3月は雨が多いですね。スッキリしない天気が続きますが、元気にやっていきましょう(^o^)/
もうこの映画が公開されたのも二十年近く前になるんですね。主演はかつての銀幕スターたちのおじいちゃんです。三橋達也さん、大木実さん、青木富夫さんと渋いお方々です。監督は篠崎誠監督で、公開されていたのも都内のテアトル新宿だけだったような気がします。
先の太平洋戦争の頃、ペリリュー島では米軍との激戦が続いていた。しかしながら物量や兵力の圧倒的差で日本兵たちは洞窟へと追い詰められる。洞窟の中で息を潜める日本兵たちに米軍は容赦なく火炎放射器での攻撃を浴びせる‼️
またしてもこの悪夢で木島(三橋達也)は目を覚ます。伊藤(青木達夫)は満員のバスで座るとこがないのでゴホゴホ咳き込んで腰を叩いて病人のふりをして若者に席を譲ってもらう。前の席に座る子供に変顔をしておどけてみせる。村田(大木実)は居酒屋平八のマスターで今日もいつも通りに料理の仕込みを行い、入院している嫁はん(内海桂子)の看病に行く予定である。
伊藤はバスの中で上品な老婦人小春さん(風見章子)に席を譲ってあげ気軽に話しかける。生け花の先生である彼女の生花を持ってバスの乗り降りをかいがいしく手伝ってあげる。
木島が畑をいじっているときに伊藤が戦友会の集まりに誘いにやって来る。木島は出る気はなかったが伊藤から金山一等兵の話が出て眉をピクッとさせる。木島はハーモニカを吹きながらそっと過去を思い返す。
村田平八の嫁はん静枝が入院している病院の看護士さん金山百合子(真田麻垂美)は奇しくも木島、村田、伊藤たちの戦友金山一等兵の孫であった❗彼女は祖父のことをもっと知りたかったので戦友会の集まりに参加する予定であったのだ。
木島は黒人のハーフの少年とハーモニカを通じて仲良くなる。ハーモニカを欲しがる少年におっ死んだらハーモニカをあげると約束してあげる。村田と伊藤がやって来て3人は高台から海と街を見下ろす。
「この辺の景色もだいぶん変わっちったな~」
「変わらないのは俺たちだけか……」
「何言ってんだい。一番変わっちったのは俺たちだ。こんなにしわくちゃになっちったしな」
「でもな正直こんなに長く生きると思わなかったからな。なんだか夢の中にいるような心境だよ」
木島と同等に村田も未だに戦争中のあの洞穴の悪夢に悩まされると言う。
金山百合子の彼氏渡辺は音楽関係の仕事をしたり、製薬会社の営業をしたり、カメラマンを目指したりと色々トライした挙げ句にどれも中途半端に終わってしまっている無職のおそまつさんみたいな生活を送っていた。そんな情けない彼にパイセン(大森南朋)がオイラの会社で働こうぜ!と勧誘してくれる。一応はこのままじゃいけないとは考えていた渡辺は誘いにのってみることにする。
4月22日に戦友会のメンバーは居酒屋平八に集う。そこには金山の孫である金山百合子も参加していた。遅れて今まで戦友会の集いに参加していなかった木島もやって来る。金山のことを戦友たちは誰からも好かれる裏表のないいい奴であったと百合子に教えてもらう。百合子は木島に祖父の最期はどうであったかを意を決して訊ねる。木島は静かに「ペリリュー島の洞穴に潜んでいたがそこからも追い出されて白兵戦で戦うことになって…その時に金山は敵の銃弾をくらって戦死してしまったんです。埋葬する暇もなかったんで形見としてハーモニカを持ち帰るのが精一杯だったんです。戦後おばあさんに渡そうと訪れたら焼け野原になってて渡すことが出来なかったんで……これをあなたにお返しします」語る。そして古びたハーモニカを金山百合子に渡す。
渡辺はパイセンの勤めている会社のユートピアコーポーレーションで研修を受けていた。介護サービス主体の総合的な福祉産業だというその会社で海外出張中の社長からのビデオメッセージが送られる「我々は戦後人々が失った人と人との絆を繋がりを取り戻していく会社です❗」とまあ大層立派なことを言っております。
木島は今日も畑仕事をしていると、電気業者を名乗る男が配電盤やコンセントが老朽化してますので無料で交換いたしま~すなんてずけずけ入り込もうとする。戦争で妻子をいっぺんに失い一時はひねて道を踏み外していた木島は直ぐにインチキ業者であることを見抜く。男はそそくさと退散する。
村田は医者から奥さまの病状はかなりヤバいところまで進行していて年齢的にも手術は無理目っぽい、抗がん剤治療や放射線治療も副作用とかにとても耐えきれない!ですのでいっそのこと退院して自宅でのんびりと過ごした方がいいのでは?と告げられ静枝を退院させることにする。金山百合子は黙って見守ることしか出来なかった。
伊藤は毎日おめかしをして足しげく小春さんのところに通う。ボートでデートをしたり、小春さんの教室で生け花を習ったりとなかなかいいムードになってくる。
居酒屋平八で伊藤と小春さん、金山と渡辺の二組のカポーと木島で飲み会が行われる。平八も退院した静枝も張り切って料理を出す。楽しいひとときを皆で過ごす。
渡辺は次の日から早速ユートピアコーポーレーションの研修に参加する。最初こそは講義だったり体育みたくマラソンしたりだが、研修の終わり頃になってくると様相が変わってくる⁉️⁉️
「この地上で最も残忍な生き物…それは人間です…」
「この世に人間が存在する限り決して争いは絶えません…」
「この地上で最も残忍な生き物…それは人間です…」
「この世に人間が存在する限り決して争いは絶えません」
この言葉を延々と繰り返しチカチカ点滅を繰り返す変な映像を流し続けます。研修生たちは心が参ってきます。渡辺はパイセンにおかしいんじゃないか?と相談します。だが渡辺はパイセンに上手く言いくるめられて「一緒にユートピアコーポーレーションで働いてくれるのを選択してくれたら俺はお前のために死ねるよ😃」なんて感じで渡辺はすっかりその気にさせられてしまいます。
阿久津社長が自ら登壇して挨拶するときには研修生たちはすっかり洗脳されていて泣き出す者までいます。
一方で小春さんの家にもあの木島の家に入り込もうとした電気業者を名乗る男が訪れ、まんまと家に入り警報器を取り付ける。
落ち込んでいる後輩を慰めている百合子に研修が終わった渡辺がやって来る。渡辺は神妙な顔つきで「この病院の重病患者のリストかなんかのコピーくんないかな?」と訊ねてくる。問い詰める百合子にシルバー産業に力を入れてて健康食品とかの売り込みをしたいからと誤魔化す。そして研修所に引っ越すからと同棲を取り止めて引っ越すと言い行ってしまう。
金山百合子は木島へ形見のハーモニカを返しに訪れる。そして祖父の嫁さんへ宛てた手紙を見せる。
伊藤は小春さんの家に訪れている。その様子を警報器と言って取り付けられた警報器が実は盗聴器と盗撮カメラであり、その様子の一部始終を監視している男たちがいた。小春さんは駆け落ち同然の恋愛結婚をして子供も一人授かったが、そんな幸せの時に戦争へ召集される赤紙が来て旦那は戦争へ行く。そして買い出しに行っている最中に空襲に遭い家は火の手に包まれ中にいる子供を助けたかったんだけど足がすくんで動けなかったと辛い過去を伊藤に語ってくれたのだ。
木島は黒人のハーフの少年健坊と畑を耕したり釣りに連れていってあげたりして仲良くなる。
渡辺はパイセンと仕事に出る。でも渡辺は訪問先を見て愕然とする❗その先は居酒屋平八であったからだ‼️渡辺は腹が調子悪いと言って黙って車の中で待っていた。パイセンが一人で居酒屋平八に入って行く。
伊藤は小春さんに「辛い過去を話してくれてありがとうございます。戦争で生きて帰って来て本当は後ろめたくて脱け殻みたいな人生だったけれど貴女に逢えて本当に良かったと思ってます」と本気恋愛な告白をして指輪を買うために小春さんの指のサイズを赤い糸で測る。
静枝は退院したがまた病状が悪化して再入院する。百合子に静枝は懐かしい頃の過去を夢で見たと話す。「人が死んだらその人の思い出はどこに(゜Д゜≡゜Д゜)?行っちゃうだろうね❔あたしが死んだらあたしの思い出も…あの人と生活したそんなこともあった…仲のいいときばかりじゃないよ…そんな楽しかったこといい思い出もみんな消えちゃうのかね❔」
出かける小春さんを一人の男が尾ける。男は人相がわかると小春さんに言い寄り「貴女の肩に三歳児ぐらいの男の子が見えるんです。このまま放っておいたら大変なことになりますよ!」と言う。小春さんは何故⁉️それを知っているのか⁉️顔面蒼白になる。
小春さんは事務所で供養仏を買って手厚く弔うよう勧められる。供養仏は一千万円❗だと言う。空襲で亡くなった息子が貴女を呪っておりますと恫喝する❗そして女性社員が霊媒のふりをして「熱い❗苦しいよ❗母ちゃん助けてよ❗」と煽る。小春さんは「止めて(/´△`\)‼️‼️‼️」と絶叫する。
村田のところに漢方薬やら何やらかにやらパイセンが色んなものを売り込んでいる。藁にもすがる思いの村田はあれもこれも必死に購入する。そして病室にまで供養仏を持ち込んでお祈りをしている。百合子は怪しむ。そして渡辺と食事の時にその事を問い詰める。渡辺はパイセンに村田さんの家に連れていってそのあとのことは何も知らないととぼけるが、すっかり大喧嘩になってしまう( ;´・ω・`)
百合子は木島に相談に訪れる。木島は平八に訊きに行って見ると言ってくれる。、そして彼氏がそんな胡散臭い会社に勤めているんだったら一刻も早く退職するように勧めた方がいいとアドバイスしてくれる。
伊藤が指輪を持って小春さんの家を訪ねるが、小春さんの姿がない⁉️⁉️⁉️⁉️
お巡りさんが小春さんを保護していると言う。伊藤は小春さんに面会すると小春さんは件の霊感商法のせいで心が壊れて魂の脱け殻のようになっていた❗❕❗❕❗❕
木島は早速居酒屋平八に行くが姿はない❗伊藤も来ていたが全くいる気配はない。八百屋の兄ちゃんも「最近、ずっと店を閉めたっきりで…」と言う。
静枝は危篤になっていてもう1日を越えられるかもわからない状態であった。静枝は平八に「直ったら新婚の時に連れていってくれた温泉に連れていってくれる?」と言う。
「あんたと一緒になって良かった……生まれ変わってもあんたと一緒になるよ……」
「何言ってんだよ」
葬式の後、村田は木島と伊藤に酒を飲ませ、店を手離さなければならなくなったと言う。店をたたまなければならなくなるくらいにユートピアコーポーレーションの霊感商法に注ぎ込んでしまったのであった。
伊藤は小春さんの入院先に看病に訪れ、買った指輪をはめてあげる。小春さんはすっかり呆けてしまい死んだ旦那と勘違いしている有り様である。伊藤は単身ユートピアコーポーレーションに乗り込み社長の阿久津とパイセンに「おまいら❕恥ずかしくないのか‼️😡⚡」とナイフを抜く‼️‼️‼️
あの戦場での悪夢が蘇る。木島は致命傷を負った金山に介錯を頼むが木島はどうしてもそれが出来なかった…代わりにハーモニカを託される。
伊藤はユートピアコーポーレーションで恐らく正当防衛ってことで殺されてしまったのであろう❓
今度は伊藤の葬式になる。木島と村田は伊藤の言葉を思い出す「兵隊にとられてロクななことなかったなかったけど一つだけいいことがあったよ😃それはおまいらに会えたことだ❗」
木島は家の軒先にハーモニカをぶら下げておく。健坊にハーモニカを譲ってあげるためである。木島と村田は無言のまま頷き合い出発する。健坊は木島のいそうなところを走り回って探す。そして坂道の途中で見つける。そして木島にハーモニカを突っ返す。「お爺ちゃん死んじゃうの?」と訊ねる健坊に「そう簡単に殺さないでくれよ」と笑顔で返す。
ユートピアコーポーレーションの社長室には阿久津社長とパイセンと渡辺がいた。そこに木島と村田が乗り込む❗❕拳銃を所持していた阿久津はピストルで何発も銃弾を撃ち込む村田はパイセンを止めて渡辺は二人を庇うように立ちふさがり撃たれて倒れる。木島は何発も銃弾を浴びるが阿久津に日本刀を突き立てる。‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️
村田は辛うじて生きていた❕❗そして木島を介抱する。木島にハーモニカを健坊に渡してくれと託される。健坊は村田からハーモニカを渡される。そして木島に教えてもらった歌を吹く。村田の行く先の坂の上には木島と伊藤がにこやかな(^-^)/顔をして待っている。
三人は無後のまま去って行った。
end
今日の平和な日本を作ってくれたのは紛れもなく我々のお爺ちゃんお婆ちゃん世帯の人たちが命がけで戦い日本を守ってくれたからである。そういった生きざまと戦後の堕落してしまった気だるさと生きていくことの辛さだが辛いだけではない長く曲がりくねった人生模様のその背中を、昭和の名優たちである三橋達也さん大木実さん青木富夫さんが魅せてくれました。静謐で穏やかな日常に忍び寄る霊感商法の罠❗これは私たちの日常にも起こりうることですが今や単なる詐欺集団や悪徳商法だけでなくアポ電強盗なんてもっとお年寄りの方の平穏を脅かす凶悪な連中もいるくらいである。全部の爺ちゃん婆ちゃんたちがこんなに強くて勇敢なわけではないので、全くもってお年寄りの方々にはもう安心して電話を取ったり家にいることすらままならない物騒な世の中になってしまっています。
もうこの主役の三人は鬼籍に入られて久しいですが天国でこんなになってしまった日本を嘆いていることでしょう?
暗い話になるのか?と説明やあらすじだけだとおもうかもしれませんが、映画全体のトーンはそんなに重苦しくはありません。人生を静かにまっとうしていくご年配の名優方と今を生きる後生の世帯の煩悩と問題をうまく絡めた見事な演出であります。静枝役の内海桂子師匠のセリフはグッときますよ☺️
最後の全てをかたをつけるためにユートピアコーポーレーションに乗り込むそのバイオレンスは「トウィンクル・トウィンクル・キラー・カーン」のようで爆発的で突拍子もないようにも見えますがそれに至るまでの悪徳商法連中の胸糞悪い所業を見るとそうでもしてもおかしくもないかもしれません。この映画がやった30年くらい前から比べるとお年寄りを狙った悪辣な連中は手口がもっと巧妙化して未だに無くならないですので油断なさらずに暮らしてほしいです。
もうすぐで春が訪れそうな日中は暖かいくらいになってきました。花粉症の方には辛いですが、体調を崩しやすくなる季節の変わり目を慎重に楽しんでお過ごしください(*^^*)