◆プロサッカー選手 最適なトレーニング時間は? | 和久井秀俊オフィシャルブログ「海外サッカー選手のホンネ」Powered by Ameba

◆プロサッカー選手 最適なトレーニング時間は?

和久井です。

前回、◆超回復 サッカートレーニングプログラムに必要な3要素とは?で、トレーニングは回数と強度、継続時間を操作することで向上できることを考えました。

今回は、この3大要素をさらに深く見ていきたいと思います。

今回もサッカーに関連した傷害や病因などの研究を目的とした、FIFAが設立した医学評価研究センターの調査結果を参考にします。(要約)

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トレーニング回数

プログラムの目標は、持久力、筋力、パワーなどを向上させることである。通常、1週間に連日ではなく3日トレーニングすることが、フィットネスを向上させるために最低限必要であると考えられている。また、同じ運動を毎日行うと、使いすぎ障害が起こることも明らかになっている。このため、通常のトレーニングの代わりにクロストレーニング(複数の種目の運動を積極的に取り入れる練習法)を行う日を設けることを検討することのみならず、休息日を設けることが重要である。

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トレーニング強度

強度を少し高めるとフィットネスも少し向上するが、強度を相対的に同じだけ高めた場合のフィットネスの向上ははるかに大きくなる。強度レベルが非常に高い部分では、強度を高めるとフィットネスはさらに向上するが、向上の幅は小さくなる。しかし、このレベルまで強度を高めるのは競技スポーツのエリート選手だけにしておくのが一番よい。

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トレーニング継続時間

トレーニング時間約45分~1時間まではフィットネスが向上し、以後は時間を延長しても変化は小さくなる。長時間のトレーニングを行うのは競技力の非常に高い選手だけにしておくのが一番よい。トレーニング量とは、トレーニング時間とトレーニング頻度の積である。

したがって、トレーニング量は、頻度を上げるか時間を延長することにより増加させることができる。さまざまな強度で短時間、中時間、長時間の運動を行うと、さまざまなエネルギー産生系によってエネルギーが産生される。

最大強度のトレーニング(筋力、スピード、パワーなどのトレーニング)でのエネルギー産生は主に無酸素系である。高出力・高速用のエネルギーは、運動の開始時にエネルギーを瞬時に提供するが、長時間のエネルギー供給能力は低い。これは、貯蔵されているATP-PCrが枯渇するか、筋肉中に乳酸その他の老廃物が蓄積するためである。

運動を継続するには、有酸素系が主要エネルギー産生源となることによって、貯蔵ATPとPCrを維持するとともに、乳酸の産生を抑えるために、運動強度を低下させる必要がある。したがって、運動強度が高い場合は、運動は短時間しか出来ず、トレーニングによって得られる効果は無酸素性の適応である。

有酸素性のエネルギー産生系は無酸素系よりはるかに供給能力が高く、はるかに長時間にわたりエネルギーを供給できるが、無酸素系ほどすばやくエネルギーを供給できない。したがって、運動強度を最大の約80~90%まで低下させると、エネルギーを供給できるので、運動時間が延長する。このような運動に対する適応は主に有酸素性である。

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強度、頻度、継続時間(量)の3要素のうち、フィットネスレベルに最も大きな影響を及ぼす決定的要素は強度であると思われる。しかし、組織化されたトレーニングプログラムでは、3要素すべてが重要である。

他研究でも同様の結果が認められており、諸研究の結果はすべて、頻度、継続時間、強度のうち、強度がトレーニングにおけるフィットネスレベルの決定的要素であるという結論につながっている。

さまざまな強度で短時間、中時間、長時間の運動を行うと、さまざまなエネルギー産生系によってエネルギーが産生される。

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3要素の1つ、回数(頻度)に関しては1週間に3日(連日ではない)トレーニングすることが、フィットネスを向上させるために最低限必要で、トレーニングを1週間の内の5日間以上行った場合、使い過ぎによる傷害発生率が高くなるようですね。

トレーニングの継続時間は45分~1時間まではフィットネスが向上し、それ以降は向上の幅は小さくなるようです。この回数(頻度)と継続時間によって、トレーニング量を調整することになりますね。

そしてトレーニングの強度は、フィットネスレベルに最も大きな影響を及ぼす決定的要素のようで、最大能力の60%以上からフィットネス向上が見られます。

以上のように回数、強度、継続時間を見てきました。ここで間違えてほしくないのは調査結果はあくまでも様々な競技レベルと年齢の中から傷害発生率(使いすぎ傷害)とフィットネス向上という部分で最適な回数、強度、継続時間を導き出しています。

特に競技スポーツのエリート選手にとっては、1週間に3日の練習で1日45分~1時間の練習時間を最大の60%以上でトレーニングすることが最適だということでは決してありません。

回数や継続時間をさらに増やすことで、フィットネスレベルの向上幅が小さくなったり、傷害発生の可能性が高くなりますが、強度や休息、クロストレーニングによって調整することができるということです。

前回、トレーニングプログラムに必要な3要素である回数、継続時間、強度の重要性を書きましたが、トレーニングプログラムを立てる際には、強度→トレーニング量(回数と継続時間)と考えるのが適切であり、さまざまな強度で短時間、中時間、長時間の運動を行うことで、さまざまなエネルギー産生系によってエネルギーが産生できると考えられます。

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