ビヨンド(1981) | とし104の気ままに映画プログ2

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ブログの説明を入力します。B級な映画や主にホラー映画を自分の独断と主観でupさせていただきます♪そんなに投稿マメではないですが、よろしくお願いします。





滑走路みたいな道路に佇む盲人の謎女と一匹のシェパード?!それだけでも絵になりますが……………………………





ルチオ・フルチの一部では最高傑作ではないか??!!との呼び声も高い本作ですが…内容ははっきし言ってあまりうまく説明出来ません。メチャクチャのハチャメチャで支離滅裂、でもスプラッター描写だけは「サンゲリア」、「地獄の門」にもひけをとらない気合いが入ったフルチ絵巻が展開されます。




1927年のアメリカ、ルイジアナ州のどっかのホテルでの出来事・・・
過去映像ということなのでセピア色っぽいモノクロ映像で映されています。
霧に煙る不気味なホテルに松明を手に取った男たちが物々しい表情でホテルに集結してきます。ホテルの一室で黙々と地獄の絵を描いているのか?何やらかにやらを製作しているのか?作業している男シュバイクがいる。彼の傍らに置いてあるのは「エイボンの預言書」果たして一体何を意味するのであろうか?????

背景がいきなり変わってチャンネーがエイボンの預言書を読み上げる。

「この言い伝えははるか4000年も前から密かに伝えられて来た」
「七つの呪いの地に地獄への門が隠されている!! 知らずして近づく者に災いあれ!!」
「地獄の門を開けちゃうDQNな輩に災いあれ!! 開けたら最後!世界は悪に染まっちまうやろ~」と読み上げられる。
そしてカンターレのような荘厳な音楽とともにオープニングになります。

シュバイクのもとに殺到する村人たちは、ホテルに踏み込むと、シュバイクの滞在する部屋のドアを蹴破り、中に踏み入ります。驚いているシュバイクに一人の男が「おまいのせいでこの村やホテルは呪われている?!不吉なヤローめこんちくしょう!!」とブルーザー・ブロディーばりのチェーン攻撃をくらわせる!!
たちまちシュバイクの皮膚は抉られ血ィィダバァァァ~モノクロ映像ながら赤い血肉の剥き出し具合とかはさすがフルチ節なグロい!いい感じです♪
チェーン攻撃でグッタリ虫の息のシュバイクを地下室に連行して壁にキリストのように磔にします。手首に深々とくい込む鋲が痛々しいです!苦痛のあまり悶絶するシュバイクに熱々に熱した石膏みたいなとろろ芋みたいな溶解液をぶっかけます!!
たちまちシュバイクは皮膚が爛れとろけてボロボロの見る影もないドイヒーな溶けかけの飴細工みたいなお化けみたいな姿になってしまいます!!





それから時は流れて1981年になり、すっかり荒れ果てた廃墟と化したこのホテルを遺産として相続することになった薄幸のボンビーガールのライザ(カトリオーナ・マッコール)は人生どん詰まりからの再起をかけて、このホテルを修復リフォームして営業を再開することを計画していた。

にこやかに談笑していたライザ(話題のダイエットのライザップみたいな名前ですが違いますよ♪)は塗装工のアンちゃんに「頑張ってね~」と声をかけるが…塗装工のアンちゃんは壁の隙間からこちらを覗く謎の白目に驚いて高い足場から転落して頭を打って瀕死の重傷を負ってしまう!!

医者を呼ぶライザだがアンちゃんは「眼が…眼が………」とうわ言のように呟く。
茫然とするライザたちに36号室のベルがけたたましく鳴り響く!
「おかしいな?電気は通ってないんはずなんやけど~」と思いつつも今更、工事を中断することは出来ないので、お次は水道を復旧させるため水道屋のオヤジのジョーに水びだしのプール状態の地下室を見てもらう。「何じゃこりゃ?」な池みたいになっている地下室を足を進めて水がチロチロ溢れ出している壁を見つけて、その壁をハンマーでガッコンガッコンやると水漏れのせいで朽ち果てているのか?簡単に砕けて中が剥き出しになる。そ~っと覗いて見てみると………中から「ヴォォォォ~」と低い唸り声とともにミイラ化したボロボロの腕がぬ~っと伸びてくる?! そしてジョーの顔を鷲掴みして握力自慢の人がリンゴを握り潰すかのようにジョーの顔をグチャッと握り潰します!!(○_○)!!ま~なんと言う怪力なんざんしょ?!?! しかもジョーの顔から目玉がポロッとこぼれ落ちます!


「サンゲリア」や「ザ・リッパー」でも魅せたフルチの目玉攻撃へのこだわり描写は今回も健在です。


後から地下室を見に来た家政婦?召し使い?のオバハンが目を潰されて落ち窪んだ顔をしたジョーの遺体と水面からヌォォ~っと浮かび上がってくるミイラ化したおそらくシュバイクのミイラを発見する。

ジョーの遺体と謎のミイラは病院へと運び込まれる。ジョーのかみさんとおさげ髪の娘が父ちゃんの亡骸と対面する。病室で悲しみに暮れる2人にも容赦なく怪奇現象が襲い来る! 何故だかジョーの遺体のそばで付き添っていたかみさんの頭上にドリフのコントの洗面器のようにいかにも不安定そうな高いところに硫酸の入ったビンが無造作に置かれていて、かみさんに降りかかる!!


普通だったら苦痛でのたうち回りそうな気がするんですが、かみさんは硫酸を顔面に浴び続け顔を段々と溶かされていきます!皮膚がボロボロに蕩けてきて、血がプシュ~っと吹き出しています。流れ落ちた硫酸はかみさんの鮮血と混ざり大きく泡のようになり、あたかも意思を持った宇宙アメーバみたいなドラクエのスライムみたいな生命体のようにおさげ髪の娘っ子に迫ってきます!!

娘っ子は母親の無残な死に様を為すすべもなく見せつけられて、スライム硫酸から逃げようとドアを開けると……無数の顔面がわかりやすく爛れたゾンビオジサンたちに包囲されていて「ビヮヮヮヮヮヮ~」と絶叫する!!


一方のライザは車を走らせていると…………道路の真ん中を盲導犬のシェパードを連れた謎の盲人のエミリーと出会う。
エミリーは不敵に笑うと「おまいあの廃墟ホテルに来た人でしょでしょ?あちきはその隣に住んでるエミリー言いますねんよろしゅう」とあたかもエミリーを知っているかのような態度を取る。初対面なのに…
エミリーは続けて言う「あのホテルからは一刻も早く立ち去った方が身のためやねん!」とホテル再建へ前途多難なライザを見透かすかのように囁きかけてくる。


このいかにもな怪しげな女エミリーに招かれて、エミリーの家へ行くライザ。
「エミリー。何で?ホテルを手放せと言うの?」
「理由は言えへん。とにかく今すぐ出てくんやで~ 言う通りにして!」
と忠告するエミリーに戸惑いながらも、何を今さらジローなライザにそんなことは出来ない。



ライザはジョーの検死を行った医師のジョン・マッケイブ先生と親しくなり、ジャズの流れるオサレな店で一杯やる。ライザは彼に自分の経歴を語り、ホテルを一刻も早く改装して営業を再開したいのだけど部下?のマーサ(オバハン)とアーサ(オジサン)もあんまし役立たずで遅々として進まないねんと言う。
そんなジョンに電話が入り、おさげ髪の娘っ子リズが病院でおっかさんまで亡くしてしまい、ジョーとマリーアンの父ちゃん母ちゃん両方の葬式となってしまう。

シスター?か親戚か?わからないチャンネーに「辛いけどこれから頑張るのよ」みたく抱きすくめられるリズが伏し目がちな目を上げると・・・・・


今回のキーワードはこの白目でしょうか?





ライザは夜に再びエミリーの家に招かれる。
「あなたがモタモタしてるからホントのことを教えるわ~」
「60年前、このホテルからいた人たちが忽然と全員消えてしまったの……」
「この36号室に閉じこもっていた画家のシュバイクが鍵を見つけたのよ!」

「鍵って何?」とライザが訊ねると……

「地獄への入り口の鍵よ(爆)!!この部屋は地獄へと通……」
とここまで核心のことを言ったかと思いきや急に「そこにいるのは誰なの?!」と一人芝居を始める電波系な人に変わったかと思ったら手を血で染めて怯えるように盲人なのに犬を放っといて走り去ってしまう。

「エミリー。あちきがニューヨークで学んだことはシュバイクか何だか知らないけど幽霊なんて亡霊なんてこの世に存在しないってことやねん」とばっさり否定する。
ライザは単身で閉ざされた36号室を調べると部屋には古ぼけた本が置いてある。手に取ると『エイボンの預言書』と書かれてあった。すると部屋の中でいきなり雷鳴が轟き、壁に磔にされた溶けかけシュバイクが姿を見せる!!!!!!

「ギョヘェェェェェ(;゜∇゜)~」と部屋から慌てて逃げ出すと訪ねて来たジョンに「どげんしたと?」と訊かれる。
もう一回2人で36号室に入って見ると磔のシュバイクの姿は消え失せていて、エイボンの預言書もどっかいっちってて、壁に打ち込まれた釘だけしかなかった???
首をかしげるライザ。
ライザはジョンに隣家のエミリーにこのホテルのいわれを教えてもらったと伝えるが…ジョンは「誰?それ?そんな人いないよ」と言われてしまう。ますますもってワケわかんなくなるライザであった。



ホテルの登記簿を調べるもう一人のライザの彼?パトロンみたいな男が図書館みたいなところで調べていると…またもや雷鳴が鳴り響き、脚立からビックラこいて落っこちる。意識が朦朧として動けなくなっている彼の元にどっから涌いて出て来たん?
タランチュラ!がウジャウジャ大量に現れてパトロン男にたかり、男の顔をモシャモシャと食べてしまう!!!!!
男は目を覚ますが何でか??無抵抗で顔中をタランチュラに喰いあさられた挙げ句に舌を引っこ抜かれる!!




このくだりも実にじっくりと長くねちっこく見せる。秘密を探ろうとした者が抹殺されるのは当然のことなんだろうけど…あまりにも突拍子すぎてもはやイリュージョンのような話になっちまってるような気もします。

一人ホテルで片づけ作業をしていたマーサの前にもなぜだか??ジョーのゾンビが墓に埋葬されたはずなのに甦っていていきなり目の前に現れ、マーサの頭をムンズと鷲掴みして釘が飛び出ているところにグイッと押しつけてマーサは目玉がポロッと飛び出されて惨殺されてしまうのであった!!



一方で何かに怯えて走り去って行ったエミリーは部屋の片隅で愛犬を抱き抱えながらガタガタ震えています!
そして………「私はあなたの言われた通りにやったヮヮヮヮヮヮヮ~」

「答えなさい!そこにいるんでしょ?」

ハッとするエミリーは周りをド腐れゾンビたちにいつの間にか包囲されている!!
「シュバイクね? 嫌よ!私は戻りたくない?!あそこにはもう帰らないわ~もうほっといてちゃうだい!!」と絶叫する!!
ド腐れゾンビが今まさにエミリーに襲いかからんとする時、愛犬ディッキーが果敢にゾンビに飛びかかる!ゾンビの役者さん身体は腐れてるのに犬とじゃれあう腕はやけに血色がいいのは何故??
「お利口さんだったわねディッキー」とゾンビを追い払った愛犬をエミリーはナデナデしていたら…ディッキーは突如、エミリーの喉笛を喰い千切る!!


あっと驚くタメゴロー!?


こうしてストーリテラー的な重要な役割を担っていたと思われるエミリーまでも死んでしまう!!!


ホテルに戻ったエミリーは地下室を探っていると…いつの間にやらゾンビ化したアーサが背後からいきなり襲いかかってくる!
そやつを何とか振り切って逃げる。
地下室なのに何でか?嵐のように大雨が降り注ぎ、強風が吹き荒れ立っていらんなくなるぐらいになる!!
上階に逃げてきたライザに電話が繋がらなくて心配して駆けつけてきたジョンが助けてくれる。車に飛び乗り病院へと走らせる。結構都会なとこにあるはずの病院なのに市街地を走行していて人っ子一人いなくなっていることに気づく!!

 「病院には同僚のハリスが待ってるから~」と車を急がせ、病院に着く2人。

「私は医師だ!非科学的な超常現象など信じないぞ~」と机の引き出しからピストルを取り出すジョン。心配そうに見守っているライザの背後の窓ガラスをぶち破ってゾンビ軍団がライザの髪の毛を鷲掴みする!!


いつしか?地獄の門は開放されてしまったのであろうか?病院内はゾンビどもに占拠されていて2人は逃げ惑う。ロメロの定義するゾンビと同様に動きはとてもスローモーで緩慢な動きだ!でもジョンは最初はお約束でゾンビに銃弾をお見舞いするが倒せない。銃弾の一発がドタマに命中してようやく弱点が頭を撃ち抜く事と気がつく。



ノロノロゾンビと攻防している最中、ジョンとライザははぐれてしまい、ライザは霊安室で一人で震えているリズを発見して助けてあげる。リズは恐怖で押し黙ったままなのか?終始無言である。
ジョンはカーテンにくるまって隠れていた同僚のハリスを見つける。ハリスにどうしたのか?訊ねるがハリスも「訳ワカンネ~ッスいつの間にかゾンビダラケになっちまったから隠れ潜んでいたんだヮヮヮヮ~」と怯えきっていてまるで役に立ちそうもない。しかもハリスはジョンが閉ざされた扉をピストルで撃ったら割れたガラスが何故かの?強風で顔に突き刺さりあっという間に血まみれになって死んでしまう!!登場してから3分ともたずにぶっ殺される哀れな役回りに合掌(´д`|||)もんです。



一旦はぐれたライザとジョンですが再び合流してリズも含めて病院内を逃げ回ります。ジョンとライザはドアを開けると満を持してシュバイクのミイラらしき親玉っぽい?いい感じに腐れてるヤローがノソノソッとこちらに迫ってきます!!!!
しかしジョンは弱点の頭を撃たないで腹や心臓の胸の辺りばかりバンバン乱射して撃って結局弾切れになって2人して逃げます!こいつは学習能力ないんか(^_^;)なバカさ加減に呆れます。

ライザに着いて怯えきっていたかのようにしていたリズが苦しみだし顔を上げると………やっぱりゾンビ化してライザに襲いかかろうとする!!
しかしリズゾンビはジョンに一発で頭部をぶち抜かれて敢えなく倒される!!


よくジャケットや宣伝の画像で一番使われている頭部吹っ飛ばし切り株シーンですわ。




ゾンビの何体かは額を撃ち抜いてぶっ倒すのですが…あまりにも大勢いすぎて多勢に無勢で2人は螺旋階段を下に降りて逃げます………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

しかし病院の地下に降りたはずなのに?降り立った場所はホテルの地下室?!?!に戻っている?!ワープトンネルでもあるんでしょうか??

目の前に広がるその景色は………あのシュバイクの描かれていた地獄の図にそっくしな光景が寂寥菅たっぷしに果てしなく無限に広がっていた!!!!!!!!




あんぐりと口をポカーンとさせることしか出来ない2人。元に来た道を退却しようとするが…階段は無くなっている!!
神話で描かれる黄泉の国のような…ダンテの神曲で語られる地獄のような荒涼とした無限の世界が広がっているのであった。

「汝は暗き海に向かい、とこしえにさまよわん」





ルチオ・フルチはこの映画の脚本も手掛けたそうです。物語やストーリー性を追求したらとことんダメダメのグダグダなんですが…もうこの際そういうのは一切シカトして、溢れんばかりのイマジネーションと残酷ゴアスプラッターで最初から最後まで突っ走った不条理ホラーファンタジーかと思えば…「ブレインデッド」や「バタリアン」や「デモンズ」と同様に楽しく観れるんじゃないでしょうか??

これぞルチオ・フルチクオリティーとでも言うべきか?「サンゲリア」以降段々とトーンダウンしてると言われているフルチの映画ですが、わたくしはおそらくこの「ビヨンド」まではノリノリのイケイケの創造で撮り続けたのでは思っております。ちなみに主演のチョイ熟女のカトリオーナ・マッコールさんは美人でボインなんですが…かつては1979年に(サンゲリアもほぼ同年か?)「シェルブールの雨傘」でカンヌを総なめにした巨匠ジャック・ドゥミが撮った実写版の「ベルサイユの薔薇」に主役のオスカル役に抜擢され、資生堂のキャンペーンガールにも選ばれ、スクリーンやロードショーなどの映画雑誌の表紙を飾るくらいの売れっ子スターだったらしいです。しかしこの栄光の後はフルチにスカウトされたのだろうか?「地獄の門」「ビヨンド」「墓地裏の家」と立て続けに三作に主演し変顔スクリーミングクイーンと化しています。

観る人の思考をビヨンド(越えちゃう!!)するブッ飛びゾンビ映画。とってもオモローでお薦めします?♪(*^^*)