロドロのグチャグチャの戦いだ…
あの試合は度々思い出しては、不意に、もう一度見たくなるタイトルマッチだ…
これ、佐々木選手は残念ながら敗れるわけですが、反則ギリギリのダーティファイトをし続け、チャンピオンを苦しめたわけですが、この石に齧りついてでも…って執念が本当に凄かった…
このタイトルマッチ、確か、佐々木選手は第1ラウンドにいきなりクリーンヒットを喰ってリングの上で大の字にぶっ倒れてしまうのですが、なんとか立ち上がると、もうなりふり構わずにチャンピオンにしがみついてその窮地を凌いだかと思うと、その後も身体を密着させ、時に頭から突っ込み、腕を抱え…っていうんで、なんだかこう言っては失礼かもしれないけれど、「ボクシング」から外れた、ちょっと狡賢い肉弾戦へと試合を誘導していったわけですね…
このシツコイ狡猾な戦法にチャンピオンの木村選手はあからさまに嫌な表情を隠せず、ことあるごとにレフェリーに視線を投げかけた…
で、最初、僕はそのような佐々木選手の意地汚い印象の残る戦いに嫌悪感を覚えたのですが、ある時から、これが奇妙な「心地よさ」に変わっていったのですね…
これは初めての感覚でしたね…
そうか、そういうことか…
これが「絶対に勝つ」と心に誓った、なりふり構わないボクサーの、意地と執念の戦いか…なんて感触に変わっていったのですね…
こうなってくると、度々の反則ギリギリとクリンチに嫌気がさし、思わずレフェリーに救いを求める木村選手よりも、俄然、佐々木選手に感情移入したくなってきちゃったわけですね…
さて、このタイトルマッチは木村選手が辛うじて判定勝利で防衛を果たしたわけですが、本当に「ドロドロのグチャグチャ」でありました…
で、この時の木村選手を見た印象では、ちょっとメンタル的にまだ隙があったように感じたのですが、しかし、この試合以降、一気に勝負強くなっていったような印象あります…
で、話は佐々木選手に戻りますが、この時のダーティでしぶとくて、もう人に何と言われようがとにかく「勝つため」には手段を選ばない…って戦いが特に印象に残っています。
これは「名勝負」ってのとはちょっと違うのかもしれないけれど、個人的には「何度でも見たくなるタイトルマッチ」…であります。
で、その後の佐々木選手ですが、当時無敗の世界ランカーを破って世界ランカーとなるも、しかし、その次にはノーランカー相手に引き分け、さらに、判定負け…なんていうんで、上がったり下がったり…を繰り返してましたね…
正直、このボクサーは本当に奇妙な選手だなぁ…なんて感じていましたが、帝拳ジムへ移籍後、いきなりの東洋太平洋タイトルマッチであのフィリピンの「怪人」、レブ・サンティリャンをTKOで撃破しちゃったわけですが、その試合は生観戦していますが、本当にぶったまげましたね…
その序盤、思い切りよく攻め立てて流れをつかむも、しかし、中盤に入ってややスタミナが切れたか…って印象になって、これはいかん、全然足が動いてない…なんて感じていたら、これが「芝居」?ってわけじゃないんでしょうが、一気に勝負を決めに来たサンティリャンにカウンターを見舞ったかと思うと、バチコーン!!! ってぶったおしちゃったのですよねぇ…
で、このサンティリャンとのリマッチも、そんな感じの「芝居」というか、「緩急」をつけながら、そのサンティリャンの隙を見事についてTKOしちゃってるんですよねぇ…
本当に「不思議」というか、「奇妙」というか、なんだかやけに心に引っかき傷を残すボクサーだなぁ…って思ってます…
次の対戦相手はデクスター・デラーダ…っていう選手フィリピン選手ですねぇ。
16W11KO6Lの戦績の選手で、ここ最新3戦はみんな2RTKO負け中…
これ、絶対に負けられないですよねぇ…
が、しかし、「予想外のボクサー」、「何かをしでかすボクサー」、その辞書に「無難」に…という言葉はない佐々木選手のことだから、良くも悪くも驚かせてくれるはず…
さて、どんなタイトルマッチになるのでしょうか…?
楽しみにしています…
御愛読感謝
つづく