沖縄の豪腕、宮城竜太の再起決定…を想う | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

沖縄の豪腕…と呼ばれた、あるボクサーの再起が決まった、と聞いた。


その名は竜宮城…


戦績は「16W12KO1L4D」…とあり、そのKO率は破格だ…


かつて4回戦A級ボクサートーナメント「B-タイト」フェザー級優勝を果たし、日本タイトル直前まで漕ぎ着けるも、後の日本チャンピオンとなる渡辺一久選手に判定負けを喫してしまう…


しかし、その後も沖縄から敵地東京へ乗り込んでは実力者の日本人選手と戦って勝ち星を重ね、さらに、地元沖縄に元世界チャンピオンのヨーダムロン・シンワンチャーを招聘してこれを撃破…


そして、日本では未公認ながら敵地フィリピンでWBOのアジア地域タイトルに挑む…


対戦相手は本望信人選手や長島建吾選手と戦い、さらに世界挑戦も果たしているフィリピンのサウスポー、ジムレックス・ハカ…


竜宮城×ジムレックス・ハカ 07.8.27 WBOアジアパシフィックスーパーフェザー級タイトルマッチ Youtube


1R、その伸びる右ストレートで日本でもお馴染みのハカからダウンを2度奪うも、そのゴング間際に強烈なアッパーカットを喰ってダウンを奪い返される倒し倒されの展開…


しかし、このタイトルマッチはちょっと不可解な結果で竜選手優位も続くR2に負傷ストップでドローという結果に終わってしまう…


タイトル獲得ならず…


しかし、その3ヵ月後、再び敵地フィリピンで因縁のハカとグローブを交えるチャンスを得る…


竜宮城×ジムレックス・ハカ パート2 07.11.14 Youtube


が、これは悔しい1R負傷ドローとなる… ハカと竜選手の頭が激しく激突、竜選手の額がバックリと開いてしまったのだ…


その試合から竜選手は試合から遠ざかっていた…


07年の11月以来の試合が、5月3日に行われる…そうだ。


B.M.B BOXING GYM ホームページ


約1年半のブランクの間に移籍を果たしていています…


さて、しかし、33歳となったかつての豪腕に残された時間はあまり多いとは言えない…


その復帰戦でグローブを交えるのは東洋太平洋スーパーバンタム級10位カルロス・マガレなるフィリピン人とありますが(ボクシングワールド4月号参照)、この長いブランク明けのいきなりのランカー挑戦という選択に大きな賭けに出た竜選手のボクシングに賭ける想いが脈打っているような気がする…


で、実は凄く気になる部分も正直ある…


かつてフェザー級~スーパーフェザー級をその主戦場にしていた竜選手でありますが、今回は契約ウェイトで「54.5㎏契約」であるという…


これはバンタム級(53.52㎏)とスーパーバンタム級(55.34㎏)の間であります…


三十路を越え、さらに、長いブランク明けに加え、階級を下げて挑むこの復帰戦への想いと執念を感じさせる…


故郷である沖縄の地から新天地である京都の地へやってきた三十路豪腕の再起戦は5月3日に大阪は阿倍野区民センターで行われると言う…


僕はなんとかこれを生観戦したいと考えています…


実は、竜選手はずーっと前にこのブログにコメントを残してくださったのをきっかけに、時々メール交換をさせていただいている…


あのリングで魅せてくれる豪快で好戦的なファイタースタイルとはうって変わって、普段はとても穏やかにして感謝に溢れる優しい男…なのである。


そして、この再起戦は、そんな竜選手の、まさに、人生を賭けた「大一番」なのである…


男として、ボクサーとして、もう後のない状況に、さらに、極めて厳しい条件を自らに課した戦いなのだと痛切に感じる…のである。


それでは、過去に後楽園ホールで生漢観戦した記事をもう一度貼っておきます…


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2006 2 5 後楽園ホール ダイナマイトパンチ


竜1


夜、僕は後楽園ホールにいた…


…実は未だ先の見えない仕事に不安を抱えたHIGEGE91。


とは言え、さらに気になるのは沖縄の豪腕ボクサー・竜宮城選手であった。


一見、不器用な印象を受けるも、どうにも僕の心を打つハードパンチャー…



竜宮城、ヨーダムロンを下す!!


これは8ヶ月前、元世界王者のヨーダムロン・シンワンチャーとの試合の写真。


なんとこの試合前に竜選手は右手親指付け根を骨折していたという… 元世界王者を相手に中盤TKO勝利を果たしたわけだが、それ以来の試合となる31歳…


色白ツルツルなボクサーが多い中にあって、竜選手はその風貌からして独特な選手である。


男っぽいボクサー…である。


いつだったかダイナミックグローブでメインを張った時、そのあまりに朴訥な勝利者インタビューに先ず胸を動かされたのだ。


懸命な人…


着実に前へ進もうとする人…


諦めない人…


そして、優しい人…


その最大の武器である強打以前に、僕は竜選手にそんな印象を抱いたのだ。


あったかい人…が一生懸命戦う姿に、僕は魅了されたのだ…



竜2


…しかし、今夜の相手ははっきり言って「強敵」である。


ぐ…


日本スーパーフェザー級9位

竜宮城 14W12KO1L2D

  ×

鈴木徹 14W3KO無敗

 

 この無敗の新鋭・鈴木選手であるが一時は日本ランクにも入っていた実力者。無敗なのにランク落ちしたのは押し出されただけであるのは言うまでもない。


 正直、僕はこの鈴木選手の選手評を読み知って不安を抱いていた。KO数は少なくとも負けないボクサーである。これは技巧派の証明でもある。僕は竜選手をずっと応援してきたが、このマッチメイクに正直苦しさを禁じえなかった。竜選手の戦績において唯一の黒星となった前日本王者・渡辺選手に喫した一敗が示すものは「スピード」のある選手への対応力不足…であるように感じていたし、「技巧派ボクサー」はもしかしたら鬼門なのではないか?…と言う印象が頭から離れなかったのである。


 そのKO数が示すとおり、当たれば倒れる…が、問題は当てられないほど相手が「巧い」場合…なのだ。


 さらに、沖縄のボクサーである竜選手であるが、ここは後楽園ホール、言ってみれば『敵地』である…


 声援も鈴木選手を後押しする。


 判定で辛い思いをするかもしれない。ポイントを奪うのは巧い選手なのだ…


 かくして、運命のゴングが鳴った…


 
竜7


1R 静かな立ち上がり… 両者それぞれの間合いと感触を探り合う… 両者オーソドックススタイルであるが、ファイターの竜に対して鈴木はフットワークを駆使するボクサーファイター… 竜が前へ前へと距離を詰めて行き、距離を意識しながら鋭い左を突く鈴木… なるほど、鈴木はスタイリッシュなボクサーだ。竜の飛び込みに鋭い左フックを巧く合わせてくる…

鈴木10-9


2R 鈴木はフットワークのギアをシフトアップ、ガードを固めて懸命にプレッシャーをかけて追う竜であるが、やはり巧みに左で有効打を奪い、そして、いきなりの右も炸裂する。また、パンチが鋭く見栄えがよい。個人的にはもっとも恐れていた展開…

鈴木10-9



竜3
 

3R 当てては離れる鈴木に竜の右ストレートカウンターが炸裂!!! おっしゃー!!! 一発の重みでは竜だが、鈴木のきれいな切れのあるワンツーも当たる。…が、このRの竜であるが、徹底的に追い回し続け、攻勢点を奪ったか?竜10-9


4R 竜の強打を警戒する鈴木は巧みなフットワークを駆使し、右に左に…とすばやく身体を切り返しながらいきなりの右、そして、竜の左に早い左を合わせてゆく… ぐ!? 鈴木の左フックがカウンターとなって竜の顔面に突き刺さる… タイミングだけで言えば倒れてもおかしくなさそうに見える… が、竜は止まらない… 愚直なまでに手を出しながら追い回す。しかし、あのタイミングのよい左をこのまま食い続けるとすると… HIGEGE91の胸に不安がよぎる… 鈴木 10-9


5R 竜の右ボディーさらにストレートが鈴木を捕らえた!!!! 鈴木はコンパクトな左で竜の顔面を弾くも竜はひるまない… その褐色の顔面がもう真っ赤だ。ここへきて鈴木のフットワークに陰りが見え始めたか?しかし、鈴木、クリンチが巧い…のだ。竜の攻撃が度々寸断されてしまうのだ。そして、くるりと体を入れ替えると竜に背を向けて距離を保つこともしばしば… この辺りが後の際どい判定に作用していたのかも…ここは振れないか…

互角10-10


竜5


6R 竜は懸命に懸命に前へ出てゆく。鈴木はやや腰が引けてきたか…と言うのも背を向けて体を入れ替える場面が多くなる。技巧では竜を上回る鈴木だが、竜の前進が鈴木の心をどんどん圧迫してゆくように感じた。とは言え、クリーンヒットでは竜を上回っているように見える。竜の攻撃はブロックされ、クリンチによって殺されてしまい、やや単発的に見えてしまうのだ。鈴木10-9


7R 際どい展開だ。ポイント的にどのようにジャッジたちに映っているのか?有効打で上回るも、強打を警戒しすぎの感もある鈴木とひたすらに打って出る竜。…ドン!!! っと鈴木の左がカウンター気味に竜のガードの下がった顔面に突き刺さる…が、竜はたじろがない。燃え盛る闘志が彼を前へ前へと押し進めるのだ。そして、今夜の竜、手数が多かった。ビッグヒットこそ少ない印象だが、攻勢を印象付ける止まらない前進が鈴木を上回っていた。鈴木は警戒するあまり「逃げ腰」であった。正面突破を常に心がけ、さらに徹底的に実践した竜の攻勢を採りたいのだが、有効打は鈴木か… いや、攻勢の竜だ!!! 竜10-9


8R …っと、最終Rかぁ、しかし、ポイントは難しい。ここは敵地、見栄えのよいカウンターを決め続るも警戒しすぎの鈴木、食っても決して下がることなく手を出し続け、さらに追いかけ続けた竜…



竜4


竜が打って出る!! もう後がない。31歳の竜… もう負けは許されないのだ!!!


竜宮城の気迫が爆発する!!!


追って追って追いまくる!!!!


鈴木は度々クリンチに逃れる…と、ここで再三使ってきたホールドをレフリーが『減点』した!!!!


明暗を分けたのはこのRにおける竜の『闘志』であった…と思う。


巧さで竜を上回るも、限界ギリギリの局面で竜の気迫に押された鈴木…


竜の爆発した闘志が鈴木を圧倒した。


竜10-8(鈴木・減点-1ポイント)


…ゴングが鳴った。


叫び続けた僕は脳に酸素が足りないような気がして天井を見上げた…


しかし、これ、どうなんだ!?


際どいか?


僕は自分の採点を生唾を飲込みながら数えた…


76-76… のドロー…


くぅ・・・


で、公式ジャッジの採点が発表される…


76-76、77-76、78-74…以上2-0のマジョリティーデシジョンの採点によりまして、勝者…


ゴクッ…




青コーナー 竜宮城!!!!




やったー!!!!


痺れた!!!!


あぁ… しかし、僕の採点は竜選手にはちょっと辛かったか?



しかし、これは難しかった。僕の素人ジャッジであるが、5Rの「互角」を竜選手に振れば77-75で竜選手の勝ちになる。で、公式ジャッジも最大で4ポイント差が開いているのだが、一人はドロー、もう一人は1ポイント差…


これは恐らく、鈴木選手の消極的にも見えた「逃げ腰」のボクシングへの評価と、有効打の評価の仕方の違いなのであろう。



また、鈴木選手のクリンチホールド多用ですが、最終R ついに『減点』という形でその勝敗の明暗を分けたわけであるが、この減点ポイントを奪ったのは、紛れもなく竜選手の心の強さの証であり、その「闘志」の爆発が成し遂げた結末であった…と言いたい。



勝負強さ… しぶとさ… 徹底的な攻めのボクシング… 止まらない前進… そして、勝とうとする意思…



このようなギリギリな戦いを制した竜選手はさらに大きな力を得た…はずだと思う。



しかし、鈴木選手巧いボクサーであった。フットワークと危機回避能力…これはかなり発揮された。


…が、技巧以上に必要なのが「勝とうとする意思」…である。鈴木選手はそこに未だ見ぬ『壁』の存在があり、竜選手はかつて敗北を味わい、今夜はその『壁』とも真っ向勝負を挑めたからこそ勝利を掴めた…とも言えるかもしれない。



僕の心配は無用のものであった。



竜選手のガッツを思いっきり堪能できた最高の戦いであった。



この無敗の新鋭を破った勝利は相当でかい…!!!



強いボクサーとは一体どんなボクサーを指すのか?



その一つの答えは『闘志』…である。



今夜の竜選手ですが、その『闘志』を最大限発揮して勝利を掴んだわけだが、絶対にさらに強くなった…はずである。



こんな素人な僕だが、コツコツとホールへ足を運びながら生観戦を続けてきたのであるが、少なからずその『闘志』には見る目があると自負している(…え?ホント!?)。



闘志…であるが、それを持っていない選手はいない。それは当然の話で、それが無ければボクサーなんていう稼業は務まらない。しかし、その闘志と『勝利』を結び付けるには、更なる『闘志』が必要なのであろう…と思う。



残念ながら、空転してしまう闘志もあれば、意識と一緒に寸断されてしまう闘志もある…



タイミングのいいカウンターパンチを浴びてもなお、決してひるまない、止まらない、萎えることのない隙の無い『闘志』を今夜の竜選手の中に僕は見た。



採点は際どくも、完勝といえる勝ち方ではなかったか?



感動に打ち震えた…



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また、「竜宮城」から本名の「宮城竜太」に改名されたみたいですね…


絶対に勝って欲しい…


御愛読感謝


つづく