足し算と引き算 | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

先週の夜、寒かったので温かいものでも食べようと思って近所のラーメン屋さんに行ったら、女性セブンの927日号がありました。女性週刊誌に興味はありませんが、表紙に気になることが書いてあったのでパラパラめくってみたところ、住宅ローンの繰上返済に関する記述がありました。登場するのは、前回の横山 光昭さんと並び私が「エアFP 」と呼んでいる花輪 陽子さんでした。ラーメンが出来上がるまでにうっかり読んでしまったため、ラーメンどころではなくなりました(笑)記事の概要は以下の通りです。


2,000
万円・2%35年返済⇒返済額:約66,000円/月
2年目(1年経過後)に100万円を繰上返済すると、返済期間は25ヶ月(29ヶ月)短縮されて317ヶ月になり総返済額は192万円減る。

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これ、足し算と引き算が間違っていませんか?


【引き算の部】
35年返済が25ヶ月短くなったら、317ヶ月ではなく327ヶ月だと思います。


【足し算の部】

繰上返済しない場合の総返済額は27,720,000円(66,000円×420ヶ月)です。一方、繰上返済をした場合の総返済額を花輪さんは恐らく以下のように計算したのではないでしょうか。


66,000円×(42029)ヶ月=25,806,000
27,720,000円25,806,000円≒192万円


しかし、上記の計算には重大な返済が抜けています。そう、繰上返済です。当たり前ですが、総返済額には繰上返済も含まれます。29ヶ月短くするために100万円の繰上返済をしているのですから、月々の返済総額25,806,000円+繰上返済1,000,000円で総返済額は26,806,000(繰上返済しない場合との差は約92万円)


これは彼女がこういうことが許される甘い仕事環境だから済みますが、私達「現場の仕事」をしている人間であれば一発でアウトです。「足し算と引き算を間違えました」なんて「あんたそれでプロを名乗ってよくもまぁ恥ずかしくないね!」といわれるんです。現場の人達はそういう厳しい環境で仕事をしているということを花輪さんや横山さんは認識して、そういう世界で活躍している方達にも目を向けていくべきではないでしょうか。

この
ように目立つ人達に基本的な間違いばかりされていては、FPはいつまで経っても銀行、保険、証券、不動産の仕事に従事されている優秀な方達からバカにされ続けます。それはFP業界全体にとってマイナスなんです。彼、彼女達のやっていることはFPの評価を落としているのです。


花輪さんなんて、これで上級資格のCFP保有者ですってお笑いです(足し算、引き算の計算問題はFP試験に出ませんが…)。「崖っぷちOLから大逆転した」というキャリアがネタにはなっても、肝心なFPとしての知識こそが崖っぷちなんです。日本FP協会は「倫理」がどうとかこうとかいっていますが、有資格者の記事をチェックして、間違いがあったらキチンと指導するべきではないでしょうか。

まぁ、これは「誤植」とか「うっかり」のレベルでしょう。消費者に具体的な実害があるとは思えませんし、誰にでも間違いはありますが、もっと緊張感のある仕事をしたいですね。偉そうなことをいっている私も「人の振り見て我が振り直せ」で気をつけなければいけないと再認識しました。


【追記】

念のため、愛機CASIO BF-750 で検算しました。


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