9ラウンド、若い挑戦者はこの飛び込み際の左アッパーカットをまともに喰って、生涯初のダウンを喫した…
昨晩行われた日本スーパーバンタム級タイトルマッチは、円熟の技巧派、チャンピオンの木村選手がワンサイドで挑戦者の金沢選手を痛めつけ、そして、上記写真のパンチで、9ラウンドに斬って落とした…
挑戦者金沢選手の気迫も想いも、無残に突き放され続けた挙句、そして、最後にはついに粉砕された…
木村選手の強さは惨めな過去の惨敗と、そこから這い上がりながら勝ち取ったボクサーの「矜持」にある…
立て続けに日本ランカー対決に挑み、そして、その都度生き残ってきた…
もはや、ただでは負けない領域に到達している…
金沢選手、打ち合いに持ち込みたかったが、しかし、そのパンチはほとんどと言っていいほど空転し、ブロックされてしまった…
木村選手の左フックは鋭く、また、至近距離で度々クリーンヒットした右オーバーハンドのカウンターパンチの命中精度は恐ろしいほどであった…
1Rからチャンピオンの圧倒的テクニックに翻弄され続けた挑戦者であったが、よくぞ9回まで堪え続けた…が、やはり、力の差はあまりに巨大な壁となって立ちはだかった…
根性だけではどうにもならない…
しかし、チャンピオンは本当に強かった…が、彼もまた、ファンから蔑まれるほどの敗北を糧に這い上がってきた「不屈」の男でもある…
そう、僕はいつかの敗戦、福原力也戦の惨敗をホールで生観戦した時、本当にがっかりしたのを憶えている…
にもかかわらず、それでも僕の足をその後の試合でホールに運ばせたのは、いつかの仲里繁戦、その序盤3ラウンドの、あまりにも豊穣な才能のほとばしりが頭に焼き付いて離れなかったからだ…
そして、ついに、その才能と闘志が渾然一体となった円熟の境地に、今、達したと言えるような気がする…
見事に倒された若い挑戦者は、今、まさに、絶望の淵に立たされているかもしれない…
が、しかし、自分を倒した円熟のチャンピオンもまた、同じ苦しみを知ってもいるのだ…
双方にお疲れ様…と言いたい。
また、世界フライ級ランカーの、元東洋太平洋ライトフライ級チャンピオンの升田貴久選手が日本ランカーの小林タカヤス選手に2-0で判定負けを喫したと言う…
残念ながら、この試合は地上波中継されていないのでその詳細は解らないのですが、本当に痛恨であります…
「世界挑戦」も見えなくはない場所にいたのに、本当に痛恨である…
しかし、その前哨戦として日本ランカーと堂々と戦う、というボクサーの潔さには多くのファンが敬服していることと思います…
ベテラン選手だけに、その進退はじっくりと考える必要も本人にとってはあるでしょうね…
先ずはゆっくり静養して欲しいと思います…
うぅぅん、本当に残念でした…
また、こちらも超のつくベテラン、元東洋太平洋スーパーバンタム級、元日本スーパーバンタム級チャンピオンの福島学選手は、小野澤選手相手に3-0の判定勝ちを飾ったそうですね…
35勝19K8敗4引き分け…の通産47戦を誇るこのベテランボクサーでありますが、今なお日本ランカーとして君臨し、その第一線級の選手と戦い続けている34歳…
池原信逐、瀬藤幹人、久永志則、三浦数馬…等々、ここ数戦だけでもこれだけの名前の選手と凌ぎを削っている…
いやぁ、本当に恐れ入ります…
もうすぐ、タイトル挑戦のチャンスも巡ってくるかもしれませんねぇ…
頑張って欲しいですね…
御愛読感謝
つづく