村井秀夫刺殺事件の真相を追って -26ページ目

村井秀夫刺殺事件の真相を追って

村井秀夫は何故殺されたのか?徐裕行とは何者なのか?
オウム真理教や在日闇社会の謎を追跡します。
当時のマスコミ・警察・司法の問題点も検証していきます。
(2018年7月6日、麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚らの死刑執行。特別企画実施中。)

●日本テレビの失態…謎の羽根組若頭補佐A

1995年7月16日。日本テレビ系「報道特捜プロジェクト緊急検証!」は村井事件で逮捕者を出し、解散した羽根組の”元幹部”を出演させ、事件の真相に迫った。


「報道特捜プロジェクト緊急検証!」(95年7月16日放送)

映像の前半部分はネット上に投稿され、誰でも視聴することができる。
ところが番組中盤、羽根恒夫元組長の抗議が入りゲスト全員が唖然とするハプニングが起きた(詳細は後述)。



●動画内容



ナレーター「捜査当局やマスコミ注目のまっただ中で刺殺された村井幹部。事件から3ヵ月が経とうとしている今なお真相は闇の中である。

現行犯逮捕された徐被告の背後に広がる、巨大な闇。
それを追う取材班の前に、一人の男が現れた。」



若頭補佐「依頼されとった社長の名前ですか?その名前私聞いてますよ」

ナレーター「事件の核心を知る男、A氏。彼は今日この番組に生出演!
真相を全て明らかにする!」

辛坊治郎司会「さて、実は今日のテーマの一つであります村井幹部の刺殺事件なんですけれども、まぁ今日は逮捕状が執行されます松本サリン事件でもね、重要メンバーとして名前が挙がっているんですが、それだけにこの人は殺されたということで、ここに大きな今後障害が出てきそうなんですけれども、実は今日、生で証言をいただく…方、このAさんなんですが、このAさんは、今回真相を知る人、ということで、ちょっと回線が繋がってます。」

司会「Aさん!」

若頭補佐「ハイ?」

司会「えーどうぞよろしくお願い致します。」

若頭補佐「どもー」



司会「で、このAさんっというのはどんな方なのかというのをちょっとこちらで紹介しようと思うんですが、山口組の傘下でありました羽根組の、No.3でいた人です。
えー若頭補佐という立場であった人なんですが、今回の事件では、村井幹部は徐被告に刺殺された、これは目の前で行われてますから、これは本人も認めてますね。で、上峯被告が命令したと徐被告は告白している、Aさんは実はこの上峯被告に事件の直後に事件の全貌について話を聞いていると…いうことなんですね、Aさん!」

若頭補佐「ハイ」

司会「ずばりお伺い致します」

若頭補佐「ハイ」

司会「貴方は今回の事件について何処までご存知ですか?

若頭補佐「んー全てですかね」

司会「全てご存知!」若頭補佐「ハイ」

司会「背景を含めて全てご存知ですね、その全てを今日語ってくださいますか?」

若頭補佐「…そーですね、ハイッ」

司会「そうですか」若頭補佐「ハイ」

司会「えぇ、それでは順を追って今回の事件、村井幹部刺殺事件を見てまいりたいと思います。」

鷹西美佳アナウンサー「はい。VTRどうぞ。」


ナレーター「4月23日午後8時半。村井秀夫幹部が刺され死亡した。逮捕されたのは山口組系羽根組組員、徐裕行被告。当初彼は右翼団体神州士衛館の構成員を名乗っていた。

神州士衛館とは、その後殺人の共犯で逮捕された羽根組No.2、上峯憲司被告が作った、殆ど実体のない政治団体。

上峯被告による羽根組隠しの擬装工作であった。

ー擬装工作の真相ー

事件当日の夜、伊勢の羽根組本部にいたA氏に上峯被告から電話が入った。


(回答する若頭補佐。高英雄の通名も確認できる。)

若頭補佐「ミネ(上峯)自身から、電話あったんです。向こう…開口一番…テレビ見たかと。んー見たよと。とにかくあの、田中(徐裕行)いうんが、神州士衛館名乗っとるから、それから藤田(善勝)と、おまえー館長だからと、高山(高英雄)を通じて、去年の…12、12、12月でええと、日にちははっきり言わなくていいと…あのー紹介されて、(徐が)入りたい言うんで、入会させたと、それから米倉(米倉雅典)、村田、お前らは、それから藤田は知らん訳ですよ、徐ちゅうのは。」


(別件逮捕された米倉雅典の名前も登場。)

上峯被告の指令でA氏は神州士衛館幹部3人に伝えた。
それは「徐を神州士衛館の構成員だったことにしろ」というものだった。

若頭補佐「おそらくサツ(警察)行ったら、ねぇここで聞かれる部分あるから、俺が今言うたように、言えと。」

ナレーター「午前二時半、村井幹部は息を引き取る。」

上祐怒りの会見が流れる。

若頭補佐「三時前ですかね。私の携帯に事務所の方から電話が入った。伊勢の暴力(伊勢署の暴力団担当)が…連絡くれ言うてと…んですぐ電話入れたんですよ。えらいことやと、(村井が)死んでもうたと、それで私もびっくりしましたね。えぇ…往ってしまった、ああそうですかと。(警察が)聞きたいことあるっちゅんで今直ぐ来てくれと、ハイわかりました、って」

ナレーター「口裏合わせの工作を住ませたA氏は神州士衛館のメンバーを伊勢署に出頭させた。
しかし擬装工作は見破られ、ほどなく徐被告と羽根組の関係が明らかになる。そして羽根組は解散。」

若頭補佐「あれ(上峯)が起こした事件に対してですよ、あれ一人のために結果何十人ちゅんがけか、路頭に迷うしですか、ね、その件に関してはかなり……腹立ってるてゆうか、上手く言えないですけど」

ナレーター「明けて4月24日早朝、上峯被告が伊勢の羽根組本部に現れた。」

若頭補佐「24日の…6時ぐらいですか、(上峯は)意気揚々というですか。いつもは暗いゆうか、無口な方でしたがね。その日に関しては意気揚々というんです。…その、『どうやぁ』みたいな感じでね。ね、ニコニコニコニコしとったですよ。」

司会「つまり、どういうことかと言いますと、A氏はですね、上峯被告に頼まれて、徐被告が右翼の構成員であるというふうに証言してくれと、その右翼と地下で交渉している人物、Aさんそういうことになりますね?」

若頭補佐「そうですね」

司会「Aさんが指示を出した?」

若頭補佐「そうです」

司会「Aさんに指示を出すように言ったのは上峯被告なんですね」

若頭補佐「そうです」

司会「上峯被告は現在のところはですね、そういう容疑を全面否認している状況なんですが、
おれについてはどう思われてますか?」

若頭補佐「いや、その方面では全然私は感知していません」

司会「はー」

若頭補佐「ハイ」

司会「当然のことながらそれは嘘をついているという風に思いですよね?」

若頭補佐「そうですね」

司会「えー今日はやっぱり尋問の専門家でいらっしゃいます東京地検特捜部、えー元東京地検特捜部長の河上さんに来て頂いてます、河上さん、いかがですか?今回の証言。」



河上氏「んー、まぁあのー、何と言うか。全容をおっしゃってる訳ではなくてね、ごく一部だけですよね、今まで言われていることは。ですから、あのー、完全にはよく掴みきれないんですけどね。

司会「実際問題として上峯容疑者に直接話を聞いたとAさんはおっしゃっているわけですから、これは伝聞ではなくて証拠能力あります、ね?」

河上氏「いやいや、まぁあのー、Aさんが証人として出て、上峯被告がこうこう言ってたっていうのは、これは伝聞供述なんです」

司会「伝聞になるんですか」

河上氏「えぇ、伝聞証言です」

司会「ということは、それは裁判では有効にはならない?」

河上氏「いやいや、それはあのー、伝聞証言であっても、あと警察処方の321条とか22条でも細かなのがあるんですが、まぁ22条ですか、あのー、もちろん証拠としてとることは可能性はあるんですけどもね」

司会「なるほど、では証言としては極めて重要?」

河上氏「いや重要ではありますけれども、ただそれは要するに擬装工作を頼まれたと、ということだけですからね、それ以上に上峯被告が現実問題として、まぁ徐被告に対してどういう風な働きがけをしたのか、あるいは、あー、上峯被告に対して何人がどういう風な示唆をして、それを彼が、まぁ徐被告の方に廻したのか、それのところはまだ全然出て来ない訳ですね。証言では。」

司会「なるほど」 河上氏「ですね」

司会「Aさん、そのー上峯被告に、いー、から聞いた話なんですけども」

若頭補佐「ハイ」

司会「具体的にですね、どういう風に徐被告に指示をしたかという話はしてましたか?」

若頭補佐「そーですねー、その村井を………………せいと、まぁそういうふうですよね、ハイ」

司会「その、先程VTRで意気揚々と、おー、上峯被告は伊勢に組に引き上げて来たと」

若頭補佐「えー」

司会「つまりですね、上峯被告は組にとっていいことをしたということだったんですかね?」

若頭補佐「それはどういうことかというと今回はーそのー、上峯自身の、まぁそういうー、なりゅうことは全て組に言ってます、なりゅうことですからねぇ」

司会「そこで例えば金銭が組にとってメリットはあると言う話はしましたか?」

若頭補佐「いや、金銭云々は聞いてません」

司会「どうして上峯、えー、容疑者、被告はですね、えー、意気揚々と、組に引き上げて来たと思いになります?」

若頭補佐「やっぱりそのー目的を達したと。……そういうー、気持ちがあったんでしょうね」

司会「なるほど」

若頭補佐「本人自体はね、うー、無口なね、うー、暗い人間いうんですかね、えぇ、その日に限ってですね、まぁ日頃見せんような素振りいうんですか。………うーとにかく意気揚々ちゅうですか、もうニコニコニコニコしてですね、やったぞと。…そういう感じに、その素振りですかね」

司会「それが刺殺事件のあった次の日の話ですね?」

若頭補佐「そうですね!ハイ」
(動画はここで途切れている。)



●カットされた映像部分…若頭補佐の嘘

http://i.imgur.com/txwmE6R.jpg


その後も、羽根組若頭補佐へのインタビューは続いた。

若頭補佐「私は事件のすべてを知っている。身の危険を感じてはいるが、組を解散に追い込んだ上峯被告が憎い」

若頭補佐「事件の翌日に山口組本部に出掛けた羽根組組長(羽根恒夫)が帰宅後に上峯被告と密談した」

さらに、上峯被告に村井の殺害を依頼した人物として、上峯被告の弁護士等を手配した会社社長の存在を明らかにした。

日本テレビはこの証言にしたがって会社社長の直撃に成功。会社社長が事件への関与は否定したが、上峯被告の弁護団結成に協力したことは認めるなど、緊迫したシーンが続いた。

ところが突然、羽根恒夫の抗議電話が入り、司会者が急遽、羽根のコメントを紹介した。

羽根恒夫「テレビに出ているA氏は羽根組組員ではない。ある組員との個人的な付き合いで組に出入りしていただけだ」

すると若頭補佐は「まぁ、そうですね」
と手のひらを返すように、あっさり肯定した。

コメンテーター、司会者も「えっ」と絶句。



最初に立ち直った司会者が「あなたは羽根組の組員ではないんですか」と聞き直すと、若頭補佐は「表面的にはです」と実質的には組幹部だったことを強調した。
出演者たち、視聴者共々、皆トーンダウンした。


●打ち合わせ不十分

このハプニングについて、同番組のプロデューサーは「もちろん担当者はA氏(若頭補佐)が正式の組員でないことは知っていたが、実質的な組幹部であることは間違いないため、自信を持って元幹部の周書を使った。生放送中にああいった電話がかかってくるのはまったく予想外」と説明。ただし、司会者やゲストが言葉を失うほど驚いたことについて「この件についての打ち合わせが十分でなかったかもしれない。その点は反省している」と話していた。

ところが、更なる問題が浮上する。


●日本テレビ、若頭補佐に多額の出演料



日本テレビは「報道特捜プロジェクト緊急検証!」で、同じ暴力団関係者に出演料として五十万円を支払った上、家族旅行の費用四十万円を負担した。

 日本テレビによると、昨年5月、暴力団関係者からのネタの売り込みがあった。「刺殺事件の背後には政治家がいる」などと話していた。いったんは「証言の信憑(ぴょう)性は低い」と判断した。
 その後、TBSが取り上げたのを見て、再度、検討し、「話を聞いてみよう」となった。「番組のネタ探しに苦労していたころだったので....」と関係者はいう。
 取材を重ねても信憑性がはっきりしない場合、それを放送してもいいのか。小桜氏は、オウム真理教のかかわりを証明できなかったことを認めたうえで、「やっぱり、あの番組は放送に堪え得るものだった」という。

 その理由として、テレビの特性をあげた。「テレビでは、論理で説得するよりも、視聴者の聴覚に訴えることが求められる」

しかし日本テレビは、「金額が高く、家族まで接待したのは問題」として担当部長に口頭で注意しただけで、「出演者はすでに暴力団から絶縁されている」として出演料を支払うのは当然としている。
 村井氏殺害事件に何らかのかかわりがあり、事情を知っていた暴力団員だからこそ出演をさせていたのに、これを一般の人と同一に扱っているのは問題がある。芸能人にギャラという出演料を支払うのと、ニュースの提供者にカネを支払うのとはわけが違う。情報の真実性を歪める可能性があるからである。


●羽根組の撹乱工作

週刊新潮の取材で、早川紀代秀と上峯憲司の接点を証言した児玉康夫。
TBS「スペースJ」に出演し、正体不明の人物、Y社長の存在を示唆した羽根組関係者たち。
日本テレビ「報道プロジェクト」で羽根組幹部を自称した若頭補佐。
若頭補佐は、「スペースJ」「報道プロジェクト」両方に登場していたという。
そして、次々と表面化した暴力団への出演料騒動。


一体何故、組員達はこぞってメディアに出演したのだろうか。彼らは本当に真相を語ったのだろうか?そして今回明らかとなった、取材側の杜撰な対応。

メディアは視聴率目当てにヤクザを雇い、ヤクザは多額の金銭を得る。彼らは事件の真相などどうでもよく、面白ければ何をしてもいい、と考えていたのだ。これでは情報撹乱もいいところである。

かつて、オウム真理教もマスコミを悪用し、サリン事件、坂本事件を隠蔽しようと画策した。
はたして、羽根組は村井事件の隠蔽を目論んだのだろうか?

結局、マスコミが騒いだほどには事態が進展せず、村井殺害事件の真相は闇から闇に葬られた。

参考文献:報知新聞95年7月17日朝刊25面
朝日新聞1996年4月18日朝刊33面
●TBSの失態…封印された映像

村井氏刺殺事件はテレビ取材の体質の問題点を明らかにした。TBSと日本テレビが暴力団関係者に出演させ、裏取りをしないまま放送した事実である。

かつてTBSはオウム事件で深刻なトラブルを引き起こしていた。
取材班が教団に坂本弁護士の情報を流出させ、坂本事件の要因を作り出してしまった前科である。

そして、村井秀夫刺殺事件でも再び失態を犯すことになる。


●「情報スペースJ」暴力団出演騒動


(スペースJより)

1995年5月24日、TBSのニュース番組「情報スペースJ」は、徐裕行と上峯の背後関係を探る特集を放送した。

番組は次の場面で始まる。

 徐裕行が刃物を手に村井幹部を襲う。周りに大勢の報道陣がいて、前後の騒ぎを映し出す。衝撃的な映像にかぶさるように、ナレーションが流れた。
 「村井氏刺殺の背後に潜むユダの影」「次々とあぶり出されるオウムと暴力団のつながりが今、ひとつひとつ黒い像を結び始める」



(ここで映像は徐裕行が居候していた貸家、宿泊したラブホテル内部が流れる。)

 「教団が、暴力団に依頼して、村井幹部をポア(殺害)した」。そういう背景があったと強く示唆する内容である。

 番組の前半は、事情を知っているという暴力団員が仲間の暴力関係者に「真相」を告白する場面。

(カメラは外から喫茶店内の窓へ向けて撮影されている。店内では羽根組幹部と部下たちが映し出されている。音声は加工されている。組員たちは羽根組解散が決まり、苛立った様子で話を交える。が、最終的に意気投合したところで映像は終わる。)

その暴力団関係者が後半、別の人物として番組の覆面インタビューに応じる。画面に登場する関係者たちは、ある不動産会社のY社長という人物が事件の背後にいるような話をする。Y社長がまず上峯容疑者に殺害を依頼し、次に上峯容疑者が徐容疑者に殺害を指示したという構図が浮かびあがる。

(ゲストたちの前には、徐裕行、上峯の関係図を記載したパネルが表示されている。図では別件逮捕された高英雄、柳日龍の名前も記載されている。)

 インタビューで、この暴力団関係者は「事件直前、上峯に名刺を渡された。そのとき上峯から『もし自分が逮捕されたら、Y社長に電話してほしい。弁護士の面倒などを見てくれる人だ』と頼まれた」という趣旨を話し、「新証言」として画面で流れた。

ところがこの番組には致命的な問題があった。Y社長は実在するのか、である。
番組ではY社長の身元情報が一切登場しないのだ。

Y社長が実在する人物かどうかについて、当時、番組責任者だった小桜英夫特別報道センター長(53)は「確信をもっていたわけではない」という。

 番組では、さらに、「Y社長は東京・六本木であった倒産の整理などで一億円を必要としていた」という話も出てくる。

 小桜氏は「六本木の倒産物件などを調べてみたが、具体的事実に行き当たらなかった」という。
 Y社長は実在しているという前提で番組は続いた。


(スペースJより)

 スタジオで下村健一キャスターが図を示して、Y社長が上峯に殺害を依頼し、さらに上峯が徐に指示したという構図を解説した。その上で、下村キャスターは「霧がかかっているのはあと一部分」として、「早川らオウム幹部」からY社長につながる部分がわからないと解説した。

 「『これが事実だ』と言っているわけではない。事件後一か月という節目に、関係者の証言を頼りに、残されたなぞを検証してみるという位置づけだった」(小桜氏)
 Yが実在しなかった場合、冒頭から強調していた「次々とあぶり出されるオウムと暴力団のつながりが今、ひとつひとつ黒い像を結び始める」という設定そのものが崩壊してしまう。
 小桜氏も「論理の構成に無理があった」と認めた。

 どうしてこんなことになってしまうのか。小桜氏は「取材時間の制約と、視聴率からくるプレッシャー」をあげた。
 「スペースJ」は水曜午後9時からの一時間半番組だ。取材スタッフは約30人。毎回のように2、30分のオウム特集を組み、4、5人を残して全員がオウム専従になっていた。
 2班に分かれ、各班は一週間おきにオウム番組を用意しなければならない。小桜氏は「もっと時間をかけたい時や、いろんな角度から検証したい問題もあったが、締め切りは待ってくれない」。

また、この問題でTBSが出演した羽根組員に多額の出演料を支払っていたことが判明した。


●多額の出演料



「情報スペースJ」で、TBSは出演した暴力団関係者を13日間に渡り取材、謝礼金三十万円を支払った。そのほかホテル代、交通費と食事代として約五十五万円(一説では四十一万七千円)を負担、合計八十五万を支払った。

放映後、社内で「報道論理上問題だ」おいう指摘が出たためTBSは「反社会的な暴力団の取材に現金支払いがあってはならない」として、95年10月に番組担当者ら3人を極秘裏に減給処分した。

この件を朝日新聞がスクープしたため、後日TBSは公式発表することとなった。

神山冴と検証特別取材班著「TBSザ・検証――局にかわって私がやる!」によると、処分を受けた3人は個別に呼ばれ、幹部から「このことは口外するな」と口止めされたという。


●裁判への影響

TBSの「スペースJ」騒動は、翌年の東京地裁でも取り上げられた。
96年5月31日。同番組に出演した羽根組元組員が上峯裁判の弁護証人を行った。

元組員は「村井事件のことでTBSの情報番組『スペースJ』の取材を受けたが、放送されたのは話した内容をつなぎ合わせたもので、事実と違っていた」と取材テープが捏造されたとの趣旨の証言をした。

証言によると、昨年放送された同番組で「村井刺殺については一から十まで知っている」と発言していたが、元組員は「(自分と上峯被告が賃借権の整理などでかかわつていた)六本木のビルについて『一から十まで知っている』と言った。(番組の自分の発言は)全部つなぎ合わせになっている」と経緯を説明した。

 その上で、元組員は「警察の取り調べでも、このテレビ(番組)を見せられたので『つなぎ合わせだ』と説明した。警察もそれを知っていた。(自分の発言内容を確認するため)マスターテープをもらってほしいと警察に頼んだが『TBSが見せてくれない』と言っていた」などと証言した。
出典:(東京新聞96年5月31日夕刊11面)


●第136回国会 逓信委員会 第6号

1996年4月2日火曜日、「オウム報道に係わるTBS問題放送の在り方」について議論が行われた。



自由民主党・保坂三蔵議員は村井事件TBS関与説を指摘した。
(注・保坂は外国人参政権支持者)

 四番目に、これは具体的にお尋ねしたいんですが、例の村井秀夫刺殺事件です。これは昨年の四月二十三日に事件が起きました。

そして、このとき幹部中の幹部の村井が刺されて、そして翌日の二十四日の午前三時に死亡しているんですが、二時間後の五時にもう既に「ザ・フレッシュ」ですね、「ザ・フレッシュ」じゃなくて、五時は違いますか、すぐニュースで特番的にこれを放映している。これは国民が見まして、夕方の「ニュースの森」でもやりましたから、みんな見ているわけですよ。だれが考えたっておかしいんですよ。

 その徐という犯人が、最初からやりますよというように徐ばかり追って、アタッシェケースから何からですね。社長、これをごらんになったでしょう。マザーテープをごらんになりましたか。事件二時間後の五時に放映したこのテープ、これ無修整のテープなんですよ、多分。これは一回公開してもらいたい。「ニュースの森」というのはもう時間も一日近くたっていますから、修整したというよりも、言ってみれば編集したテープが流れておる。しかし、無修整のテープ、私は委員長、機会がありましたらぜひ私どもに見せていただきたい。

 そして、このことは、この情報をどうしてTBSが仕入れたのか、このお調べをしたことがありますでしょうか。しかも、この事件はおかしいというんで検察当局がTBSの三人の関係者を調べたと言っておりますが、この村井秀夫刺殺事件の私の質問に対する見解と御答弁をいただきたい。

○参考人(鈴木淳生君) 今、先生が御指摘になりました村井幹部殺人事件に、事前に情報をつかんでいたんではないかというふうな御趣旨かと思いますけれども、これは外部プロダクションのつくっているドキュメンタリーのカメラマンが映像を撮ったところでございまして、たまたまそこにいたということでございます。オウムの青山本部に群がっている人々を三日間取材いたしまして、それをまとめて放送しようということでございましたが、その中に、いわゆる群衆の中にまじって徐容疑者もおったということでございます。
 そういうことでございます。

○保坂三蔵君 そんな偶然なシーンじゃないよ。暴力団の筋から情報をとったんじゃないかとまで疑われているんですよ。そんな甘い調査でこれは済みませんよ。

(95年4月24日放送分の「ザ・フレッシュ」、「ニュースの森」は現時点で視聴不可能。)


●封印された映像

「スペースJ」の村井特集は一時期、YouTube上で公開されていた。

本番組は貴重な場面が多数収録されており、どれも資料価値の高いものばかりである。
徐裕行の借家、高英雄と柳日龍の実名報道、機動隊による羽根組事務所の捜査、羽根組が解散し、組員に乱暴に引きずり出される番犬の映像。更に事件の目撃者・山路徹氏が都立広尾病院を取材し、上祐にインタビューする様子も収録されている。

特に村井が地下入口に入る映像が、既存のものより見やすいアングルで撮られており筆者はある種の感動を覚えてしまう程だった。

ところが、村井事件について共に調べさせて頂いている方に映像を紹介した直後、突然映像が削除されてしまった。どうやら過去の失態をもみけそうと、テレビ局側が動いていたらしい。

幸い筆者がスクリーンショットを撮影していたため、「徐裕行の貸家」、「徐が宿泊したラブホテル」、「地下入口へ向かう村井」の画像だけが手元に残った。


話は逸れるが戦時中、日本は大本営発表を通じて戦果を報道した。
戦局が劣勢になると損失を隠し、敵の損害を水増しする愚行を続け、ついには軍部まで欺く失態を犯した。(例:レイテ沖海戦)
そのニュース映画はネットで視聴することができ、その過ちを今も後世に伝え続けている。

戦後、ラジオに替わってテレビが報道の主流となったが、メディアの思惑が入り込み、悪質な報道も度々繰り返されてきた。失態が明らかになると、テレビ側は自らの過ちを風化させるために映像を封印させ、反省なしに何度もその愚行を繰り返し続けた。

残念ながら、封印された映像はテレビ局の倉庫に眠り続けることになり、一般人が視聴するのは不可能なのが現状である。

オウム真理教事件は戦後最大の大事件である。その一部の村井事件を封印してしまってはオウム事件の全貌が正確に伝わらなくなってしまう。

自らの過ちを隠すため、重大な事実を歪める行為。
これでは大本営発表と本質が同じではないか。

しかし、現在では録画性能とインターネットが向上し、好きな時間の映像を、いつでも気軽に視聴できるようになってきている。メディアが身勝手にいられるのも時間の問題なのかもしれない。


消された動画(「情報スペースJ」95年5月24日放送)
https://www.youtube.com/watch?v=OCQiF2Fa6cc&list=LLHDAaS-MJKYLInt6wC3iNBw&index=17


●TBSドキュメント「報道特集」麻原のサブリミナル映像

1995年5月7日、TBSが放送したオウム真理教の特番で30分の1秒というハイスピードのサブリミナルカットが流された。カットは麻原の顔や、キリストを裏切り処刑の元凶となったユダなどだった。批判が集まるとTBSは「映像表現」と説明したため、更なる非難が集中したため、日本民間放送連盟がサブリミナルの使用禁止を明文化。郵政省はTBSに対して厳重注意の行政指導を行った。

サブリミナルは村井秀夫刺殺事件の場面にも挿入され、刺殺直後に東京総本部から顔を出した上祐のコマがサブリミナルカットに使われた。




次回:日本テレビの失態


●週刊新潮と謎の羽根組員・児玉康夫

1995年6月15日。 週刊新潮は突如、オウムと羽根組の関係を知るとされる、ある男のインタビューを掲載した。
男の名は児玉康夫(当時28、仮名)、羽根組構成員。

児玉はオウム真理教幹部、早川紀代秀に出会ったといい、更に徐裕行が上峯に村井刺殺を指示されるのを目撃したと証言。特報は4ページに渡り組まれた。

以下全文(原文ママ)。


”一億円で買った「村井殺害」”

 オウム真理教「科学技術大臣」村井秀夫氏の刺殺事件には、多くの謎が残されている。
実行犯と殺害を指示したとされる暴力団「羽根組」の幹部は逮捕されたものの、オウムと羽根組はどんな関係だったのか、殺害計画はいつ立てられたのか、そして口封じの報酬は何だったのか分かっていない。残された謎について、オウム幹部とも面識があり、事件に関わりを持っていた羽根組の元組員が口を開いた。

「私が直接、村井殺害計画を聞いたのは犯行があった一ヵ月前のことでしたが、今にして思えば計画自体は半年ほど前からあったのではないかと思っています。それというのも、実行犯の徐が逮捕されたときに名乗った右翼団体の『神州士衛館』が、政治団体として届けを出したのだ昨年の十月。同じ組にいながら、徐が犯行に及ぶまで、私はその事実を知らなかったわけですからね。組員の宿泊場所が右翼団体の建物になっていたのですから驚きましたよ。おそらく神州士衛館は村井殺害のヒットマンのために作られたのでしょう」

 こう語るのは三重県伊勢市にあった指定暴力団山口組系羽根組の児玉康夫(二八)=仮名=元組員である。

 殺害事件があったのは四月二十三日。包丁で村井氏を刺した徐裕行(三〇)が現場で逮捕され、徐に殺害を指示したとして羽根組の若頭・上峰憲司(四七)がのちに捕まった。児玉元組員は、上峰の弟分にあたる人物である。

 事件発生直後、徐は右翼団体の一員だと名乗り、オウムへの憤慨から犯行に及んだと自供していた。が、上峰が逮捕されたことで、オウムと暴力団の関係が俄然クローズアップされてきたのだ。
「そもそもオウムと関係を持つようになったのは、東京・中野にあるオウム真理教付属病院の建物をめぐるトラブルがきっかけだった」

 オウム医院の開業が平成二年六月だから、五年以上前からオウムは暴力団との関わりがあったわけである。児玉元組員が続ける。
「ある不動産業者があの物件を手に入れようとしていたところに、オウムが後から割り込んできた。業者のバックに暴力団がいたために話がなかなかまとまらず、知人の紹介で頭(上峰のこと)が仲裁に入ったわけです。結局、建物はオウムが借りることになったのですが、これが縁で付合いが始まったのだそうです。羽根組の本部は三重にありますが、東京に関係者がいるので、オウムの土地取引をめぐるトラブルや地上げを頭が請け負うことになり、成功報酬も受け取っていたのです」

 彼が上峰からオウムとの関係を知らされたのは昨年の十二月。そして、建設省トップの早川紀代秀と初めて顔を合わせたのはその直後だった。
「頭が”オウムの土地取引のトラブル処理をやっているが、早川という男を知っているか。オウムの幹部で、自分のスポンサーでもあるし、お前が金に困った時もの相談に乗ってくれるだろう。これからも先、俺の代理で仕事をやってもらうこともあるから、一度紹介しておく”と言われたのです。
 あったのは東京六本木のクラブでした。こちらは私とかしら、頭の舎弟で私の兄貴分、そして徐の四人。向こうは店の外で運転手が待っていましたが、早川ひとりでした。早川はジーパンにセーターといったラフな格好で、第一印象は只のおっさんんという感じでしたね。話してみると話題がころころ変わり、誇大妄想狂じゃないかと思った。いっしょにいたのは二、三十分だったかなあ。大事な話をする時は頭とふたりで席を外し、かなり親密そうに見えました」



■「ヒットマンを頼まれた」

ほどなく早川と再度頭が合わせることになったが、このときはギャング映画さながらに場面が展開されたようだ。

「十二月中旬の夜中でした。兄貴分から”用事があるから来てくれないか”と呼び出されて、来るまで出かけた。場所はおそらく足立区新新井の高速道路の下だったように思います。緑色のフェンスに囲まれて、辺り一帯は空き地だった。そこで待っていると、早川と部下が白い二㌧トラックに乗って現れたんです。オウムの各支部を回ってきたのか、トラックの荷台にはパネルのようなものとゴミがあり、脇にはみかん箱ほどの段ボールに一万円札がぎっしり詰まっているじゃありませんか。早川とはほとんど言葉を交わさずその箱を自分たちの車に積み替えたのです。後で兄貴分にいくらあったのか尋ねてみたところ”一億はあるね”と言ってました」

 深夜にこっそりと一億もの金をやり取りする。それだけでもただならぬ関係である。
「三度目に早川と会ったのは、事件の一ヵ月前、三月の中旬。都内のファミリーレストラン『ジョナサン』の駐車場で落ち合いました。こちらは頭と兄貴分と私の三人で、早川は部下らしき人間を連れていました。ただ、この時は六本木のクラブで会った時とは雰囲気が違い、頭は”大事な話がある”と言ってすぐに早川の車に乗ってしまったのです。2人きりで三十分ほど話し込んでいました」

 村井殺害計画を聞かされたのは、その後だったという。
「早川と別れて、三人で食事をしていたら、頭から”オウムの村井を知ってるだろう。実は村井を痛めつけるためにヒットマンを頼まれているんだ。あるいは最悪、やっちゃうしかないかな”というやんわりとした言い方で、殺害計画を知らされました。それに対して兄貴分は”どうせやるなら取っちゃえばいい。犯人なんか分かりっこないんだから”と答えてました。頭は”ヒットマンとしてフィリピン人か中国人といった外国人を捜している”と話していたんですがね。一ヵ月のうちに徐がやることに変わったようです」

「頭に村井殺害を依頼してきた理由として、世間では村井が口が軽いとか、覚醒剤を作るのを嫌がったからだと言われています。確かに、そういうこともあったかもしれませんが、何度か頭が言っていたのは”あれだけ組織が大きくなると派閥争いがあるんだ”ということでした。直接の理由はそれなんじゃないでしょうか」

 村井氏の口を封じようとしたのは、テレビで、昨年七月上九一色村で起きた異臭事件について、「農薬製造実験の失敗が原因」と教団が被害者だとしてきたそれまでの説を覆したからと言われている。だが、殺害依頼は村井氏がテレビ出演する以前に行われていたのである。

■殺しの報酬

「犯行前日の四月二十二日に六本木で頭、兄貴分、私と徐の四人で飲んだとき、頭が徐に向って”明日、分かってるな”と言っているのを聞いて、実行犯が徐に決ったことを知りました。飲屋には一時間ほどしかいませんでしたが、徐は明日人を殺すというのに緊張した様子もなく、陽気に飲んでました」
「頭は徐と話があるというので、兄貴分と二人で先に帰りました。その途中で”徐が行かなかったら、お前が行くことになっていたんだ。お前だつてヤクザなんだから、行けって言われればしょうがないじゃないか”と聞かされたんですよ。全く知らなかったので、内心こいつ何考えているのかと思いましたね。なぜ、徐が選ばれたかきいてみたら”徐には借金があり、それは頭が肩代わりすることになっている。また、出て来たら渡す金も決まってるんだ。あとの細かいことはこれ以上聞くな”と言われてしまいました。

”じゃあ、もし私が村井殺害に行ったならいくら貰えたんだと質したら”そうだな、一億だな”と答えましたよ。頭は不動産取引で成功報酬を含めて、早川から五億の金を引き出していると耳にしたことがあります。人ひとり殺すのに相場なんてありませんが、億単位というのは、金を持っているオウム相手の相場であることは間違いないでしょう」

 児玉元組員に一億払う用意があった、というのが事実とすれば、村井殺害の報酬としてオウムから支払われたかねは最低でも一億円以上ということになる。
 「私がやれと言われたら、やはりヤクザですし、失うものは何もありませんからやったでしょうね。一億、二億の金が入るなら、仮に十五年刑務所にいても出てきた時はまだ四十代半ば。それだけの資金があれば何かできるじゃないですか。ヤクザなんてそんなもんですよ。

 断っておきますが、今回の件は羽根組の組長とは一切関係はありません。組長は真面目な人でしてね。クスリはやらない、堅気はいじめるなという人なんです。組の若い衆がテレビに出て徐が犯行に及んだ際、組長と一緒にテレビを見ていたなんて言ってますが、あれはまっ赤な嘘ですよ。若い衆が組長とテレビをみるなんて出来るわけない」

 羽根組は先月中旬、今回の村井刺殺事件に組員が関与していたことで、自主的に解散している。
 が、ともかく驚くのはオウム真理教と暴力団の関係の深さである。地上げはもとより不動産取引のトラブルの解決、果ては身内の口封じまで、オウムにとって彼らの力は不可欠だったわけである。裏の世界との繋がりはまだまだ奥がありそうだ。



■トン単位の覚醒剤

 羽根組関係者と親交があり暴力団関係に詳しい評論家の神宮寺慎太郎氏は、オウムと暴力団についてこう話す。
「オウムの事件を全部調べたわけではありませんが、明らかに暴力団が関与しているものもあります。直接手を下しているわけではないけれど、犯罪の手口を見るとヤクザに知恵をつけられたとしか思えないのです。オウムの幹部は大学を出たエリートたちですから、そんな手口を知っているわけがありません。例えば、目黒公証役場の仮谷さん拉致事件では、他人の免許証を盗んで、その免許証でレンタカーを借りている。レンタカー会社は免許証の写真と借りにきた人の頭をきちんと照合しないことが多い。そこを狙って、他人の免許証を使って詐欺を働いているヤクザがいるんです。その男が知恵をつけたかもしれません」

 オウムの拉致監禁のやり方は、素人が思いつきで出来る仕業ではない。

 暴力団との絡みでいえば、オウムの覚醒剤製造疑惑もますます色濃くなっている。信者からの”お布施”だけでは一千億円もの資産を築くことは不可能だ。
「私はシャブは扱わないので詳しくは知らないけれど、私の兄貴分からオウムのシャブを関西方面にトン単位で卸したという話を聞いたことはあります。ただ、どこまで本当かわかりませんが」(児玉元組員の話)

 覚醒剤の売買は通常キロ単位で行われ、卸値は一㌔二百五十万円が相場だという。
それをトン単位で売買するというのは常識外の量であるけれど、オウムならあり得ないことではないと、ある事情通氏は話す。
「二年くらい前でしたか、市場に志津野よくない覚醒剤が出回るようになり、どうもこれがオウムが作った薬らしいのです。オウムのは真っ白なもんですから、すぐ分かる。しかも、オウムのは頭がスッキリするのではなく、逆にボーッとしてしまって評判がよくないんです。最近出回っているものは、黄色いっぽい粒子と白い粒子がミックスされたものがほとんどですね。刺殺された村井がオウム真理教の資産は一千億円と豪語していましたが、そのほとんどは覚醒剤によって得たものじゃないでしょうか」

 オウムが覚醒剤を打っていらのではないかという疑惑は、すでに報道されている。オウムの裏舞台に多くの暴力団が関与していた疑いも浮かび上がっている。

 もし、村井殺害がオウムの最高幹部の指令によってなされたとすれば、いかなる「利益」のために殺害したのだろうか。村井と早川は教団内部で「決定的な対立関係」にあったのだろうか。
 村井は早川を”商売人”と軽蔑していたとも伝えられている。やはり、オウム最高幹部が関与した「口封じ」という見方が、村井殺しの真相かもしれない。



●児玉証言は本物なのか

週刊新潮はここまでにわたり、児玉のインタビューを載せている。
オウムの早川紀代秀が、上峯憲司、徐裕行と面識があったという話。あまりに具体的過ぎる供述内容。これが事実とするならば、徐裕行、上峯裁判はおろか、オウム裁判全体に大きな影響を与えていたことだろう。しかし、この児玉証言が裁判や捜査で取り上げられた形跡は全くみられない。

更に、本文献は著者や児玉、事情通氏の身元が伏せられているため、裏付けするにも具体性に欠けており、また「上峯」の名字を”上峰”と誤記入していて精査が徹底していなかったのではないか、と首をかしげたくなる箇所が散見された。

”児玉元組員”の資料はこの記事しかなく、勘案して検証するには情報不足であった。
ただ、視点を変えると、当時のマスコミがいかに混乱していたか、当時の状況がわかる資料ではある。
特に興味深いのは児玉が何者だったのか、という点である。

・当時、羽根組員が事件の真相を知っていると主張してテレビの取材に応じていた事実があった。

・組員たちの主張は裁判で取り上げられ、真相解明の有力情報として注目されたが、組員達が主張を一転したことで有耶無耶になった話。

・更に、この時テレビ局側が、羽根組員に出演料を受け渡し大問題になった事実。

次回は「テレビ局と羽根組のトラブル」を紐解き、児玉らの正体と目論みを検証していく。

(参考文献:週刊新潮95年6月15日号・一億円で買った「村井殺害」)
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