マジすか学園GX☆#3ー9☆
河原──
突然の夕立が、辺りの景色を一変させる。冷たい雨に打たれ、ただ、
立ち尽くすブラックとシブヤの二人。
そして。
相対しているのは
『謎の少女』
平手ユリナと
『“てっぺん”になるはずだった少女』向井地ミオン。
「キミの内に秘めた異能(チカラ)を──、獣(キメラ)を、解き放つんだ。誰のものでもない、キミだけの、異能(チカラ)をね」
「さっきから、わけが...わっかんねーんだよ!」
平手ユリナに
掴まれていた拳を引き剥がすように、距離をとるミオン。
危ない。
(何か、持っていかれそうな...嫌な感覚...)
その『何か』が、何なのか。この時点で、ミオンには、まだ、知る由もなかった。
「ひとには、それぞれ、異能(チカラ)がある。それを解放すれば、いまよりも、さらに、強くなれる」
「だから、そうやって、ひとのこと、見下ろしてんじゃねぇよ...、そういうやつを見ると、引きずり下ろしたくなる」
「やれるかな?キミに」
「やってやるよ...、“マジ”だぜ!」
荒削りな
ミオンの拳が、微笑む平手ユリナに迫る。
そんな
二人を見つめるシブヤとブラック。
「ブラック...、どうする?」
「彼女の正体や目的が、いまひとつ、つかめない...、ただ...、おそらく、向井地(あいつ)なら、何か、突破口を見いだせるかもしれない...。ここは、あいつに賭けてみよう。二年前(あのとき)...、優子さんが、認めた...あいつの“未来”に」
二年前。
向井地ミオンは、見違えるほどに、日々、強くなっていった。
差出人不明の
下駄箱の手紙のアドバイスによって。
最初は、見向きもせず、放り捨てていたのだったが、来る日も来る日も、届く手紙に、ミオンは、ついに、折れたのだった。
その日も、ミオンは、いつものように、ラッパッパの“階段”へと、向かう。
『大島優子ぉおおおおおお!!!』
いつものように、サドは、“階段”の上から、
ラッパッパの部員たちと、新入生──向井地ミオンの喧嘩を、面白そうに、眺めていた。
手紙のアドバイスを参考にしたミオンは、
いつにも増して、鋭い動きで、十数人はいるラッパッパ部員たちを次々、倒していく。小柄な体格を活かし、クルクル回るように闘う様は、まるで、ハリケーンのようだった。
踊り場で、待つ
ブラックとシブヤが、前に出ようとしたとき、
『そこまでだ!』
そこへ、
あらわれたのは、
マジ女の“てっぺん”大島優子そのひとだった。
『向井地...、タイマンはってやるよ。入学してから、毎日、毎日、あまりにも、うるせぇから、昼寝もできやしねぇ。明日の放課後。場所は、学校の裏、高台にある神社だ!』
異例ではあったが、
シブヤ、ブラック、副部長のサドを飛び越え、
“てっぺん”大島優子とのタイマン勝負が、決まった。
翌日の放課後──。
ミオンが、勢いこんで、
校門を出ようとしたとき、サドが、呼び止めた。
『嬉しそうだな?』
『先輩、そうやって、毎日、見下ろしてられるのも、今のうちだけですよ』
長身のサドを
見上げながら、瞳を輝かせる。遊園地のアトラクションに並ぶ子どものように。
『どうだかな。それより、優子さんから、伝言を頼まれて...な』
サドが伝える。
『そうですか、わかりました』
『それにしても...、強くなったな...本当に』
ミオンは、気づいていた。
毎日、自分のことを見てくれていたことに。
そんなサドに、
ミオンは、なんとなく、思っていたことを口にする。
『実は、それもこれも、下駄箱に入ってた手紙のおかげなんです。
誰からなのかは、わからないけど、そのひとには、感謝してます。それじゃ、そろそろ、行きます』
そう言って、
走り去るミオン。
『大島優子ぉおおおおおお!待ってろよぉおおおおお!』
叫ぶミオンの
勢いよく跳ね上がるポニーテールを見送りながら、
サドは、口許に手をやり、ぽつりと、呟いた。
『手紙...?』
突然の夕立が、辺りの景色を一変させる。冷たい雨に打たれ、ただ、
立ち尽くすブラックとシブヤの二人。
そして。
相対しているのは
『謎の少女』
平手ユリナと
『“てっぺん”になるはずだった少女』向井地ミオン。
「キミの内に秘めた異能(チカラ)を──、獣(キメラ)を、解き放つんだ。誰のものでもない、キミだけの、異能(チカラ)をね」
「さっきから、わけが...わっかんねーんだよ!」
平手ユリナに
掴まれていた拳を引き剥がすように、距離をとるミオン。
危ない。
(何か、持っていかれそうな...嫌な感覚...)
その『何か』が、何なのか。この時点で、ミオンには、まだ、知る由もなかった。
「ひとには、それぞれ、異能(チカラ)がある。それを解放すれば、いまよりも、さらに、強くなれる」
「だから、そうやって、ひとのこと、見下ろしてんじゃねぇよ...、そういうやつを見ると、引きずり下ろしたくなる」
「やれるかな?キミに」
「やってやるよ...、“マジ”だぜ!」
荒削りな
ミオンの拳が、微笑む平手ユリナに迫る。
そんな
二人を見つめるシブヤとブラック。
「ブラック...、どうする?」
「彼女の正体や目的が、いまひとつ、つかめない...、ただ...、おそらく、向井地(あいつ)なら、何か、突破口を見いだせるかもしれない...。ここは、あいつに賭けてみよう。二年前(あのとき)...、優子さんが、認めた...あいつの“未来”に」
二年前。
向井地ミオンは、見違えるほどに、日々、強くなっていった。
差出人不明の
下駄箱の手紙のアドバイスによって。
最初は、見向きもせず、放り捨てていたのだったが、来る日も来る日も、届く手紙に、ミオンは、ついに、折れたのだった。
その日も、ミオンは、いつものように、ラッパッパの“階段”へと、向かう。
『大島優子ぉおおおおおお!!!』
いつものように、サドは、“階段”の上から、
ラッパッパの部員たちと、新入生──向井地ミオンの喧嘩を、面白そうに、眺めていた。
手紙のアドバイスを参考にしたミオンは、
いつにも増して、鋭い動きで、十数人はいるラッパッパ部員たちを次々、倒していく。小柄な体格を活かし、クルクル回るように闘う様は、まるで、ハリケーンのようだった。
踊り場で、待つ
ブラックとシブヤが、前に出ようとしたとき、
『そこまでだ!』
そこへ、
あらわれたのは、
マジ女の“てっぺん”大島優子そのひとだった。
『向井地...、タイマンはってやるよ。入学してから、毎日、毎日、あまりにも、うるせぇから、昼寝もできやしねぇ。明日の放課後。場所は、学校の裏、高台にある神社だ!』
異例ではあったが、
シブヤ、ブラック、副部長のサドを飛び越え、
“てっぺん”大島優子とのタイマン勝負が、決まった。
翌日の放課後──。
ミオンが、勢いこんで、
校門を出ようとしたとき、サドが、呼び止めた。
『嬉しそうだな?』
『先輩、そうやって、毎日、見下ろしてられるのも、今のうちだけですよ』
長身のサドを
見上げながら、瞳を輝かせる。遊園地のアトラクションに並ぶ子どものように。
『どうだかな。それより、優子さんから、伝言を頼まれて...な』
サドが伝える。
『そうですか、わかりました』
『それにしても...、強くなったな...本当に』
ミオンは、気づいていた。
毎日、自分のことを見てくれていたことに。
そんなサドに、
ミオンは、なんとなく、思っていたことを口にする。
『実は、それもこれも、下駄箱に入ってた手紙のおかげなんです。
誰からなのかは、わからないけど、そのひとには、感謝してます。それじゃ、そろそろ、行きます』
そう言って、
走り去るミオン。
『大島優子ぉおおおおおお!待ってろよぉおおおおお!』
叫ぶミオンの
勢いよく跳ね上がるポニーテールを見送りながら、
サドは、口許に手をやり、ぽつりと、呟いた。
『手紙...?』
マジすか学園GX☆#3ー8☆
『鳥は卵からむりやり出ようとする。卵は世界である。生まれ出ようとする者は一つの世界を破壊しなければならない』(ヘルマン・ヘッセ)
地下室──
「フッ...、これが、番狂わせというものか...。まあ、オメガに勝てたことは、誉めてやろう。だが、そんな身体で、このわたしと闘(や)るつもりか?そんなに、敗北というものを味わいたいのか...貴様は」
「ッ...ざけんじゃねーぞ!やってやる!」
矢場久根総長
市川ミオリに対し、
身体全体で、いきり立つジュリナを押さえつけながら、ネズミは、耳元で、ささやく。
「やめておけ、ジュリナ。こんな誰も見ていないところで、コイツを倒しても、意味がないだろ。いまは、おさえるんだ」
ほとんど、気力だけで立っているジュリナを、説き伏せ、
背中越しに、ある提案をする。
「ここは、痛み分けってことで、どうっスかね?」
「痛み分け──だと?」
「矢場久根(そちらさん)の目的は、前田敦子、ひいては、マジ女っスよねぇ。こんな地下室で、木っ端とやりあったって、仕方のないことだとは、思いやせんか?」
「仕掛けてきたのは、そっちだったはずだが。...まあ、いいだろう。ネズミ...、お前とも最後だ...、その口車にのってやろう。多少、計画にも、変更の必要がありそうだしな」
「それは、どうもっス」
「命拾いしたな──、松井ジュリナ」
「どうかな?その答えは、次に会ったとき、きっと、わかるだろうさ」
「ふん。威勢だけは、相変わらずだな。いまから、答え合わせが、楽しみだ」
満身創痍の二人の背中を見送り、市川ミオリは、倒れたままのオメガに、辛辣な言葉を、投げつける。
「一度、負けた者に、用はない...、私の前に、二度と顔を見せるな」
そうして、
市川ミオリも、その場を立ち去っていった。
ひとり
取り残され、
横たわるオメガ。
精密機械のようだった、彼女の瞳から、一筋の涙が、こぼれて、落ちた。
「(.........、ジュリナ...)」
地下室──
「フッ...、これが、番狂わせというものか...。まあ、オメガに勝てたことは、誉めてやろう。だが、そんな身体で、このわたしと闘(や)るつもりか?そんなに、敗北というものを味わいたいのか...貴様は」
「ッ...ざけんじゃねーぞ!やってやる!」
矢場久根総長
市川ミオリに対し、
身体全体で、いきり立つジュリナを押さえつけながら、ネズミは、耳元で、ささやく。
「やめておけ、ジュリナ。こんな誰も見ていないところで、コイツを倒しても、意味がないだろ。いまは、おさえるんだ」
ほとんど、気力だけで立っているジュリナを、説き伏せ、
背中越しに、ある提案をする。
「ここは、痛み分けってことで、どうっスかね?」
「痛み分け──だと?」
「矢場久根(そちらさん)の目的は、前田敦子、ひいては、マジ女っスよねぇ。こんな地下室で、木っ端とやりあったって、仕方のないことだとは、思いやせんか?」
「仕掛けてきたのは、そっちだったはずだが。...まあ、いいだろう。ネズミ...、お前とも最後だ...、その口車にのってやろう。多少、計画にも、変更の必要がありそうだしな」
「それは、どうもっス」
「命拾いしたな──、松井ジュリナ」
「どうかな?その答えは、次に会ったとき、きっと、わかるだろうさ」
「ふん。威勢だけは、相変わらずだな。いまから、答え合わせが、楽しみだ」
満身創痍の二人の背中を見送り、市川ミオリは、倒れたままのオメガに、辛辣な言葉を、投げつける。
「一度、負けた者に、用はない...、私の前に、二度と顔を見せるな」
そうして、
市川ミオリも、その場を立ち去っていった。
ひとり
取り残され、
横たわるオメガ。
精密機械のようだった、彼女の瞳から、一筋の涙が、こぼれて、落ちた。
「(.........、ジュリナ...)」




