軽度の便秘をより悪化させている大建中当湯を投与する医師 | 群馬県・桐生 仁盛堂漢方薬局の一日(中医学基礎)

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 漢方薬局で30年以上相談をしています。
毎日新しい発見あり、毎日が勉強です。
お客様の相談を中心に記録していきたいとかんがえています。

皮膚疾患(アトピー性皮膚炎)・不妊症相談・精神疾患など
のご相談を得意としています。

 

 1年半継続して大建中湯を処方されているお客様が

相談に見えました。

 

 医師に処方されれば患者さんは信頼している医師の

指示ですから素直に飲み続けます。

 

 大建中湯は金匱要略にのっています。

「心胸中、大寒痛し、嘔して飲食する能(あた)わず、腹中

寒(ひ)え、上衝して皮起こり、出で見(あらわ)るれば

頭足あり、上下痛み触れ近づくべからざるは、

大建中湯之を主る。」

 

 中焦陽虚・陰寒上逆

ようするに消化器の極端な冷えがあり、この冷えが

気血を凝滞させている状態です。

 

 蜀椒(しょくしょう)・乾姜・人参・膠飴の組成です。

 

 蜀椒(しょくしょう)と乾姜は大熱の剤です。

 

 消化器が極端に冷えていない状態に継続して使用

すれば、熱によって大腸が燥熱の状態になり便秘は

慢性化します。

 

 蜀椒(しょくしょう)に含まれる揮発油に大腸の蠕動を

亢進するという理由で便秘に処方されることが多いようです。

 

 ところがこの揮発油が多すぎるとかえって蠕動運動を

抑制するというデータもあるようです。

 

 最初に使用したときは間違いではなかったとしても

漢方を使用する際には常に現在の状態を考慮する

必要があります。

 

 寒熱の区別ぐらいは、漢方を使用するならきちっと

弁別してもらいたいと思います。