…9月に西岡利晃(WBA3位)が後楽園ホールに帰ってくる。それも『負けられないリング』だ。
あのウィラポン・ナコンルアン・プロモーションに4度挑むも全て退けられた、あの西岡利晃だ。
対戦相手は元東洋太平洋王者ぺドリト・ローレンテ(比)。←HIGEGE91はこの選手を知らない。
階級をかつてのバンタムからスーパーバンタムに上げ、5度目の世界挑戦を伺い続け、大分経つ。
あの仲里繁と一緒にフランスに渡って格下の駄目ボクサーと試合して以来だ。確か3回KOかなんかで勝利はしたはずだが、相手があまりにも弱すぎて印象は逆に薄かった。
僕の中で西岡といえば4度目の対ウィラポン戦である。1敗2分けで臨んだ『4度目の正直』だった。…最もコテンパンに打ちのめされたタイトルマッチだった。それは「凄惨」な内容で、両の瞼を破られ、血みどろになった西岡がかろうじてラストラウンドまで辿り着いた勝負であった。僕は早く「ドクターストップ」がかかって欲しい、と思った試合でもあった。
西岡の人生とは、タイの英雄『ウィラポン』という『巨大な壁』に阻まれ、跳ね返され続けるためにあったような気にさせられる。這い上がろうにも『4度』も退けられると普通、やりきれないものであろう・・・。絞りに絞り、鍛えに鍛え、考えに考え、新しい自分をさらに新しく作り直し、そして、『4度』も退けられたわけだ。そこから這い上がろうとする『漢(おとこ)』を応援しないわけにはいかない。その『痛み』と『喪失感』は想像を絶するものであったに違いないし、西岡利晃はその地の底から這い上がってきたのだ。
身も心もを引き裂かれ、それでも彼は戦う決心をした。そして、再起し、日本スーパーバンタム級王者 中島吉兼との世界挑戦者決定戦の舞台に帰ったきたのだ。ダウンを奪う3-0の判定で勝利したものの、階級を上げたせいかスピードは勝るものの「パンチの重さ」には疑問は残る試合内容であった。
最も相手が世界レベルの「タフネス」を誇る中島吉兼だったせいもあるが、それにしても「完全にタイミングのあったカウンター」を決めても決めてもKOで倒せなかったし、同級世界王者 マヤル・モンシプールやオスカー・ラリオスなんかと見比べれば、見劣りするのは否めない。正直、あの仲里繁の『撃沈』を目の当たりにしているだけに、まともにぶつかったら先ずKOされてしまうだろう…。そんな想像を拭えない。ボクシングセンスはその『強靭な世界王者達』に負けず劣らずであっても、『破壊力』では勝負は出来ない。西岡の根性は誰もが認めるところであろうが、やはり細い…。そこをカバーするのが『スピード』であり『光のようなカウンター』なのであろうが、圧倒的に不利は不利である。
…それを覆すために、今の『西岡利晃』がある。4度挑むも退けられた『ウィラポン』は世界初挑戦の長谷川穂積に破れたという『現実』も彼にとっては複雑であったはずだ。しかし、西岡利晃は振り返れない。もう『決意』はトウの昔にすんでいる。どうしても届かなかったバンタムではなく、さらに『厳しい』スーパーバンタムで残りわずかな『ボクシング人生』を捧げたのだ。
結婚もした。新しい自分に生まれ変わり続けてきた。絶対に負けられない。如何に不利であろうと「勝つために」西岡利晃はここにあるのだ。
西岡ほど「期待され」、「どん底」を知ったボクサーはいないかもしれない。
絶対に勝つべし…。僕も戦う。君と一緒に戦う。君の見ている夢は、僕の見ている夢であり、多くの三十路男達の『夢』なのだ。
…鳥海純が「負けられないリング」でまさかの判定負けを喫した…(未だに僕の中でもやもやしっぱなしだ)。西岡利晃よ、間違いは許されない。背水の陣である。しかし、『結果』が全てのこの世界で、『オール オア ナッシング』のこの土壇場で、僕は君が『勝つ』ことを信じて疑わないぞ。絶対に勝て。僕のエネルギーを念に乗せて飛ばし続けているぞ。それは僕だけのものじゃない。みんなの『エネルギー』なのだ。そして、その『エネルギー』を受け止め、我々に『勇気』と『感動』という新しい『エネルギー』に変えて、再び送り返してくれ、それは君の『使命』であり『義務』であると、HIGEGE91は考えている…(今回はちょっと厳しい?)。
…つづく