
在日同朋がオウムの幹部を殺した!
村井事件の騒ぎは韓国(南朝鮮)でも伝わり、国中騒然となった。

文化放送(MBC)では徐裕行の顔がアップになって放送された。
映像では青山を無視してその場から離れる徐の姿や村井事件を過小評価する野中広務のインタビューが映し出されている。(以下、当時の映像)
http://imnews.imbc.com/20dbnews/history/1995/1951717_13447.html
別の映像では徐の実家を取材する韓国人記者の姿(徐裕行の実家は足立区興野にあり、ここから朝鮮第四初中級学校へ通っていた)
http://imnews.imbc.com/20dbnews/history/1995/1951649_13447.html
村井事件後、オウムのテロに警戒する韓国
http://imnews.imbc.com/20dbnews/history/1995/1951647_13447.html
韓国にとってのオウム事件
月刊誌「選択」では、当時の韓国とオウムの関係を次のように紹介している。
オウム・サリン事件は、隣の韓国でも大きなショックだった。韓国も新興宗教ブームで、オウム真理教が宗教を隠れミノにしたテロ団体だったことは、韓国の宗教団体にとっても他人事でない。宗教界全体のイメージ・ダウンになった。
(95年)六月六日、韓国警察はソウル市内のカトリック聖堂と仏教寺院で座り込みストライキをしていた韓国通信公社労働組合幹部を連行した協会や寺院境内は聖域とされ、軍事政権時代ですら警察は手出しできなかった。そのタブーが壊されたのだ。教団は治外法権ではない、との世論が韓国で高まったからだ。オウム真理教事件の影響といえる。
韓国は昔から新興宗教がはやる国だ。シャーマニズムの伝統が強い。日本植民地時代白白教というカルト教団が集団殺人事件を起こした。解放後も新興宗教が乱立している。特にキリスト教系が多い。朴泰善長老の復興教教団、原理運動の統一教会(文鮮明教主)などがその代表だ。87年8月、新興宗教団体が経営する「五大洋」という企業で、教主と教徒二十二人が変死する事件が起きた。企業の不渡り倒産による集団自殺といわれているが真相はいまだ不明で、集団自殺か他殺かも解明されていない。
最大の関心は北朝鮮との関係
一部でオウム真理教が韓国に上陸しているとのうわさがあったが、その証拠はない。オウムが韓国に密かに浸透していたとは考えにくい。理由は簡単だ。オウムのベースには原始仏教。韓国ではキリスト教が持てはやされるが、仏教は古くさいと敬遠されている。創価学会が韓国の布教に失敗したのもそのせいだ。
韓国では建国神話の主、檀君を崇拝するハヌル教など国粋的な新興宗教団体からはじまって、その他ありとあらゆる類似の教壇がひしめいている。なにしろ財政会トップが占いによって決断することがよくある迷信社会だ。
韓国はいま急激な経済発展で旧社会が解体し、新しいモラルが根づいていない、過度期社会である。新興宗教は変化に適応できず疎外された個人の不安を解消し、帰属意識を持たせてくれる。一種の心理的麻薬だ。マルクスは「宗教は阿片だ」といった。だが阿片を必要とする落ちこぼれはどの社会でもいる。
口先では、金銭は不浄なもの、この世の富は空しいなどと説教をたれる新興宗教団体教主だが、それとは裏腹にほとんどみんなカネもうけに血眼だ。信者はタダ働きでこき使われている。統一教会の日本人信者が韓国で機関誌「世界日報」の拡張員になって戸別訪問しているのがその好例だ。オウム真理教の正体がばれたことで、韓国で宗教といえばうさんくさく思われるようになり、新興宗教の信者は肩身が狭くなった。
韓国がもっとも関心を持っているのはオウムと北朝鮮とのコネクションだ。オウムはロシアで武器を購入、軍事訓練までした。オウムの放送局があるウラジオストクは北朝鮮に隣接している。韓国の有力紙「中央日報」は、日本で流布しているオウムと北朝鮮のコネクション説を報道して大きな波紋をまきおこした。
教祖・麻原彰晃の祖父が北朝鮮生まれで、父親は終戦の前後に日本に来たという説をとりあげ、麻原のルーツが北朝鮮という疑惑が持たれていると書いた。これに関連して統一教会の文鮮明も北と湯煎生まれで、しかも近年オウムが統一教会所有の建物を賃借していたこと、統一教会信者が統一教会からオウムに入信したことなどにも言及。オウムと統一教会がある時期まで結びついていたことから、両者の提携、さらには北朝鮮との関連を憶測する向きもいると報道した。
またオウムの本拠地上九一色村から押収された十キロもの近海が北朝鮮産だったとの説も紹介した。この金塊は脱税容疑で逮捕された金丸氏から押収された金塊と同じものとの説があると指摘して、この金塊は金丸氏が九〇年、北朝鮮を訪問したときもらっていったといわれていると説明した。
オウムの早川紀代秀が北朝鮮の自由貿易地帯である豆満江流域の土地を買おうとしていたことも報道。北朝鮮が資金難で困っていることと、オウムが一千億円の資産を持ち海外の土地買収に力を入れていたことが、この説を裏づけていると解説して韓国人を驚かせた。
一方、オウム幹部の村井秀夫氏を刺殺した在日韓国人徐裕行が在日朝鮮人学校に通っていた点も、オウムと北朝鮮との結びつきを推測させるものだと報道した。
この新聞は「日本国内には毒ガスの責任を海外に転嫁しようとする心理がある。オウムと北朝鮮との関係を取りあげれば、容易に推測をつくり出すことができるので、北朝鮮コネクションを煽っている」と結論づけた。しかしこの風説の真偽は全く確認されていない。
だが、韓国では、オウムと統一教会との関連について、事情通は一笑に付している。統一教会の文鮮明がロシアや北朝鮮にたびたび訪れたことは事実だ。原理運動はキリスト系でオウムのルーツでは仏教だ。いわば商売敵。両者が手を結ぶ可能性は少ない。もっとも当初運動を自称した教祖麻原は九一年十月、自分は救世主キリストだと宣言した。オウムはキリスト教でも仏教でも都合のいい宗教を手当り次第に利用する。そのやり方からすれば、ビジネスに限れば双方が提携する可能性は十分ある。

(村井事件後、オウムのテロに警戒する韓国警察)
「毒ガステロ」に怯える日々
一方オウムと北朝鮮との癒着は考えにくい。北朝鮮自体が神聖国家だ。金日成は生き神だった。まだ駆け出しの新米教祖の麻原なんかの権威を認めたりはしない。もっともオウムのカネには魅力があったはずだ。
韓国ではむしろ村井氏の刺殺犯人徐裕行の背後に関心がある。在日朝鮮人がオウム幹部を刺殺した時、韓国マスコミは肝をつぶした。オウムがその報復としてサリンをばらまくのではないかとゾッとした。韓国の空港や港湾で厳戒態勢がしかれた。この厳戒態勢はその後オウム捜査の進展により解除された。徐の犯行は村井氏の口封じのための犯行で、教団内部が、徐が関連している団体の指示、教唆によるものだとの分析が伝えられた。
韓国ではオウムと暴力団の関係に注目している。日本の暴力団に在日朝鮮人が少なからず加入している。これらは韓国の暴力団ともつながっているからだ。
韓国がオウム・サリン事件でもっとも衝撃を受けたのは毒ガスの脅威であるサリンは開発、製造も簡単で安上がりだ。ミサイルも必要ない。一人で運搬でき、しかも探知が難しい。ばらまけば大量殺戮ができる。北朝鮮にとってサリン事件はよいヒントになったはずだ。北朝鮮はカネのかかる核開発より、今後は毒ガスの開発に努めるだろう。いやすでに保有している可能性が高い。自力開発したかそれとも旧ソ連から供給されたか、いずれにせよ大量に備蓄されている可能性がある。備蓄された毒ガスではアメリカも手が出ない。査察も不可能だ。北朝鮮が最近核開発凍結をめぐる米朝間交渉で態度を軟化させた背景に核開発から毒ガス開発へ戦略を転換させたのではないか、という憶測が流されている。韓国は毒ガス作戦が宗教団体からテロ国家へ拡散する悪夢にいまもうなされている。
出典「選択」95年7月1日 120-121頁
*筆者注
・麻原朝鮮人説については根拠が乏しく、今も議論になっている。
麻原彰晃の祖父は熊本県出身の警官説、小作人説がある。
高山文彦著「麻原彰晃の誕生」によれば、麻原の父親は大韓民国全羅北道益山郡春浦面出身とされる。
・創価学会は当初韓国側から「倭色宗教」と呼ばれ、反日感情により排斥されていた。
90年代以降、韓国政府に宗教法人として正式登録されると急速に信徒数を増やし、150万人の信徒を獲得したと創価側は主張している。
・北朝鮮はサリンをはじめとしたBC兵器だけではなく、核開発にも積極的である。06年に核実験を実施し、一定の成果を挙げたとされ、その後も数回に渡り行っている。