小説「神田 直子/ようこそ!私の奇跡」第42話(お下品な参列者) | ひでおん

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2023年8月より、童話に続けて小説を投稿し始めました。
他にも時事問題から、くいしんぼ、ドラマや映画や音楽、タクシー日記に趣味の話しなどアップしていきます。
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適当によろしく~

神田直子(37)は中国出張からの帰国便で大事故に遭ってしまい、ひと月もの昏睡状態から奇跡の生還を果たすことが出来た。

 

目覚めた直子は高度な読心術と電撃能力を手に入れていた。

そして自身の体の中を出入りする宇宙人のバモスとテレサとのドタバタ生活が始まったのだ。

 

これは、愉快痛快! ポンコツ物語なのです。

 

 

金支社長は小さいグラスに入った冷酒を飲み干して直子を見つめる目はトロンとしている。

 

(喪服を着たナオコのうなじ……ものすごく綺麗ある……その帯をくるくると回してほどいてやるぞ~)

 

(し、社長、や、やめて、ください……)

 

(いいじゃまいか…… もう旦那のことは忘れるんだナオコ! 今からお前はわたしの物だぞ! ほれ~ くるくるだ)

 

(あ~れ~)

 

(ぐはははははは~)

 

(もう、酔ってるの……まあ、心の妄想なんだから今日は許してやるか……)

 

 

 

「神田 直子/ようこそ!私の奇跡」

第42話 (お下品な参列者)

 

 

 

まもなく最後のお別れの宴が終わりに近づいていた時、会場の扉が突然開きとても背が高い外人が入って来た。

 

「ごぶれいします! やっとかめ~ めちゃんこ、探したがや~」

 

大きな声で名古屋弁を話し、身の丈が2メートルを越える大男がいきなり登場すれば会場にいる全員がびっくり仰天である。誰しもがこの男は場所を間違えて入ってきたのかと考えた。

 

そう、この大男はご存知のジニキタである。

 

正志が亡くなった時に、警察官に成りすまして直子のマンションへとやってきたアラヤダ星人でバモスとテレサを追ってきた刺客なのだ。

 

金社長に冷酒のおかわりを注いでいた直子は、驚きのあまりに手が止まったままとなり、社長のグラスは溢れたままに足される酒でテーブルは洪水状態になっていく。

 

「ナオコさん、どうしたあるよ?」という金の言葉には反応せず、マンションでの惨事を思い出している直子は顔が青ざめている。

 

ジニキタはテーブルの料理を眺めテレサの後ろに回ると肩越しに皿に載った水羊羹を見つけ、長い人さし指をつま楊枝代わりに突っ込むと、そのままペロリと大口に放り込んだ。

 

むしゃむしゃと味わっていたかと思うと、カッと目を見開いてからゴクンと喉を鳴らして言った。

 

「これは……で、でぇらうみぁ~ こんなの食べて、おみゃ~らこっすいがや」

(もの凄くうまい、こんな物を食べて、あんた達はずるいよ) 

 

さらにジニキタは冷酒が洪水となって床に滴(したた)り落ちそうになっているのが目に入るとテーブルの角に大口を押し付け、ズズッ、ズズーーッと一気に吸い込んだ。

しかも長い両手を重いテーブルの下に差込み、こちら側に流れるように反対側を軽々と持ち上げていたのだ。

 

座っていた人たちは、あわてて重箱やグラス等がテーブルから滑り落ちないように押さえている。

 

「ぷっはははは~の~うひょひょ~い 五臓六腑に染み渡るぎゃ~」

と唾を撒き散らして喋(しゃべ)る男。

 

イケメン外人だが、超下品な男の異様な行動に、同じテーブルにいる桃香、彩、マスターの時田と金支社長は、ぽかーんと呆気(あっけ)にとられていた。

 

もちろん、両親、儀両親を始め親戚一同は立ち上がり(誰だ! あいつは?)(また変なデカイ外人が現れたぞ)(一体この葬式はなんなんだ!)(お下劣ねえ~)(ハンサムだね~)(ダサいわね~)等と、ざわついている。

 

ガタンと音を立て、血相を変えたバモスが立ち上がると、直子が言った。

 

「バ、バモス! お願いだから止めて! 正志との最後のお別れの席なのよ」

 

「ぐっ……」と稲妻を打つ構えをしたが、その一言に従いジニキタを睨んだまま緊張が走った。

しかし、ジニキタ当人は眉を下げ困った感じの表情である。

 

「ジニキタさん、あなたも止めてください! ここは地球の……日本の神聖なる場所なんです」

と直子が言うとジニキタはニコッと笑い、さっと懐(ふところ)に手を入れると抜き出した物は、なんと茶封筒に下手糞なひらがなで、『こうでん じにきた』と書かれていた。

 

それはぶ厚く、置かれたテーブルに直立していたのだ。

 

「ワ、ワシは何も悪いことはしにゃーよ。だからこうして、香典も持ってきたがや」

 

「ぼ、僕らの命を奪いに来たのじゃないのか?」

 

「最初はドンビキ軍の命令で地球まで追っかけてきたがや、そんでも部下はみんな死んだわ。ぜんぶ生成AIの仕業だぎゃよ、どえりゃ~とろくせいゃ~、そんでお前たちを殺す意味なんてどこにもねぇことに気がついたんだがね」

 

「うい~ ジニキタ~ あんたはえらい~」とテーブルに打っ伏せたまま、寝言を言うテレサだった。

 

「アラヤダ国へはもう帰れない…… だから同郷のふたりとは仲良くしたいぎゃ」

きゃんきゃんと吠えるエルにもジニキタは言った。

 

「アラヨ博士のとこにいたワン公かい? だいぶ年取った感じだがや、アラヤダ星にいれば長生き出来たのににゃあー」

 

 

43話へ続く

 

 

主な「登場人物」

 

 

神田直子:物語の主人公 37歳

神田正志:直子の夫

バモス:アラヤダ星人

テレサ:アラヤダ星人、アラヤダ国の王女

雷神バァルナ:一時はアラヨ博士が捕まえたが、とてつもない神の力に太刀打ち出来ず、ただ遊ばれただけだった。現在は冥界で閻魔代理としてアルバイト中。

キャバクラの美穂:新宿歌舞伎町のキャバクラ『でんじゃらす学園』にいたキャバ嬢

女神アフローネ:雷神バァルナのお姉さん

 

その他、もろもろ

 

 

おまけのはなし

 

「ここはどこ? 東京ですよ」

 

東京にある場所です。

どこか分かりますか

 

ヒントは新宿ですよ

 

答えは……

「新宿ナイアガラの滝」

と言っても知らない人は知らないけど。

 

西新宿は中央公園にあります。

 

滝を背中に向けて西口駅の方向を見ると、写真右側には都庁、

一番奥にある、だ円形で網のような建物は東京モード学園のビルですよ。

 

ひでおんはタクシー運ちゃんなので、この公園のトイレを借りたり、

路駐して休憩したりしてます。

 

この日は人が少ないけど、いつも皆さんはスケボーの練習をしたり、何かのイベントが

ある日は結構賑わってますね。

 

 

「小説を書いて」

 

「神田 直子」も 2023年8月の第1話(危険な帰国)から、あっという間の11ヶ月です。

 

今回で42話になり、文字数にして約75000文字を超えています。

 

本にすれば約90ページくらいで短~中編小説くらいですよ。

 

読み返すと我ながら面白いなあと思ってるんだけど……

愛着も沸きますね。

 

何かつじつまが合わないとか、ポンコツ盛りだくさんですね。

 

気持ち的には、もう少しで終わりにしたい。

長くても年内までには完結にします。

 

そして次の作品も掲載したいです。

 

 

作者からのお礼とお詫び

 

 

コメントありがとうございます。元気と執筆パワーを頂けます!

 

小説「神田 直子」は作者の怠慢から、いつ掲載出来るかわかりません。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

 

 

では、では 次回まで