東洋経済とFP竹下さくらさんを真に受けるのはNGだ | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

以下の記事ですが、1ページ目から(1ページ目だけでも)ひどいものです。

 

「家は年収の5倍が目安」を真に受けるのはNGだ

おおむね年収の6倍くらいでの住宅購入が多かった記憶があります。

 

記憶違いです。金利の高かった時代に、そんな資金調達は不可能です。

 

当時の金利水準は、銀行ローンは固定も変動も8%台

 

誤報です。当時の銀行ローンは変動のみ。銀行が固定金利を扱うようになったのは、1994年の法改正後の話です。

 

 

上記の一節の下にグラフがありますが、3年固定金利(緑の線)が1994年から始まっているのはそのためです。

 

 

当時は今と違い、民間金融機関ではなく、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)の融資が、資金調達の柱でした。変動金利が8%程度だった時期(平成3年・1991年)で、当初10年が5.5%といったところです。

 

(参考)旧公庫融資基準金利の推移

 


 

こういうことを記載しなければ、一般の方は「8%で住宅ローンを組んでいたの?」と誤解をします。誤解の源がFPというのは、シャレになりません。お金は金融市場という市場(いちば)で取引しているのですから、長期と短期に金利差が生まれるのは当然のこと。この一節は、金融市場や金融商品に関する常識からかけ離れています。

 

そして、タイトルにある年収5倍の件ですが、以下を見れば一目瞭然。

 

 

同じ月10万円の返済でも、金利が下がれば借入額が増えます。金利の高かった時代に年収5倍が目安ならば、金利の下がった今は、5倍以上が目安になるという結論になるのが当然。算数レベルの話です。


他にもツッコミどころはたくさんあるのですが、面倒くさいので書きません。1ページ目だけで、この記事は真に受ける価値がないと判断できます。住宅購入をしようと思う方の足を引っ張るためだけに、適当なことを書きなぐったという評価になります。

 

この低金利の時代に年収5倍でギャーギャー騒ぎ立てるのは、そのFPのパフォーマンスが悪いだけです。こういうFPの助言を真に受けると、いい買い物ができません。