目を閉じると、未だにあの場面が浮かぶ…
08年大晦日、WBA世界フライ級タイトルマッチ 坂田健史×デンカオセーン・シンワンチャー、広島決戦…
2R チャンピオン坂田選手、左ボディーを打ったところにデンカオセーンの右強打を側頭部に喰い、空気の流れが止まったかのような、あるいは、時間の流れがふいに鈍ったようなその一瞬であるが、それは唐突に訪れたのだ…
奇妙にバランスを崩しながら、チャンピオンは前のめりに倒れこんだかと思うと、ゴロンとロープの下に転がり、なんとそのまま仰向けになってしまったのだ…
肉体と精神が断ち切られるほどのダメージを負った坂田選手…
無情にもレフェリーはテンカウントを数えきってしまった…
過去最高のコンディションだったのに… 何を喰ったかわからなかった… 立ち上がったのになぜレフェリーが試合を止めたのか解らなくてびっくりした…
最新号のボクシングワールドには、そんな「前」チャンピオンの試合直後の声が挙がっていた…
が、その後の進退に関する声は最新号にはまだ載っていなかったのである…
やけに、それが気になるのだ…
続行か、あるいは、引退か…
日本屈指の、いや、世界屈指の「不屈」を体現した稀有など根性ボクサーの進退が聞こえてこない…
僕は坂田選手が下した決断であるならば、その選択はいかなるものであっても受け入れる気持ちが強い…が、あれだけの気骨と男気を発揮し続けてきた彼だけに、あのような無残な結果を受け、そして、今もなお、血反吐を吐くほどの苦悩に苛まれているのであるとするならば…と妄想して歯軋りをしている。
坂田健史の「不屈」…を思う。
いつかのパーラ1、パーラ2、バスケス1、パーラ3、バスケス2、デンカオセーン1、山口、久高…
その世界戦の軌跡を思い起こし、そして、また、「不屈」と呟いてみる…
坂田選手の気持ちは今、どこを彷徨っているのだろう…?
などと、ついつい考えてしまう…
駅へ向かう道すがら、風呂で頭を洗いながら、読書をしながらも、ふいに、そんなことが頭に浮かんでしまうのである…
とにかく、頑張って欲しい…
御愛読感謝
つづく