医療保険・ガン保険加入の実態 | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

生命保険文化センターによる「生活保障に関する調査」を拝見する機会がありました。興味深いデータが掲載されています。

生活保障に缶売る調査(H25)

以下は医療保険(入院特約)の加入率です。私がグラフにしてみました。



ここ数年は増加傾向にあります。次にガン保険の加入率を見てみましょう。こちらも私がグラフにしました。



こちらも右肩上がりです。

では、世間の保険議論はどうでしょうか?ここ数年マネー雑誌やネット記事などでは「医療保険はいらない」という言葉ばかりを目にします。確かに、それはそれで貴重な意見ですので尊重すべきですが、そればかりというのは明らかに偏っているというよりも、なんの役にも立っていないということは明白です。

変動金利もそうですが医療保険にも熱心(熱狂的?)な否定論者が多く、「投信は大好きだけど、保険は大嫌い」という一部の投信マニアの皆さんはその代表例といえるでしょう。その考えも大いに結構ですがそれは少数意見かつ好き嫌いの範疇を超えていませんので「世の中の原理原則」のようにドヤ顔でブログに書いたりするのは勘違いと認識していただいた方が賢明でしょう。

反医療保険集団のトップといえば後田亨さんですが、後田さんには「保険コンサルテント」を名乗る資格も資質も価値もないというのはデータが示しています。それこそ「保険会社が売りつけている」といった論調を張ってきましたが、大変バカげています。

昨今の医療保険は競争が激しくなったので、損保系、外資系、通販系であれば保険会社毎に大差はありません。しかし、小差はあります。その小さな差とお客様のご要望をマッチさせていくのが我々の仕事といえるでしょう。後田さんはその小差を否定します。理由は「小差があると比較がしにくくなる」とのこと。この辺りに彼の限界が見えます。お客様の不安の内容や保険に対するご要望は

「長期の入院が不安」
「ガンの治療費が不安」
「介護になったらどうしよう」
「最低限の保障があればいいです」

など様々です(それこそ必要ないという方もいらっしゃって当然)。ですから、その小差があるからこそ

「長期入院に手厚いのはA会社」
「ガンの保障は特約にするか、ガン保険でカバーするか」
「介護特約がつけられるのはB社」
「保険料重視でいけばC社」

といった具合に様々なご要望に合わせてお客様に保険の提案をするのが私達の仕事です。つまり、比較するべきは保険料ではなく保障だということです。この小差をお客様が追いかけていくのが面倒なときに私達がお手伝いをさせていただく訳です。「保険がいる、いらない」という〇か×かという議論よりも上記のような情報の方が有益です。その結果「やっぱりいらない」という結論になっても素晴らしい決断ではないでしょうか。

小差があるから保険料の比較がしにくいということは、保障より比較を優先するということ。つまり、買い物の対価をおざなりにして値段だけを見るということです。思考停止してますから愚の骨頂といえるでしょう。保障も消費者も見る気がなく、不安の解消なんかどうでもいいという考えの現れです。ですから、後田さんが一端の専門家面をすることも、彼を専門家と崇めることも世間にとっては迷惑でしかありません。ましてや手数料議論など的外れすぎて恥の上塗りでしかありません。

まぁ、後田さんに限らず「貯金があれば保険はいらない」という論調のFPは多数存在しますが、FPに求められるのは自分の価値観を押し付けることではなく、お客様のご要望にお応えすることです。まずはお客様の不安と正面から向き合い、その解決策を必死になって探すことから始めてはいかかでしょうか。そうすれば「貯金があっても保険が必要」という心理も理解できるようになるでしょう。

ということで、医療保険に入っている皆さん、それはそれで正解です。しかしながら、皆さんのご要望と実際の加入商品がマッチしているのかという点は私も気になります。そういった部分の点検をふとしたときにやっていただくことは大いに結構です。そして、医療保険を否定する人達の声は大きいのですが、所詮リスクマネジメントが何かを分かっていないだけですので、今まで通り右から左でOKです。