弊社は「医療・介護業界における組織デザイン顧問」として
20年間、この業界で人事制度構築のご支援や教育研修を行ってきましたが、
最近よくお客様から
「組織デザインってなんですか?」
とご質問をいただきます。
色々な定義はあると思いますが、
一言で言うなれば…
「それぞれの120%が自然と引き出される居場所をデザインすること」
だと考えています。
ここでのポイントは「それぞれの120%」というところです。
大前提として、
人はそれぞれ能力も習慣も、育ってきた環境も常識も全く違います。
見えている世界も違えば、受け止め方も違います。
にも関わらず、多くの組織において
全員が同じような水準で同じようにワンストップで仕事ができる前提になっていたり、
同じスピードで成長することが前提になってしまっている場合が多いのです。
よくよく考えてみると、それってとっても不自然ですよね。
その不自然さが、「出せるはずもない300%を求めて上司部下双方が疲弊する」形や
「能力の高い人が60%程度で安住する」ような組織の形を生んでしまうと考えています。
確かに現場のマネジャーとしては
一回言ったら覚えてできるようになってくれる人が嬉しいと思いますし、
一人前の仕事がワンストップでできる人の方が嬉しいですよね。
コミュニケーションが苦手という人がいたとしても、
苦手とかじゃなくて努力してできるようになって欲しいと思うと思います。
できないのは努力不足、意識が低いからと思う気持ちもよくわかります。
「頑張る姿勢さえあれば我慢できる」という方もいると思いますが、
極端な話、あれもできないし、これもできない、
しかも頑張ることもできないという人も組織には一定数いるでしょう。
マネジャーや指導者側からしたらとんでもなくイライラすると思いますが、
悲しいかな、イライラしても相手が頑張ってくれるわけでもないので、
マネジャーや指導者自身もどんどん疲弊していきます。
(虚しいですよね)
部下としても自分のスペックでは自転車で時速10キロで1kmがやっとなのに、
時速30キロで10km走れと言われているような状態なので、
更に頑張れなくなっていく悪循環が生まれてしまいます。
(これはこれで辛いですよね)
仮に、時速10キロで1kmしか走れない人がいるとしたら、
まずは時速12キロで1.2km走ることを目指させたほうがまだ頑張れるかもしれませんし、
その中で早く自転車をこぐには筋力を、長く走るにはスタミナをつけるトレーニングが必要
ということに気づくかもしれません。
これならまだお互いにとって生産的ですよね。
ただ「できる人」の感覚に任せてしまうと、
どうしても「能力の低い方に300%を求めてしまいがち」なので
(悪いということではなく、むしろ自然だと思います)
その結果、お互い疲弊して、最悪ギスギスして離職を招く
というような現象が起きやすくなってしまうわけです。
じゃあ一体どうすればいいの?というところで、組織デザインの出番です。
そうした状況を変えていくには大きく分けて2つのアプローチがあります。
① 組織の構造を変える~人事制度の(再)構築~
それぞれのレベルに合わせてそれぞれの120%を定義し(=等級制度)、
その達成度を評価(=評価制度)、
そしてそのレベルと達成度に応じた報酬を与える(=報酬制度)
という一連の流れをしっかりと設計して全員に認識してもらうことで、
マネジャーや指導者も「それぞれのレベルにおける120%」を
自然とするようになっていきます。
② 職員の解釈を変える~研修やコーチング~
①はそこまで理解しなくても自然とそうなる仕組みをつくるということですが、
そもそも人は全員違うということ、そしてすべて可変的であること、
マネジャーや指導者層がこの前提にたつことができれば、
部下への関わり方が大きく変わることは疑いの余地もありません。
ですから、いきなりドラスティックに制度を変えるのは難しいという場合は
この部分に着手するだけでも大きな効果があると思います。
さて、まとめると…
1)そもそも全員「違う」こと
2)人も環境も可変的であること
組織デザインにおいてはこの2つの前提が重要であり、
この2つの前提をもとに人事制度を設計し、
その人事制度を扱う職員、とりわけ評価者にも
この前提を認識してもらうとより効果的ということですね!
この2つの前提をもとにした人事制度を設計しているのは
おそらくZACだけと言っても過言ではないと思うのですが、
それがそのまま弊社が20年間選ばれ続けてきた理由でもあると思います。
「組織デザイン」に興味がある方がいらっしゃれば、気軽にお問い合わせください。
全員の120%を引き出す居場所づくりのお手伝いができれば幸いです。
人事コンサルタント
金森秀晃