神の怒りのような暴風雨ラッシュと36歳の世界チャンピオン… | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

WBO世界バンタム級チャンピオンにして、元WBC世界スーパーフライ級チャンピオンのジェリー・ペニャロサはもう36歳だ…


「フィリピンの不死鳥」と呼ばれるサウスポー…


62戦54勝36KO6敗2分…


日本の誇った空前絶後の超テクニシャン、川島郭志さんからWBCタイトルを奪ったのは97年2月かぁ…


で、その後は徳山さんに挑み、2度退けられるも、じっとチャンスをうかがい続け、ついに世界挑戦に漕ぎ着けたのは07年8月、当時WBOバンタム級チャンピオンだったのはジョニー・ゴンザレス…


これを芸術的なボディブロー一発で悶絶させた奇蹟のKOシーンは何度も見たくなる瞬間でした…


この伝説の超ベテランがベルトを保持したまま3階級制覇を目指して挑んだのは、連続KO街道を驀進する恐怖のハードパンチャー、24戦全勝22KOのWBO世界スーパーバンタム級チャンピオンのファン・マヌエル・ロペス…


これ、WOWOWの録画を改めて観ていたのですが…



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これ、ずーっとロペスにこんな調子で滅多打ちに合い続けたのであります…


この無敗のこのロペス、ちょっと異常なほどの勝気なボクサーで、まさに、その豪腕で何もかもなぎ倒して進んでゆく戦車の如き、怒れる猛牛の如き壮絶ラッシングを続けた…


一方の36歳のペニャロサでありますが、ひたすらガードを高く掲げ、堪えるしかない…


こんなことがあっていいのか!? 


このロペスの手数とコンビネーションは全く止まることを知らず、パンチを返す隙がないのだ…


踏ん張るしかない…


ロープを背負ってはバカスカバカスカ…と一方的に打ち込まれる…


このロペス、現在12連続KO中だというが、最近は超序盤KOが多すぎてよく解らない…って印象が正直強かった。


勿論、その圧倒的強さは認めるものの、猪突猛進、勢いに任せて強引に相手を捕まえて殴り倒す…という印象が強すぎたのですが、いやいや、スタミナも充分、まるで濁流が暴れるような暴風雨ラッシュに僕は震え上がってしまった…


まったく怯まない脅威の闘争心、やはり、スーパースターの素質充分…


暴風雨ラッシュ…と書きましたが、この脅威アグレッシブの前に、ガードを固めての防戦一方となったフィリピンのテクニシャンは為す術がない…


ビョォォォ…


っと言う悪魔の声のような強風に晒され、手にした傘は「おちょこ」になってしまい、それはやがてボキッと根元から折れ、服は剥ぎ取られ、身を隠す場所もなく、しかし、それでも前に進んで行かなくてはならない…なんて状況にも見えた…


しかし、この36歳のペニャロサ、最後までダウンを拒絶、その暴風雨ラッシュの僅かな隙間に右ボディーからカウンターの右フックを叩き込んだ…


それは時々、この怪物チャンピオンの顎先を貫いたが、怪物はまるで動じることなく、延々と両手を振り回し続けた…


そして、9回終了と同時に、自陣営がギブアップを促し、そのような形の決着となった…


さて、これだけ一方的に強打を浴びながらも踏ん張り続けたペニャロサでありますが、なんとも言えない切なさを漂わせる一方で、しかし、その心の強さを存分に発揮した不思議な感触の敗戦となった…


ひたすら滅多打ちに遭った「フィリピンの不死鳥」…


ロペスの怪物振りの引き立て役となった一方で、しかし、アジアボクサーの「意地」を最後まで貫いてくれたことに、奇妙な感謝の気持ちが溢れてくるのを感じた…


いつかのゴンザレスを破ったボディーブロー一閃の美しさも印象的だだが、しかし、ビルディングがなぎ倒されるほどの、「神の怒り」のようなロペスの暴風雨ラッシュをそのボディーワークとアームブロックだけで耐え凌いだ姿の方が、やけに心に沁みたのは僕だけだろうか…?


強烈な一戦でした…


御愛読感謝


つづく