【中学3年生向け】北辰テスト及び私立高校個別相談 Part2(英語科) | しがない教師の雑感

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入試というものに、悉く失敗してきた者が、自分と同じ思いをする若人を少しでも減らせたらという思いから教師が綴る奮闘記的な何か。時々、内なる何かの発露のような感じで哲学や宗教学の話題も…

 第4回の北辰において英語の平均点も相当に低かったが、受験生にとって難しいと思える問題はリスニングの[問題7]と、大問4の問4(5・6)くらいだろうか。

 リスニングの[問題7]は数字を選ぶ問題だったが、“Five other students...”と聞こえて、"Five"を選んだ受験生が多いように思われる。“Five other students...”なのだから、5人より多いはずで、選択肢は"Six"までしかないから、これを選べたと思う。(該当箇所は"Five other students from my school also visited the kindergarten with me."なので、ここが聞き取れていれば、「6」を選ぶのは簡単)
 大問4の空所補充問題は、コツなどないが、強いて言えば「難しい単語は入らない」ということだろうか。中学2年生までで学習したレベルの単語が入るので、諦めずに考えれば引っぱり出せる可能性は十分にある。今回難しかったのは、受験生の多くが苦手としている比較表現で、更には通常の暗記パターンではない変則形を出してきたところにあるだろう。<比較級 than any other 単数名詞>を見たことも聞いたことも無いという受験生は勉強不足だが、今回の英文では“... it is ( ) than the percentage of ( ) ( ) prefecture in Japan.”となっていた。最初の括弧の直後に than があるのを見抜いて比較級を入れるのは簡単だが、その後が難しい。<比較級 than any other 単数名詞>で覚えていると、今回のように<比較級 than 名詞 of any other 単数名詞>となっただけでおなじみの文を見出せなくなる。ただし、ヒントは隠されていて、prefectureという単数名詞に注目し、単数形になっていることに疑問を感じ、知っている構文を考えていけば any other をいれることはできたと思う。

 残りの問題は標準レベルだが、記述が思いのほか、解けていない印象を受ける。最大公約数的なことしか書けないが、練習すればすぐにでもできるようになるポイントを2点挙げておく。

1.「日本語で書きなさい/答えなさい」という形式の問題は、英語本文該当箇所の和訳問題であることが多い。
2.英語の指示語は、原則的に前文を指す。前文以上さかのぼることはできない。

1.に関して、第4回の北辰で言うと、「大問3の問4」と「大問4の問3」(リスニングを含めれば「大問1の問題6(3)も)であるが、前者はp.4の下から25~26行目“My teacher says ......”の和訳をした上で、設問の「どんなことですか」に合うように「~こと」とすれば良い。後者はp.6の12~13行目“So if rivers are not ......”を訳して、やはり設問に合わせ「~こと」とすれば良い。後者は少し訳しにくい箇所だったと思うが、have の意味から外れない範囲で自由に訳せば問題ない。
「自由に考えて書け」などと言われない限り(そのような問題は入試の性質上出題されないが)、本文の答えの部分を和訳すれば満点解答になる。下手に増やしたり削ったりすると減点になるので、素直にそのまま書けば良い。

2.に関して、第4回の北辰では、直接的に問題となっていたのは「大問2の問2」、「大問4の問3」であるが、内容を理解する上で、指示語の指示内容を明確にしながら読んでいくのは重要であるから、大問1~4まで使えるし、英作文でも指示語で減点されている人がいたとすれば(いないと思うが……)、全部の問題で使える知識になる。さらに言えば、大学入試の読解問題は中学3年生の目から見れば「超長文」であるが、なおさらに指示内容を明確にしながら読むことが重要になってくる。
 英語において、this/that/it などの指示語は原則的に前文以上戻ることはできない。「thatは遠くを指すから、thisよりも遠い場所を指すのでは?」と思う人もいるだろうが、それは空間指示の場合であって、文章においては遠近が関係なくなる。違いがあるのは言葉の使い方(語法)であるが、それは英語上級者になってから気にすればいいことである。とにかく、このことを意識できるかどうかで英文の読みやすさは変わってくると思う。