
「賊徒、暁に千里を奔る」羽生飛鳥
KADOKAWA
2025年1月 読了
舞台は、鎌倉時代の京の都
今は静かに暮らしている年老いた侍の家に
橘成季が年若い僧侶を連れ、老侍の話を聞きたいと突然訪ねてくる
老侍は幼い頃から篳篥(ひちりき)が得意で
成季とは宴の席で音曲を奏でた縁で顔見知りとなった
成季の連れの若い僧侶、年は15〜6才だろうか高い家柄の子息なのか、名を伏せたまま仮の名として「明けの明星」とお呼び下さい、とのこと
橘成季は様々な話を集めた説話集の編纂を夢見ており、いろいろな話を聞き集めていた
この老侍、実は伝説の大盗賊の棟梁、小殿
13才で稚児として仕えていた石清水八幡宮で訪れた叔父を殺し、石清水八幡宮を飛び出し
15才の頃には都でいっぱしの盗賊となっていた
都で盗賊として暴れた後は、海賊になったり山賊になったり
老侍が語る、若かりし頃の自身の盗み働きは如何にして成功したのか?という謎解きに客たちは夢中になる
成季からの話を聞いて、老侍の話に興味を持った者達が、次々と成季に連れられ老侍の家を訪れる
仏師の運慶、後鳥羽院、高僧の栄西、慈円、藤原定家、成季の和歌の師匠の藤原家隆
源頼朝の姫、大姫が入内のために京へ上った時に小殿に託したある頼み事とは…など時代ミステリーとしてとても面白い
若き僧侶、「明けの明星」は社僧として故郷の神社の別当に就任するため都を去る
彼の行く末に幸あれと願う小殿なのだが
忘れてはいけないのが
【本編は239頁で終わるが、次の頁の真ん中に短く 「明けの明星」とは誰だったのか?が書かれています!】
実にドラマティックなラストです
これを見落とさないで!
どなたかのレビューに「明けの明星」って誰だったのか?と書かれていた!
私は、作者あとがきまで見るので気が付きました
最後までちゃんと見て〜