向き合いながら、
現状からの脱却を望む。
一人は、
向かいに座る人間が救世主だと信じ、
一人は、
相手の動機を、そして今は死を渇望している。
救世主の方が、
足を組みなおしながら口を開く。
が、
出てくる言葉は曖昧なモノばかり。
本来、
わずかな変化も見逃さない洞察の持ち主のはずだ。
両者に、
冷たい血が走る。
一方は、
人肌までに生ぬるくなってしまった。
もう一方は、
時を経るほどに冷たい。
そして終焉。
戻ってくるのかと思っていた、
暖かく、あたたかく……
が、
冷えるほどに研ぎ澄まされてゆく。
カポーティの「冷血」を読み終えたので、感想を書いてみたよ。