TV観戦「名城×冨山」WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ  | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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08 4 11 大阪府立体育会館 


WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ


WBA「正規」チャンピオン 名城信男 12W7KO1L

×

挑戦者 同級9位 冨山浩之介 18W6KO1L


日本人選手同士による王座決定戦の後の初防衛戦が再び「日本人選手」相手の初防衛戦…という意味で、『世界』の二文字がその冠にあることへの違和感は否めない…


そして、昨今の承認団体WBAの「世界王座乱立」も少々異常である… 


ひとつの階級に「3名のチャンピオン」が存在すると言う異常事態…


スーパーチャンピオン、正規チャンピオン、暫定チャンピオン…と、これはマニアであっても理解しづらいのは確か… しかし、よくわかりませんが、スーパーがチャンピオンで、正規が1位、暫定が2位…って理解の仕方ではいけないのか?…と、一般の方は思うかもしれない… 


しかし、この「王座乱立」の現実が示すもの、それは統括団体であるWBAがその懐を肥やすにはもってこいのシステムなのであります… 


各統括団体はそのタイトルマッチを『認定』することにより、その『認定料』というものを受け取るわけですが、ってことは、簡単な話、チャンピオンの数が多ければ多いほどその『売り上げ』が上がるの当然至極の話、これは子供でもわかること…


従って、WBAという団体の『権威』は今や失墜の途中にあります…


が、もちろん、選手に責任はない… しかし、「世界チャンピオン」とい肩書きにある種の違和感や不透明が漂うのはボクシング好きとしては認め辛い… 


ただ、願わくば、そのような背景があるにせよ、ならば、続けてその王座を防衛し、ひしめく強豪をその拳でなぎ倒しながら『真の世界チャンピオン』のなんたるかを証明していただきたい…と、激しく感じるのであります。


そして、僕個人としては、名城選手にそのような期待を込めて見守っているわけであります…


今回のタイトルマッチには「日本タイトル」並みの評価しか与えられない、酷いマッチメークだ…との批判が存在するのは事実でありますし、僕の心の中にも、そのような違和感はないといったら嘘になる…


しかし、名城選手も、冨山選手も「必死」であることは疑いようはない… 


この際、『世界』というこの重く扱われて然るべき「切実」に関しては、このタイトルマッチの勝者にさらに高めていただきたい…と切に願いながら、日本人最高峰のボクサー同士による興味深い12回戦…という意味に重きを置いて観戦したい、と考えていました。


僕の試合予想は名城選手の判定勝ち…でありましたが、さて、その結果はどのようなモノになるのでしょうか…?


午後8時、テレビ録画中継は、そのセミファイナルであるWBA世界女子ミニマム級タイトルマッチから始まりました…


世界チャンピオンのソン・チョーロンン(韓国)を挑戦者の多田悦子選手が終始攻め切って『3-0』の判定で破りました・・・ 手数とアグレッシブでチャンピオンを追い詰め、なんと言ってもその『闘志』の熱量で完全に上回った痛快な戴冠劇・・・でありました。


関西初の女子世界チャンピオン誕生、おめでとうございました…


そして、いよいよ、「名城×冨山」によるWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ…


試合前の会見の模様と計量直後の双方のインタビューが流れる…


名城「ビデオも幾つか見てますがそれに捕らわれずに強い挑戦者をイメージして戦います」


冨山「名城をぶっ殺す!!」


…名城選手の過去や最近のリング禍を想起させる冨山選手の言葉に嫌悪感を感じましたが、しかし、世界戦直前のボクサーの意気込みですから仕方がないのか?


それでは、試合開始!!!


1R ボクサータイプの冨山とファイタータイプの名城… 両者右構え… 名城が攻め込む… その武器である長い右ストレートを大胆に打ち込んでゆく… と、距離が詰まったところで、なんと、冨山の左フックがカウンターで命中!! 名城、なんと尻餅をつく波乱の立ち上がり… 名城立ち上がるもちょっと効いているか? 冨山が距離を残してカウンター狙い、深追いはしない… しかし、冨山の圧倒的優勢… 名城、ちょっと舐めてかかったか? 冨山10-8


2R 身長リーチで上回る冨山のクリーンヒットが目立つ… ジャブの刺し合いと距離感で上回る、特に、右ストレートがクリーンヒット… しかし、徐々に名城の左が当たり始める… そして、飛び込んでの左フックが命中… しかし、打たれたら強引にでも打ち返した冨山… ここは非常に僅差、微差ながら冨山のクリーンヒット数の方が上回っていたように思う… 冨山10-9


3R ボクサー型の冨山、距離を残してワンツー、カウンター迎撃戦法… しかし、名城のワンツーが冨山の顔を捉え始める… その右ストレートに冨山の顔が弾け飛んだ… 手数では劣らないが、見栄えで名城が上回る… 冨山は強気に打ち合うが、しかし、身体がやや流れ始めたか? 消耗戦になった場合、冨山はかなり苦しくなりそうだ… ここは名城のアグレッシブを採る… 名城10-9



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4R 前に出てくる冨山、手数旺盛にして、時折見せる右アッパーは効果的だ… 名城の顔は真っ赤に晴れ上がっている… 徐々にペースを挽回し始めたかに見えた名城であったが、このRは冨山の積極性とクリーンヒットが名城を上回った… 最終盤名城が右ストレートを突き刺すも、直後に冨山に打ち返された… 冨山10-9


5R 手数で上回るのは冨山、名城は思い切って打ち込むも倍返しされている印象… なるほど、冨山の気迫は充実している、そして、それがボクシングと上手く相乗効果を発揮している… しかし、このRは名城の右が随所にクリーンヒットしていて、カウンターによる命中も多かったので、ここは名城のRとした… かなり拮抗している… 名城10-9


6R 開始間もなく、接近戦でのフックの応酬で、その左フックカウンターを喰って倒れたのは名城だ… 立ち上がるもポイント的に苦しい展開… ダメージはさほどでも無さそうだが… と、今度は名城の猛攻、そのワンツーが冨山に命中、一瞬、冨山の動きが止まる… ロープを背負う… 名城に活路が見えた一瞬だったが、ここでゴング… 冨山10-8


7R 息子の名前をラウンドインターバルで叫んだ…という挑戦者の冨山… 距離を保ち、長いワンツーを打ち込み続ける… 冨山、クリンチを駆使し始めた… 苦しそうだ… 名城の前進にロープに詰まって一瞬背を向けた… 名城の左フックに後退した冨山… ここは名城の有効打アグレッシブが上回った… 名城10-9


8R 冨山のワンツーの前に攻めあぐねる名城… と、名城の右ストレートが冨山に命中、冨山の膝が揺れた… 効いた… と、ここで名城は一気にまとめにかかる、名城言語道断の猛攻ラッシュ!!! 冨山滅多打ち… 冨山、名城にしがみ付くも、マットに膝を突いた… 


ダウン!!! 


辛くも立ち上がるも、冨山、完全に効いている… 再開後、もう意識が遠のいているであろう冨山… 名城の怒涛の猛攻の前にレフェリーが割って入る… 



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試合終了…


8R1:22 TKOで勝者、チャンピオン名城信男!! 初防衛成功!!!


冨山選手、完全に効いてしまった… ダウンを2度奪うも、クリンチを駆使し始め、ポイントアウトを狙ったのか、やや消極的になった場面に「隙」が生まれたように見えた… 戦前の不利予想を大きく覆す大善戦を体現するも、しかし、名城選手執念の「右ストレート一発」に泣いた結果となった…


そして、チャンピオン初防衛成功も、しかし、なんとも痛々しい出来であった… 序盤から倒しに行ったその作戦が完全に裏目に出た形で、また、左フックを放つ際に完全に顔面が無防備に近い状態になり、そこを幾度も打ち抜かれていた… 接近戦で強気に出た際に生じる「弱点」として、これを完全に露呈した形となった… これは褒められるべき内容ではないと感じました… とは言え、最後の怒涛のラッシュは、「これぞ世界チャンピオン!!」って素晴らしいフィニッシュであり、チャンピオンの意地、プライド、執念、そして、燃え盛る闘志の爆発が見られました…


さて、しかし、結果として劇的な大逆転KO劇となったこの試合を「世界タイトルマッチ」という視点から見た場合、どのように捕らえたらよいのか…?


やや不満が残った方も多かったのではないか?


それは挑戦者としての冨山選手のキャリアと過去の実績に疑問を持ってしまった多くの方の「偏見」も作用していると思います…


また、その冨山選手にダウンを2度までも奪われた名城選手にある種の不甲斐なさを禁じえなかった方も多かったのではないか…?


しかし、冨山選手の出来はなかなかのものでありましたが、やはり、スタミナには難があったように思えた… つまり、無尽蔵…とまでは蓄えられなかった… 仮に、あの最終盤突入の8R、冨山選手に更なるスタミナの上積みストックが存在していたとして、「ポイントアウト」を視野に入れた戦いを選択せず、倒してやろう…くらいの「気概」が存在し、それを発揮していたとしたならば、これはどう転んだかわかりません…


まさに、一瞬の隙を逃さなかった名城選手の勝ちに違いありませんが、富山選手には悔しい敗戦となった…


集中力と執念…


この差が露骨に出た結果となりました…


個人的には楽しめましたが、これからは名城選手には「世界チャンピオン」としての『切実』と『権威』をより高めていただきたい…と切に感じます。


同居の某嬢には世界戦としては「ちょっと不満」の残る内容であったそうな…


僕が録画を見終わった途端、チャンネルを変えられてしまいました…


御愛読感謝


つづく