5Days”初めての夜”前編 グッチ作品 | ここにある愛のうた GT ~hidorut party~

ここにある愛のうた GT ~hidorut party~

運命とは時に皮肉な悪戯をします。



闇を抜け、かけがえのないあなたと

ふたりで歩いて行きたい…

―――暫らくしてマンションの扉の前には二人の姿があった。




「な、なんで…は、走らなきゃ…い、いけ…ないわけ?」




肩で息をする彼女。






「ん?ああ…雨も強くなってきてたしね。」




たいして長い距離を走ったわけでもないのに…




「わ、私は…運動とか…ちょっと…苦手…なの…」




「あら?そうなの?それは悪かったね。」



たいして悪怯れもせず謝罪してみた。



深呼吸して落ち着きはじめた彼女を横目に扉を開ける。



「さぁどうぞ。」



おずおずと彼女が入ってくる。


「おじゃましま~…っ!?」



部屋の中を見渡し…



「へぇ~っ!!結構いい暮らししてるじゃないっ!!」



「俺はこれでも稼ぎはいいのさ。」




「男の人の家って、ん~と、もっと、散らかっててさ!生活感が溢れてるぅってイメージだったのに!!」




…世の男をひとくくりにするんじゃない…まったく…




「世の中にはおれ様のように綺麗好きな男もいるんだよ。」




俺は“世の男性”のイメージアップに貢献したな、と一人悦に浸りながら彼女の方を見ると…



あれっ!?いないっ!?



すると、部屋のなかを興味深げに徘徊する彼女の姿。




…自然に眉間を指でおさえていた。





「おいっ!!何してんだっ!!さっさと濡れた服を着替えろよっ…て、着替え持って無さそうだな…ちょっと待ってろ。」




ジャージでいいかな?




”ワイシャツとかなら視覚的には申し分ないな…”




と、やや卑猥な想像をした俺を誰が責められようか。




しかしここは紳士たる振る舞いを見せてこそ… 少々惜しみながらもジャージとタオルを渡す。





「バスルームはそこだシャワーを浴びて着替えろ。」




「ぁ…ぅん…その…ありがと…」




「…しおらしいお前は気持ち悪いな。」




「なっ、何よ!人が素直にお礼言ってるのにっ!!私見てたのよ!、さっきワイシャツ持ってブツブツ言ってるの、どうせ私がそれに着替えた姿を想像してたんでしょ!?」




「なっ、なんだと!!俺の厚意を無下にするのか!?嫌なら今すぐ出てってもいいんだぞっ!!」




「なによっ!!」





「なんだよっ!!」



…にらみ合う二人






彼女は不意に背伸びをし…!?ほのかに感じられた冷えた唇の感触…。






”キスされた?”





「この勝負、私の勝ちねっふふっ、間抜けな顔しちゃってぇ~。」





ちっ…こんな小娘に…




まぁ落ち着け、欧米諸国では挨拶と同じこと… 深い意味はないはずだ。




「はいはい、ごちそうさま。それより早く着替えろよ、風邪をひかれて、俺のせいにされちゃかなわんからな。」



こくりと頷き、バスルームに向かう彼女。





しばらくして…






そこには一糸纏わぬ彼女の姿が!?




てなことはなく…




ぶかぶかのジャージ姿の彼女がいた。



「コーヒーでいいか?ビールはまずいだろ。」



「ぅん…コーヒーでいい…。」



本当は豆をひいた方が好みなのだが…しょうがない今日はインスタントにするか…。



コーヒーのいい香りが部屋に広がる




「はい、どうぞ。」




「どうも…。」




「砂糖は?」




「五つ、私、苦いの嫌い。」



何っ?成人病まっしぐらだな…。




しかし人の好みだ、ここは抑えよう。




などと、考えつつも自分のカップにも角砂糖を三つ…。




両手でカップを持ち、ふぅふぅとコーヒーを飲む彼女の少女のような仕草は、やはり俺の恋愛対象ではなかった。




なかった?うんうん、ありえない…




しかし…キスされたぞ…



いや…だから…それは欧米諸国では…





「さっきから、何ぶつぶつ独り言なのよ?全部聞こえてるわよ!」




うっ…うるさいッ!





”初めての夜”、後半に続く!



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