やっと天描オラクルモードに入り、一昨日から、順次作成しておりますので、今暫くお待ち願いますm( . . )m
さて、その天描画等作成の合間、一昨日のお昼のこと。
妻が『英樹さん、お腹が空いたので食事に出掛けましょう。』と、いうのです。
丁度、私も空腹を感じ始めていたところでしたので『では、どこへ行くことにしましょうか…』と尋ねましたところ…
『カフェで良ければ心当たりがあるので、そこへ出掛けましょう。』というわけでして、家から10分足らずの、真駒内方面にあるカフェへ出掛けたのでございます。
【カフェ千秋】

!!?…普通~の古いお家ではありませんか…
特に、玄関のタイルなどは昭和ノスタルジーを醸しています。
私たちが到着すると、70歳代と思われるダンディーな男が、ちょうど玄関を開けて中へ入って行くところだったのですが、店の前に車を停め、玄関へと向かう私たちを振り返ると、ニッコリと微笑みながら『こんにちは~』と挨拶して下さいました。
挨拶を返し、玄関で靴をスリッパに履き替えます。
2階がカフェになっているというので、3人で階段を上って行くと、普通のテーブルに普通の椅子やソファーが、普通より少し多めに置かれた部屋。
奥から、店主と思しき麗人が『あら、いらっしゃいませ~』と、笑顔で迎えて下さいます。
ソファーに座り『感じのいい店ですね~』『いい音楽ですね~』『一人で全部やってるんですか?』などと、いつものように、ありきたりの言葉を交わします。
すると店主が、先程のダンディーな男から手渡された印刷物を一枚、私に手渡してくれました。

『今週の金曜日、こんなイベントを家でやるので、良かったら来て下さいね。』
私は、やはりいつものように『いいね~』『素敵だわ~』『素晴らしい~』『これは本当にイイわ~』などと、心の中で思ったことをすべて口に出していました。
店主オススメの『パン・ランチ ¥1,000』を、店主に薦められるがままにオーダーします。
店主がランチを作りに厨房へ行ってしまったので、今度は妻に向かって、店や音楽に対する『いいね~』を連発していました。
店主が、前菜を運んできました。

これは『黒酢もずく入りの根菜スープ』です。と、店主が説明してくれました。
あの黒酢もずくが、スープに合うのかちょっと疑問でしたが…
にんじん・ごぼう・さといも等の根菜と、しいたけ・筍などの山菜が、柔らかくも歯応えを残した状態に煮られており、少量の胡麻油とベーコン、しょうが、そして黒酢もずくで風味を整えた、優しくバランスの良いスープです。
穏やかなクラシック音楽が、絶妙なボリウムで流れる、少しく肌寒い古民家の2階の部屋。
温かいスープを飲みながら、窓の外の曇り空を眺めている。
己に、もし『倖せな時間』という感覚を言葉に変換する機会が与えられたなら…
この空間を引用しようと思う。
思わぬ魂の躍動に戸惑いながらも、そんな想いを、頭の中で文章化し終えた絶妙なタイミングで、次のお皿が店主によって運ばれて来ます。

これは『鶏ひき肉のもち米蒸し』で、鶏のひき肉を団子状にしたものをもち米で包んで蒸し上げたものです。と、店主が説明してくれました。
足の高い洒落た椀に盛り付けられた、その余りにも上品な佇まいに、飼い主に顎を撫でて貰っているシャム猫のように、うっとりと陶酔に耽りつつ…
食べてみることにします。
『こ…これは…』
もち米に包まれた鶏団子には、玉葱と生姜が細かく刻まれて居ます。
もっちりとしたお米の食感の奥に、さっぱりとした鶏団子があり、その向こうにシャキシャキした具財の心地良い感触が訪れるという、サイケでクオリティーの高い一品です。
それに、このメニューと一緒に出された珈琲が、メチャクチャ美味いのです。
僕はマンデリンが好きなのですが、一口飲んでみると…まさにマンデリンです。
ただ、単にマンデリンであるというだけではなく、とにかくメチャクチャ美味い!
柔らかくて深みのあるコクの向こうで、舌の奥の方でピリッと程好い刺激のある苦味を感じられます。
そんな美味しい熱い珈琲を飲みながら、このBGMのクラシック音楽は、聴き覚えがあるけれど、一体どこで聴いた音楽だったろうか…と考えていると、やがて3品目が運ばれて来ます。

今度はどんな説明をしてくれるのだろう…と思ってましたが、店主は説明せずに厨房へ戻ろうとしたので『これは何と言う料理ですか?』と尋ねてみました。
これは見ての通り単なる野菜サラダで、フレンチドレッシングがかけてあります。とのこと。
食べてみると解りますが、フレンチドレッシングも、もちろん手作りで、爽やか酸味と柔らかい塩味が広がります。
感動は続きます。
次はメインのパンプレートが運ばれて来ます。

この白パンはミルクが入っています。
そしてカットしてあるものは、フォカッチャという種類のパンです。
付け合せは、小鉢に盛ってあるのが小松菜のナムルで、白い方がポテトとチキンの和え物、黄色いほうがカボチャのカッテージチーズ和えです。と、店主が説明してくれます。
まずは、食べて見ます。
小松菜のナムルは、恐らく生姜とニンニクを、少量の唐辛子を加えて炒め蒸しにして、すりおろした林檎をかぶせて更に煮込み、蜂蜜と醤油で味を調えたような感じの程好い甘みのあるタレに漬け込んだ、プルコギのような細かい牛の肩肉に小松菜を和えた様なもので、他のものに比べるとやや重厚感のある、しっかりとしたものでした。
ポテトとチキンの和え物は、塩・胡椒と砂糖とバターで味付けされた荒つぶしの北あかりに、塩麹に漬けた柔らかくて程好い塩味の鶏の胸肉が混ぜ込まれ、スウィーツとサラダの要素を併せ持つ、これもまた絶妙な美味しさでした。
カボチャのカッテージチーズ和えは、カボチャとカッテージチーズを練り合わせたペーストに、胡桃の欠片がふんだんに混ぜ込まれており…
カボチャのまろやかな甘みと、爽やかでコクのあるカッテージチーズの酸味が滑らかに調和し合い、そこに胡桃の軽快な歯応えのコントラストが加わることで、一段上を行く喜びを齎せてくれます。
白パンもフォカッチャも、この2種類だけでパン屋開いて生計を立てられるんじゃないかと思うくらい、それぞれ美味しかったです。
普通、わずか¥1000で頂くことの出来るランチでは、到底考えられない手の加え様と豪華さです。
しかも、私が全てを食べ終えて、感動の余りソファーにふんぞり返って暫し目を閉じて倖せを噛み締め、満足し切って、妻に『さあ、帰ろうか』というと…
『まだ、デザートがあるよ。』と言うではないですか。
オレンジピールのシフォンケーキ。

チョコレートソースの盛り付け方が…かわいい!
穏やかなクラシックのメロディーに、降り始めた雨の音が混じり始めました。
感動を通り越して、2杯目の珈琲を半ば真顔で味わいつつ
窓の外に広がる曇り空と住宅街の景色を眺めた、愛おしき、午後のひとときでした。