ホワイトドッグ 魔犬 | とし104の気ままに映画プログ2

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ブログの説明を入力します。B級な映画や主にホラー映画を自分の独断と主観でupさせていただきます♪そんなに投稿マメではないですが、よろしくお願いします。



これは…非常に問題作ッス。


原作はロマン・ギャリー、監督はB級なのから、社会派っぽい作品まで幅広いサミュエル・フラーです。 ビデオレンタル全盛時にホラー映画コーナーの片隅にポツンとあって、「クワッ」と牙を剥き出しにした怖い表情は動物パニックものかとも思われがちですが、実際はもっと深淵な寓話的な心に突き刺さる物語です(-.-)

新人女優のジュリー・ソイヤー(クリスティ・マクニコル)は夜、車を運転中に丘の辺りで白い大型犬、よく見たらシェパードを跳ねてしまう! こりゃ~大変と慌てて獣医のところへ運んで行く。

幸いにも?犬は助かり、飼い主も見当たらないのでジュリーが一時的に飼うことにする。みるみる回復してきて、「きょうのわんこ」みたいな可愛らしい一面もみせます。彼氏のローランンドといちゃついているときに乱入して顔をベロベロ舐めたり、ソフトバンクのCMの白犬にも被ってかわいいッス。

そんなある日の深夜にジュリーの家に強盗が侵入する! 必死に抵抗するジュリーを「騒ぐとぶっ殺すぞ~」と脅す。震えて固まるジュリーに目覚めたわんこが猛然と襲いかかる!! この隙に警察に電話して辛うじて助かるジュリー。「命の恩人だわゎゎ~ありがとう」とわんこを抱きしめる。白い犬に着いた真っ赤な鮮血が怖いッス(°Д°)

わんこは黒い野うさぎを追いかけていってどっかへプチ家出してしまう。保健所などを探してみるが見つからず途方にくれるジュリーだったが、夜とことこ家に血まみれで帰ってくる!!「お~よしよし怪我したんかい?」と身体を洗ってあげる。
でも白わんこは実は黒人のトラックドライバーを襲って大事故を誘発させていたのであった((((;゜Д゜)))
ジュリーは今日はCMの撮影日。 黒人女優と一緒に行う予定であった。 わんこは仕事現場の隅っこで大人しくしてたかと思ってたら…黒人女優を見た途端に、牙を剥いて表情も変わり、縛り付けているリードごと怪力で引っ張って外して黒人女優に襲いかかります。 哀れ黒人女優は重傷を負ってしまう(ToT)

ようやく、このわんこはちとオカシイゾ~と気がついたジュリーは白わんこを動物調教施設の「ノアの方舟」(なんとも意味深なネーミングやね~)に連れていく。 施設長のカラザスにわんこを診てもらう。
人に噛みつかないよう口に輪っかを装着しています。まるで「ハンニバル」や「羊たちの沈黙」のレクター博士みたいっす。
ドーム状の檻に連れてこられた白わんこくんは黒人の使用人にいきなり襲いかかる!! カラザスはそれを目の当たりに見て「ホワイトドッグだ!」と叫ぶ。「ホワイトドッグって?色白いけど~?」「色のことじゃなくて~ その昔、黒人の奴隷が脱走したのを捕まえるように開発された攻撃犬のことなんだわゎゎゎぁ~」 驚愕するジュリー。 そこに悠然とやって来る黒人の調教師キーズ(ポール・ウィンフィールド)!!「ホワイトドッグとは聞き捨てならんな~」「こいつは5週間で再調教して元のかわいいわんこに戻してやる~」と並々ならぬ気合いと執念を燃やす



この映画の後半からはこのホワイトドッグを如何にして正常な犬に戻そうと奮闘するキーズと白わんこの命懸けの体当たり調教が話の肝となります。


こうして、キーズによってこのホワイトドッグ矯正プログラムが開始される。 キーズはキャッチャーみたいなマスクをつけて厚手の生地の皮の鎧みたいなのをまとったモビルスーツみたいな格好をしてホワイトドッグと格闘します。わんこが噛み疲れはてるまでやって噛みつくのは無意味なのを調教します。続いて餌やおやつをあげるのもキーズだけ(黒人だけ)に徹底してジュリーがハンバーガーをあげようとするのを激怒して止めさせます。白わんこに対する黒人の信頼を得るまでこれを続けます。そして何とか素手で触って頭を撫でたり餌やりが出来るぐらいまで慣れてくる。 ある夜、ホワイトドッグの檻の屋根がほころびているところから脱走してしまう!
そして街をさまよう白わんこくんは黒人のオッサンを追いかけていって教会で噛み殺すショッキングな事件が起こる(TT) その前にわんこがフラフラ歩いているすぐ傍らで黒人の親子が戯れていて、もしかしてこのおやこが襲われちゃうのか?なドキッとさせる予兆を見せたり、サミュエル・フラーらしいエスプリの効いた演出も冴えます♪

オッサン黒人の死体を教会で発見したキーズはホワイトドッグを射殺したい気分を抑え込んで泣く泣く麻酔銃を撃ち込んでわんこを連れて帰る。 「もーう無理よ。この子はもう殺すしか殺処分するしかないわ~」と訴えるジュリーに「い~や絶対にコヤツは直しちゃる~」と執念を燃やすキーズ!「どうして白わんこくんはこうなったか??」「人種差別主義者がアル中かヤク中の黒人を雇って幼い仔犬の頃から虐待して育てる!!と成長して黒人に対する恐怖心と防衛本能から黒人だけを攻撃する、攻撃犬いや殺人兵器として生まれ変わってしまったのだ~」「犬の目には白と黒の見分けしかつかない」 必死の再教育プログラムを継続して、遂にキーズ以外の黒人が素手で餌やりをしたり頭を撫でたり出来るようになる。矯正プログラムは成功したぞ♪とジュリーに電話で伝える。 ジュリーは喜んで家からノアの方舟に行こうとすると、品のいい老紳士が可愛らしい孫娘2人を連れてニコニコ顔でやって来た。「いや~ど~もど~も。この度は犬を保護してくれてありがとうございます♪これはお礼のしるしです」と菓子折りを渡す。「張り紙を見てわかりました」ジュリーは「あなたがあの犬を育て上げたの~?」と尋ねると老紳士は「傑作でしょでしょ?」と得意顔で答える!!

ジュリーは激昂して菓子折りを叩きつける!!「あんたは自分の孫娘も歪んだ性格にする気かごらぁ~」「再調教は成功したんだぞこのタワケもんが~!!」と罵倒して急いでノアの方舟に向かう。
ドーム状の檻の中で、キーズが黒ボディーをさらけ出して白わんこくんは猛然と突っ込んで来る!!でもキーズに襲いかかったりはしなかった! 安堵の胸を撫で下ろすジュリー。白わんこくんを抱きしめます。やっと黒人への恐怖心と防衛本能を克服することが出来たのだ♪ 「よっしゃ~やったね~」と近づいてくると....再びグワッと牙を剥き出しにする白わんこくん?! この可愛い白わんこくんから攻撃するぞオーラむき出しの豹変する姿はホンマ怖いッス(°Д°)でも悲しい切ない気分にもなります。 今度は白わんこくんはカラザスに猛ダッシュで襲いかかり、からざすに大怪我を負わせます?!黒人を攻撃する攻撃犬から白人のメガネデブ(そう言えばカラザスと老紳士はどことなく似てるような感じ)に変貌してしまったのです(*_*;
泣く泣く銃を構えるキーズ!!

横たわるカラザスを介抱するジュリーとキーズ。その横でグッタリする白わんこくん(×_×)徐々に目を閉じていくのは胸をうたれます…

単なるB級動物パニックホラー映画を連想していたらほんとにマジに意表を突かれるいい意味で期待を裏切る隠れた傑作だと思っとります。単なる善悪二言論だけでは語れないアメリカに根強く残る人種差別問題など残酷なテーマを叩きつけてくれます。因みにアメリカでは上映禁止になっちまったそうです。