「冬と瓦礫」砂原浩太朗 読了 | pyonpyon ブログ

pyonpyon ブログ

日々のこと。
趣味のこと。
読書記録。
テレビ。
海外ドラマ。
好きな音楽。
松任谷由実。


「冬と瓦礫」砂原浩太朗 集英社

1995年1月17日早朝に発生した、阪神・淡路大震災
大学入学で神戸から上京しそのまま都内のケーブルテレビで働く青年が主人公

故郷の友人からの電話で起こされ、震災の発生を知る
何とか連絡がついた実家の母、青年が母の離婚後に暮らした祖父母の家は、何とか無事だったが
連絡取り合う友人、家族と話す中で電車と徒歩で故郷に水と食料を届ける
地震発生から被災地に入り、数日過ごす日々を1日目〜7日目と日にちごと章に分けて書かれています

創作された部分(多分、家族構成や父母の話など)もあるが、青年が見た物は作者が実際に目にしたものだったのだろう

電話では、から元気で話していた友人が沈んでいく様子
昔と同じ様に友人宅でカセットコンロで作る焼肉(肉無し)の懐かしい日常風景と非日常
同じ風景でありながらあまりに違いすぎる

あとがきに、東京在住だった作者自身が故郷神戸の被災地へ向かった体験に基づいて書いた作品であること
原型となるものを執筆したのは作家デビュー前の震災後15年を目前にした2008年〜9年
15年という節目に自身の記憶として残しておきたかった

作者自身、災害を直接体験してはおらず親族に死者はいない
家もどうにか残った
より大きな悲しみを味わった方々が数多おられる中、自身は災害に対してその思いを吐露する事を躊躇ってしまう…
同じような心持ちを呑み込んで来た方、報道では取り上げられない立場の者にも痛みはある、それが当時の私を執筆に駆り立てた、とある


2日前に読み終わり、他の本も読んでいる途中だったので感想は後にしていたけれど
17日は、阪神・淡路大震災の慰霊の日ということもあり本日投稿しました