今回はアイスクライミングで使用する「アイススクリュー」の選び方と使い方ついての記事です。
※あくまでも私個人のおすすめですので正解ではありません。実際のご購入にはご一緒に山行するリーダーの方・ガイドさんなどのアドバイスを受けるとより確実だと思いますのであくまでも参考としてご覧ください。
※アイスクライミングは「雪山登山」と「クライミング」の両方の経験と道具が必要です。また、山行される際はベテランの経験者やガイドさんと同行されることを強くおすすめいたします。
アイススクリューとは
アイススクリューはアイスクライミンングで中間支点・ビレイ点・終了点での支点構築・V字スレッド作成などで使用します。メーカーによって長さ・材質・ハンドルの形状などは異なりますが使用方法についてはほぼ同じです。今回は私が所有しているペツルとブラックダイヤモンドのアイススクリューの写真や実際の使用例などの写真をUPいたしますので参考になれば幸いです。
ペツル「レーザースピードライト(旧モデル4本刃)」13cm・・・6本
ペツル「レーザースピードライト(現行品3本刃)」13cm・・・1本
ペツル「レーザースピード(現行品3本刃)」13cm・・・1本
ペツル「レーザースピードライト(旧モデル4本刃)」17cm・・・2本
ペツル「レーザースピードライト(旧モデル4本刃)」21cm・・・1本
ブラックダイヤモンド「ウルトラライトアイススクリュー」13cm・・・1本
ブラックダイヤモンド「エクスプレスアイススクリュー」13cm・・・1本
※ペツル「レーザースピード」「レーザースピードライト」は2020FWに4本刃から3本刃にモデルチェンジされています。
アイススクリューの選び方
現在、私が所有しているアイススクリューは合計13本。アイススクリューの長さは3種類(13cm・17cm・21cm)を中間支点・ビレイ点・終了点・V字スレッド作成用(アバラコフ作成用)に応じて使い分けています。
13cm(中間支点用・ビレイ点)・・・10本
17cm(終了点用)・・・2本
21cm(V字スレッド作成用)・・・1本
アイススクリューの長さと本数は登攀する滝の大きさや長さによって異なりますがアイススクリューのメーカーや種類は好みで選んでも良いのではないかと個人的には思います。
※私の場合、中間支点は基本的に13cmのみですが17cmをメインにする方も実際には多くいます。
アイススクリューの使い方
私の場合は基本的にアイススクリューを下記のように使い分けています。
13cm・・・中間支点
17cm・・・終了点
21cm・・・V字スレッド作成用
中間支点は13cm
終了点は17cm
薄氷(ベルグラ)の時は13cmでもアイススクリューが入りきらないこともあります。10cmを使う方もいると思いますが私の場合はスリングをガースヒッチ等で支点構築しています。
V字スレッド作成用は21cm
長さ10cm以下という選択肢
長さ10cm以下という選択肢もありますが各メーカーの説明書や注意書きを読んでから購入することをおすすめします。
※ブラックダイヤモンド「エクスプレスアイススクリュー」に引抜強度10kNの10cmあり。
※ペツル「レーザースピードS」に10cmという選択肢もありますが引抜強度が10kN未満のため「個人用保護具ではありません」とカタログ記載
※カンプに9cmと7cmのアイススクリューあり ※EN規格の認証はありません。と記載あり
アイススクリューの必要本数
アイススクリューは1人で必要本数を揃えると金額も大変なので同行する方が使用しているアイススクリューの種類・長さ・本数をある程度は知っていた方が良いと思います。
あくまでも参考例ですが八ヶ岳の「大同心大滝」の場合はこのように使用しました。
13cm(中間支点用・ビレイ点)・・・7本
17cm(終了点用)・・・2本
21cm(V字スレッド作成用)・・・1本
※私の場合、中間支点は基本的に13cmのみですが17cmをメインにする方も実際には多くいます。
人気のアイススクリュー
アイススクリューの購入を考えている方は下記の4種類の中で考えている方が多いのではないでしょうか?
今回は人気のアイススクリュー4種類の写真等を記載しますのでこれからアイススクリューの購入をお考えの方にとって少しでも有益な情報となれば幸いです。
左から
ペツル「レーザースピード」 ※スチール製・3本刃
ペツル「レーザースピードライト」 ※アルミ製・3本刃
ブラックダイヤモンド「エクスプレスアイススクリュー」 ※スチール製・4本刃
ブラックダイヤモンド「ウルトラライトアイススクリュー」 ※アルミ製・4本刃
ペツル「レーザースピードライト」とブラックダイヤモンド「ウルトラライトアイススクリュー」の比較
参考までに人気のアイススクリューのペツル「レーザースピードライト」とブラックダイヤモンド「ウルトラライトアイススクリュー」の比較です。
素材自体はかなり似ていますが大きな違いは3本刃と4本刃の違いです。
※ペツル 「レーザースピードライト」・・・3本刃
※ブラックダイヤモンド「ウルトラライトアイススクリュー」・・・4本刃
ペツル 「レーザースピードライト」
ハンガー・・・アルミニウム
本体・・・スチール(ステンレス)
先端・・・スチール(ステンレス)
13cmは91g 強度10kN
ブラックダイヤモンド「ウルトラライトアイススクリュー」
ハンガー・・・フォージドアルミニウム
本体・・・アルミニウム
先端・・・ステンレス
13cmは74g 強度10kN
写真左・・・ペツル「レーザースピードライト」
写真右・・・ブラックダイヤモンド「ウルトラライトアイススクリュー」
※ペツルのアイススクリュー全製品は2020-2021シーズンから4本刃から3本刃に変更されています。
太さ(外径)はどちらも約20mmですがネジ山の形状のせいかブラックダイヤモンドの方が太く見えます。
刃先の形状は似ていますがネジ山の形状は全然違います。
ブラックダイヤモンドの方がなんとなく効きが良さそうに見えます。
ハンガーとハンドルノブの形状は好みになってくると思います。同じ13cmならどちらもハンドルノブがイエローになっているいう点は分かりやすいです。
ペツルは開閉共にゆっくりな感じ。
ブラックダイヤモンドは閉めるときはパチンって閉まる感じ。
ペツル「レーザースピード」とブラックダイヤモンド「エクスプレスアイススクリュー」の比較
参考までに人気のアイススクリューのペツル「レーザースピード」とブラックダイヤモンド「エクスプレスアイススクリュー」の比較です。
素材自体はかなり似ていますが大きな違いは3本刃と4本刃の違いです。
※ペツル 「レーザースピード」・・・3本刃
※ブラックダイヤモンド「エクスプレスアイススクリュー」・・・4本刃
ペツル 「レーザースピード」
ハンガー・・・アルミニウム
本体・・・スチール(ステンレス)
先端・・・スチール(ステンレス)
13cmは128g 強度10kN
ブラックダイヤモンド「エクスプレスアイススクリュー」
ハンガー・・・ステンレス
本体・・・クロモリ
先端・・・ステンレス
13cmは134g 強度10kN
左・・・ペツル 「レーザースピード」
右・・・ブラックダイヤモンド「エクスプレスアイススクリュー」
ペツル「レーザースピード」と「レーザースピードライト」の比較
ブラックダイヤモンド「エクスプレスアイススクリュー」と「ウルトラライトアイススクリュー」の比較
参考までに人気のアイススクリューのブラックダイヤモンド「エクスプレスアイススクリュー」と「ウルトラライトアイススクリュー」の比較です。
どちらもブラックダイヤモンドの製品なので本体の溝や先端の4本刃の形状は同じです。大きな違いは本体部分(チューブ)の素材がスチールとアルミの違いです。軽さを求めるならアルミ製の「ウルトラライトアイススクリュー」になると思います。
アルミとステンレスはどっちの方が効きが良いのか?
ペツルのHPには「水分量の多い氷などに対しては、ステンレスチューブを採用したレーザースピードの方が比較的効率よくセットできることがあります」と記載されています。
実際のアイスクライミングの現場でアイススクリューの効き具合を何度も試したことがあるのですがアイススクリューをセットする箇所が10cmもズレれば氷の状態が大きく変わることが多々あるため同じ条件で比べることが難しいので実際の効き具合の優劣を判断するのは非常に難しいです。
私は個人的にはアルミとステンレスはほぼほぼ同じで大きな差は感じられないと思ってますが地域や氷の状態によっては明らかな差が出るところもあるようです。
そのため、材質・長さにとらわれず強固に支点が取れるところに打つようにしたり、それなりの本数を使用するようにしています。
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