誤報を開き直る日経新聞 | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

先日、日経新聞に以下のような記事がありました。

 

新型コロナで自宅待機 保険金はもらえる?

 

本筋ではないが「契約者貸付」という保険に入っていればお金を借りられる枠組みもある。

 

まず、契約者貸付とはどういうものかは、以下で確認できます。

 

契約者貸付制度とは?そのしくみとメリット・デメリットを解説

 

一目瞭然、契約者貸付という保険は世の中になく、契約者貸付は「制度」です。保険と制度は違うので、単なる誤報です。ツイッターで

 

「という」と「保険」の間に「、」を付ければ意味が通じる

 

と指摘されましたが、上記の解説に以下の一文があります。

 

終身保険や養老保険のように、保険料に生存保険料が含まれている積立型の生命保険を解約した際に支払われるのが、解約返戻金となります。

この解約返戻金を担保にし、保険会社からお金を融資してもらえる制度が、契約者貸付制度です。

借りられるお金の上限は、解約返戻金のおよそ7~8割が一般的といわれていますので、この解約返戻金の額が高くなる保険商品やプランを組んでいる方ほど、たくさんのお金を借り入れられることになります。また、あくまでも解約返戻金を担保として借り入れを行うしくみですので、一般的な定期保険のようにかけ捨てタイプの生命保険の場合は、この制度を使うことはできません

 

このように、なんでもかんでも「保険に入っていればお金が借りられる」というものではなく、種類によっては借りられないので、上記のような区別が必要です。記事ではその点に触れていないので、むしろ誤解を生みます。私が日経新聞に記事の削除・訂正を求めたところ、以下の回答がきました。

 

「新型コロナで自宅待機 保険金はもらえる?」の記事についてご指摘は承りました。なお記事の内容については間違いはありません。今後もご愛読よろしくお願い致します。

 

いえいえ、間違っています。誤報です。ツイッターには、保険の専門家が集っている「保募ツイ連」というグループ(?)がありますが、本件では日経新聞はその専門家集団の嘲笑の的になっていました。そりゃそうです。彼らはあんな説明をお客様にしたらトラブルになるのを知っていますから、現場のプロとして承服できない訳です。

 

記事を書いた山本由里記者のプロフィールを見たところ、「保険のことは知らないな」とピンときました。文章で飯を食っている新聞社が、正しい文章を書かず、それを開き直る。存在価値がないどころか、社会の迷惑だと思います。

 


気になることがもう一つあります。そもそも日経新聞は「積み立て型の保険は損!保険は掛け捨て!」という記事ばかりを書いてきました。「積み立て型の保険には、保険の解約返戻金を活用する方法がある」という情報提供をしてこなかった、積み立て型の保険を否定してきた張本人が、なにを今さら「契約者貸付」などと言い出しているのでしょうか。こういう情報は事前に伝えておくことに価値があります。平時は後田亨さんのような、予断と偏見まみれの人間を専門家扱いしておいてどの口が言うのかと呆れています。